バイクツーリング　〜神奈川　箱根〜　中編

ここ、なんだろう？

突き当たりを右に進むと、そこは漁港と駐車場だった。

駐車場は自由に停められるみたいだ。
ありがたい。

車ですでにいっぱいで、賑わっているのがわかる。バイクも何台も停まっている。

奥に長い海沿いの駐車場。
手前のプレハブの脇、邪魔にならない場所を選ぶ。

日なたで熱くなっちゃいそう。

そうは言っても、日かげのスペースは空いてない。

「暑くてごめんね。」

バイクも涼みたいだろうに…
心の中で、バイクに声をかけた。

車にひっかけられないように気をつけて停め、ヘルメットを脱いだ。

涼しい・・・

今日は、夏が戻ってきたような陽気だ。

上着も脱いで、リュックからトートバッグを出し、ヘルメットもグローブも上着も全部突っ込んだ。

日差しが強いので帽子を被り、まずはお手洗いへ。

ターンパイクの途中にはトイレはなかった気がするから、本当によかった。

漁港をのぞく。

もう終わって、静かな感じ。

車の人たちは、どこに行ってるんだろう。

漁港を背に、先に目をやると…

お店が見えた。

目立つ。かき氷だ。

わたしは、ふだん美味しいものを探さないから、情報がない。

美味しいものよりくねくね道だから笑、行き先は山の中で、お店はない。

そして、冷たいものは苦手だから、あまり食べない。

でも・・・

食べてみようかなと思った。
なぜか気になって。

だって、かき氷なのに一軒、家建ててるんだよ？屋台じゃないんだもん。

ちょっと気にならない？

何より暑かった。
これくらい体が熱くなってたら食べても平気。

わたしにとって、冷たいものは体を冷やすもの。食べ物という認識はあまりないのだ。

恐る恐る近寄る。
人混みは苦手だから。

レジに並ぶ。
色紙がいっぱい飾ってある。

有名なお店なのかな？

レジの前に来た。

6種類ほどある。どれも果物の名前だ。

桃、いいなぁ。
でも、期間限定でシャインマスカットがある。

どうしようかなぁ。

期間限定、限定30食の言葉に負けて、シャインマスカットを選ぶ。

冷たいからSサイズで。
（かき氷だから冷たいのは当たり前なんだけど）

室内とテラスがあり、外にしようとテイクアウトで頼んだ。

来た！

どうかな？

なんか氷じゃないみたい。

あれ？

ひと口食べてみる。

やっぱり。
マスカットそのものだ。

氷じゃなくて、マスカットが凍ってる。

美味しい。

嬉しい。

偶然入ったわたしは、くじに当たった気分。

ただし、外は風がひどくて、隣の家族はしょっちゅうフタやら何やら、飛ばしては拾って大変そうだったけど。

前方のお店は、やたら人が並んでいる。

有名なのかな？

だいぶ経ってからツーリングマップルを見たら
ここは『漁港の駅　TOTOCO小田原』
このお店は、魚市場食堂『小田原魚市場2階』
ってわざわざ書いてあった。
それくらい有名なとこだったみたい。

時々、種までスライスされていたマスカットに、お好みでと言われたシロップをかけて、最後まで美味しくいただいた。

嬉しくなって、その日のnoteにコメントを書いた。

かき氷食べました🍧！

帰りにお店の前を通る。

果肉果汁100%って書いてある・・・
さっき、ここ通ったよね。。。

お昼前で食堂は並び始めていたけど、室内で食べるのは怖かったので、出発することにした。

　

ずっと日なただった。
タンクが熱い。

ごめんね。暑かったよね。

早く走らせてあげたい。

前方の山を見る。

中腹に道路が見える。

きっとあそこを走るんだ。

ヘルメットを被り、元きた道を戻った。

早川を直進する。

今度こそ間違えないぞ。

看板に気をつける。
どこかに入り口があるはずだ。

箱根ターンパイク

上に高架道路があった。

ここ通るはずだった道だよね。たぶん。

左折して料金所に向かった。

お金を払う。

お釣りをしまうために、路肩に停まる。

路肩には駐車スペースがあって、数台車が停まっている。

待ち合わせかな？

車も走りに来ているんだろう。

これから写真は撮れないかもしれないから。

走り出す道を写真におさめて、スタートした。

ぐんぐん標高が上がる。
風が涼しい。

日陰だからか雨の残りか、空気がひんやりしている。

車はまだ来ない。

よし、今のうち。

スピードを上げた。

カーブのRがゆるい（大きい）。

物足りないな。

ターンパイク。
前は好きだったのにな。

スピードが足りないのかな？

そんなことを思いながら、コーナーを駆け抜ける。

カーブがゆるいので怖くない。

路面のひび、無し。
路面の荒さ、良し。
落ち葉、無し。
路肩の砂、ほとんど無し。
路面の濡れ、無し。

前後に車、無し。
対向車、無し。

よし、行ける！

周りも見たいので、全神経を道路に向けるのは止めて、集中するポイントを絞って走る。

後ろは来ないから見ない。
道幅は、路肩と中央線を除いてアウトインアウトOK。（アウトインアウト = 外側から入って中心に近く寄り、外側に向かって出て行く）
カーブはキツイところはないから、初速を落とさなくても大丈夫。

走り出してわりとすぐ、左側に駐車スペースがあった。

景色が撮れるかも… と思い、左ウィンカーを出す。

車が数台。人も数人。ギャラリーみたい。

ここ、走ってるのかな？

車から少し離れてバイクを停めた。

木立の間から遠くが見える。

あそこから走ってきたのかなぁ。

ため池に金魚。鯉かも。

やっぱりドリフト… だよね。

走ってきた道。

これから走る道。

そろそろ行こう。

速度は60〜80km/h

安全すぎる・・・
4スト（4ストロークエンジン）だからかな？

エンブレ（エンジンブレーキ）が効くから、コーナー入り口で…

オーバースピードにならない。
トラクション（タイヤが地面を押す力）がかかりやすい。

右、左とコーナーをさばいていく。

昔乗っていた2ストとは真反対（オーバースピード、トラクションなし）だったので、あまりに違うフィーリングに、絶対転びそうにない安心感を感じながら走る。

「走り方を変えないとダメなのか。」

帰って来てから気づくんだけど…

その時は、コーナーを走れるだけで嬉しく、安全に走れる優秀なバイクだなぁと思っていた。

視界が開ける。

駐車場だ！

思い切り減速する。
後ろに車がいたら追突される勢いで。

思い立って停まった。

遠くまで見通せる。

今まで気づかなかった。こんなとこ。
いつも、道の先しか見てなかったから。

これから通る道。

停まってよかった。

車はずっといない。

気持ちよい道。

あと少し。

直線を下り、また上る。

そろそろ終点。

頂上だ。