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山梨ツーリング 東名


2024.6.17

御殿場に向かって走っている
雨はいつ降り出すのだろう

車の流れについて
東名のインターを目指す

これで合っていたのか?
決断は正しかったのか?

おもて富士の五合目に夕方上る

今日のメインだったこと
それを諦めて、今帰ろうとしている


須走が終点ではなかったみたいだ

高架の上をしばらく走り
昔見た下道に合流した

懐かしいのはなぜだろう
この辺りをよく通った記憶がある

R246をまたいで南下する
御殿場インターまであと少しだ

前によく食べたお店を見かける
帰り、カエルの鳴き声の大きさに
驚いたことも

側道に入り、高速に乗った


アクセルを開ける手が重い
本当に帰っていいんだろうか

後悔はしないのか?

スッパリと諦めたくて
足柄SAに寄ることにした

あそこからは
富士山が見えるから

雲に覆われた富士山を見たら
未練がましい自分も諦めがつくだろう

サービスエリアに向かう側道に入る
上り坂を進み、駐車場に入る

看板を確認し、左へと進む

ほら、富士山は見えない…

そう思いながら
顔を上げて、前を見た

あっ

慌ててエスケープゾーンに
バイクを停めて、写真を撮った

富士山が…

こっちを見ている
顔をのぞかせている

五合目は雲でおおわれている

諦めてよかったのか?
あの雲は山肌に添うているのか?
雲の向こうは、晴れているのではないのか?


しばらく富士山を見つめて
ほうっとため息をついた

『またおいで』

そう言っているような気がして

うん、また来よう
夏、走れなくなる前に

また来るね

富士山に別れを告げ
駐輪場へと向かった


足柄サービスエリア 17:01〜17:38

夕方、日差しはないが
蒸し暑い

疲れていて
人混みに入る元気がなかったから
外の縁石に腰掛けた

熱中症にならないように
水分をとる

ふと目を上げると
目の前に相棒がいた

こんなに気落ちしていても
変わらず一緒にいてくれる

コンディションに浮き沈みなく
いつも走りたい形に応えてくれる

昔、旧車で長旅に出た時
バイクの調子と相談しながら
走ったことを思い出す

頼もしいなぁ
ありがとね

ありがとう


また来られるよね
行く時間と行く勇気さえ湧けば

気持ちを切り替えて
無事に帰ることに決めた


スマホで天気予報を見ると
ここはすでに雨と書いている

まだ降ってはいない
でも、もう降るんだろう

高速で雨が降り始めたら嫌だな

暑いけど
カッパを着ることにした

これから少しは気温も下がるだろう

最近のゲリラ豪雨を思い出し
不安になってブーツカバーまでつけて
本線に向けて走り出した


車が多い

飛ばさないと眠たくなりそうで
速い車について行く

カッパがバタつく
思った以上に暑い

流れが悪いと
すぐに眠くなる

頭の奥にモヤがかかったような
ぼんやりした視界の中で
「中井」の文字を見かける

あっ!過ぎてしまった

前は、バックミラーで
紅桃色に染まる富士山を見たのに

そのポイントを過ぎてしまった


空は灰色で暗い
富士山は色付いていなかったかもしれない

自分を慰めて走る
ただ走る

目の前に道があるから
バイクを走らせて前に進む

勝手に体が動く

バックミラーを確認し
ウィンカーを出す
真横を目視し、車線を変更する

体を操るようにバイクを操る

手を離せば落ちてしまう
またがっているだけの危うさなのに

今ここで風を切っていることに
驚きの気持ちが湧いた


渋滞の文字を看板に見つける

疲れているから早く帰りたい気持ちと
疲れているから渋滞は無理だと思う気持ちが
葛藤する

『帰りは休みを多く取る方がいいですよ』

そうだ
休みを取るんだった

前に言ってもらった言葉を思い出す
ノロノロと海老名SAを目指した


海老名サービスエリア 18:08〜19:30

涼しいところで休めば
元気が出るかな

重い体をひきずるように
施設の中に入って行く

人混みの中
エスカレーターで2階に上がる

いつもの定位置を目指して
なんとか足を前に運ぶ

ようやく着いた座席に荷物を置く

温かいお茶とお水を紙コップに汲み
倒れるように座り込んだ

五合目で食べようと思っていた
お菓子を出す

ふと思い出して、noteにつぶやいた


それからの記憶はあまりない

寝ていたのか
疲れすぎてぼーっとしていたのか

残念な気持ちを
あまり思い出さないようにしていたのか


1時間以上滞在しているうちに
渋滞も消えてしまった

ようやく出てきた元気を糧に
最後の走行に向かう

家まで無事に
次、また必ず来る

そう心に誓いながら
エンジンをかけた




(了)


最後まで読んでいただき
ありがとうございました。





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