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心の火を燃やし続けるもの



昨日、電話がきた。

スマホの画面にはご無沙汰している人の名前。
普段、やり取りはしていない。


どうしたのかな?

電話に出た。


「お久しぶりです。読み聞かせでご一緒してた○○です。」

「お久しぶりです!」


小さな息子を連れて出かけた近所の遊び場で読み聞かせをしてくれた人。


彼女は、その遊び場にバイクで来ていた。

KAWASAKI  ZEPHYR750

小柄な方で私より年上で、なのに大きなバイクに乗っていて…

バイクが大好きなのが見ていてわかるような人だった。


後に、同じ小学校で読み聞かせのボランティアをするようになり、絵本の読み方を教えてもらったりもした人。


「去年、突然遊び場を閉めてしまってごめんなさいね。」


彼女が関わっていた遊び場に音楽を届けに行っていたわたしに、断りもなく止めてしまったことを詫びるために電話をかけてきてくれたのだった。


「コロナだからだと思ってましたから大丈夫ですよ。」

声をかけると

「実は去年、病気で入院してたの。遊び場に関わっている人が皆さん高齢で、わたしが入院したから自分たちだけだともう続けられないからって、遊び場を閉めてしまわれたのよ。」


入院… 知らなかった。


「わたしも去年の初め、うつ病になって練習も止めてしまって。」


お互い、去年は大変だったんだなぁ。


「実は去年の10月にバイク買ったんです。」

「バイク!?えぇ?嬉しい!!」

「でも納車2週間で事故に遭ってしまって…
骨折して3箇所プレートを入れて、今まだリハビリ中なんです。」


バイクにリターンしたことを手放しで喜んでくれたのに、今、怪我していることを伝えると心から心配してくれて。


「もう少し話していい?」

とわたしに聞きながら、彼女は去年のことを語ってくれた。


入院することになり、ゼファーを手放したこと。

病気で10kg痩せてしまったこと。

残していたBMW800は、そのせいでサイドスタンドすらはらえないこと。

入院中に、したいことを書き出そうと思ったら、読み聞かせのこととか色々あったはずなのに、一番初めに浮かんだことが「バイクに乗りたい!」だったこと。

退院してレブル250を買ったこと。

娘を乗せて坂道を登ったらあまりにも登らなくて、そしたらオートマの1100が出るって聞いて、即買いしちゃったこと。

6月に頼んでまだ来なくて11月に来るかもと言われたこと。


「バイクに乗らない私は生きてないのと一緒だよねって夫にも母にもこっそり言ったのよ。」

「クラッチ操作が無いバイクなんて何が楽しいの?って思ったけど、今もう60過ぎてて。70歳まで乗るならそんなこと言ってられないじゃない?筋トレもしないとね!」


そう言って笑った彼女を心の底から素敵だと思った。


あぁ。ここにも心の火を燃やし続けようと頑張っている人がいる。


わたしも、乗るなら今乗らないとって、老いると乗れなくなるからって思ったけれど…

70歳まで乗りたいって言っている人生の先輩がいた。



「またどこかですれ違ったらね… ってお互いヘルメット被ってたらわからないか。」


そう言って笑った彼女。

彼女がまた颯爽と乗る姿を見たい。




10日前だったら、まだバイクに乗れていなかったわたし。

8ヶ月ぶりに思い切ってバイクに乗った今、こうして彼女から電話が来た巡り合わせ。


ただの偶然だよって言う人もいるかもしれないけど…

これはエールだ!って思う。

近所にも励まし合える人がいたんだと、ちょっと嬉しい。



わたしも色々と乗り越えていかなくちゃ。


心からそう思った。



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