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9/28 富士山ツーリング その2

朝6時前に家を出た。

写真を一枚。

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縁側にヘルメットとリュックを置き
バイクを物置から出した。


ここで、事件が起こる。




バイクを倒してしまった!





物置に突っ込んでいるバイクを
バックで出す。

左手はハンドル、右手はリアシートに。

向きを変えたいので
ハンドルを左に切る。

すると、リアが右手に曲がっていく。
90度向きを変えた。

ここで、押すのを止める。
止めた時、ふとバイクの重さが消えた。

重さを感じなくなるのは
バイクが垂直に立ったから。


しまった!


すぐに向こう側に
バイクがフラっと傾き始めた。

こっちに傾くように引っ張るが
重さは向こうに増していく。


これは無理かも。


無理をすると腰を痛めてしまう。


見ると向こう側には縁側があって
段差がある。

あの段差にハンドルの先を当てれば
タンクやカウルは傷つかずに
バイクを傾けられる。

そう判断したわたしは
無理してこっちに引っ張るのは止めて
向こう側にバイクを傾けた。


止まった。


ハンドルのバーエンド一点で
バイクは倒れるのを止めている。

予想通り、タンクやカウルには
当たっていない。

傾いている角度は50度くらい?

バーエンドに傷がついてしまったが
こっちに引っ張る方が
ダメージが大きかったと思うから
良しとしよう。


まず、バイクのスタンドを立てる。
向こう側に押した時、倒れないように。

反対側に回る。
縁側とバイクの隙間に入る。

ちょうど入れるくらいの隙間はあるけど
縁側が邪魔で膝を地面につけない。

膝を浮かせたまま手をかけて
バイクを押し上げてみた。

重い。
びくともしない。


これはマズイ。


昔乗っていたバイクと重さが違う。
エンジンの重さが根本的に違う。


これはマズイぞ。


本気で持ち上げてみる。
バイクが前に動こうとする。

前輪が左に切れて
バイクがさらに傾いてしまった。


押すと前進するから
前輪の傾きを戻さねば。


フロントのブレーキレバーを握る。
必死で持ち上げたら少し浮いて
前輪が左に切れているのが戻ったら
ブレーキレバーも縁側に当たるようになった。


ブレーキレバーはマズイんだよな。


力がかかったら折れるようになっているので
あんまり車重がかかったら折れてしまう。

もう一度、縁側とバイクの間に入り
思いっきり押し上げてみた。

ほんの少し浮くけど、それ以上は上がらない。




途方に暮れてしまった。




出先でこうなったら
自分で起こせないってことじゃないか。

行かない方がいいってことなのか。


どんどん明るくなってきて
柵越しに人が歩いているのが
見えるようになってきた。

みっともないし、恥ずかしい。
あの時、力を緩めずに
思いっきり手前に引けばよかった。


どんなに悔やんでも
目の前のバイクは起きてくれない。


どうする?わたし。



背に腹は変えられなくなり
思い切って、助けを求めることにした。


今は朝の6時。
夫はまだ寝ている。

起こして助けてもらうか。
どうしよう。


ふと、縁側の窓が
網戸になっていることに気づいた。


ここから入れる!


バイクをそのままにして
縁側から窓を開けて
不法侵入した。


夫の実家に。


台所でお義父さんが
朝ご飯を食べていた。

「すみません。
 バイクを倒しちゃって。
 起こすの手伝ってもらえませんか」

お義父さんは何も言わずに
一緒に外に出てくれて
反対側から引っ張ってくれた。

でも、起きない。
びくともしない。ホントに重たい。

次に、リア側から起こしてくれた。
「せーの!」とかけ声をかけて
同時に力を振り絞る。

ジリジリと持ち上がり
ようやく真ん中まで立ち上がった。

そして、反対側のスタンドが立つところまで
ゆっくりと傾けた。


立った!!


お義父さんに
「ありがとうございました」と言うと
お義父さんは何も言わずに
家の中に戻って行った。



何も言わずにいてくれた。

それがどれだけ有難かったことか。



一人で起こせないバイクに乗って
これからどこに走りに行くんだ?と
問い正すこともできたはずだ。

平日の朝に。
子どもも夫も置いて。

そんな話はひと言もしないで
家の中に入っていったお義父さんに

ただただ有難いと心から感謝しながら
出かける準備を始めた。


やっぱり、行こう。





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