見出し画像

【出産レポ①】4/2に産みます!地獄はここから始まった

二度と口にしたくない言葉、というものがある。

言ってしまったが最後。
なぜ私はあの時、そんなことを思ったのか。
そして、言葉にしてしまったのか。
一生後悔し続けるかもしれない、言葉である。

二度と聞きたくない言葉もある。
聞いてしまったが最後。
もう決して知らなかった頃の自分には戻れない、哀しい言葉である。

私が二度と言いたくない言葉は、
「4月2日に産みたいです!」
であり、

二度と聞きたくない言葉は
「子宮口…2cmやね…」

になった。

2020年4月2日、息子を出産した。

分娩:37時間
特記事項:児圧出、吸引、無痛分娩

これは、「どうせやったら4月2日やろ~」と軽々しく口にしてしまった私の、壮絶(かもしれない)な分娩記録である。


4/2に産みます!地獄はここから始まった


事の発端は、出産6日前にさかのぼる。
この日の検診で、誘発分娩を行うことが決まった。
すでに予定日から1週間が経過していたのである。

「では30日に出産しましょう」

はい、と言いかけた私の口が止まる。

ちょっと待って。
年度末ギリギリか…。

私は大変悩んでいた。
たった3日遅く産むだけで、その後の生活が少しだけ楽になる方法を知っていたからである。

3月30日と4月2日。
そう、入学年度が違う。

入学年度が違うということは、
つまりこういうことだ↓

4月2日生まれにしたら、児童手当満額受け取れるやん。

注)児童手当は出生~中学3年生の年度末まで。
3月生まれと4月生まれなら11万円の差額あり。
教育費は何よりも大事。


いや、しかし…この理由、先生に言える??

少しの葛藤の末、思いきって聞いてみることにした。

「あの…4月2日にできませんかね??あっ、無理だったらいいんですけど…へへっ」
「…えっ?」
「いやー、ここまできたら来年度にした方がいいかなぁと…!」
「なるほど…まぁ大丈夫でしょう」


希望通り、4月2日に出産することが決まった。
前日から入院してバルーンで子宮口を広げ、当日は促進剤投与&和痛分娩を行うことに。

この時の私は、出産を完全に舐めていた。
自分は陣痛が来ない体質だと信じきっていたのである。


当時の私に言いたい。

バチ当たりな考えはいますぐ止めなさい。
先生の言うことをちゃんと聞け。
さもないと地獄を見るぞ。


3/31 初めての前駆陣痛

画像2

私が4月2日出産を決めたのは、陣痛がこないと信じ切っていたからである。

3月31日の深夜、産婦人科の先生が予想していたであろう事件が起こった。

そう、陣痛らしきものがきたのである。

ちょっと重い生理痛のような痛み(教科書通り)…まさか…

なんか、規則的やな…もしかして……

陣痛がとうとう10分間隔になった。なんとなく、破水ぽいものもある気がする。

やばい…お腹痛い…でも、なんか陣痛じゃなさそう…

このときの痛みは、よくある「耐えきれないような痛み」や「冷や汗をかくような痛み」ではなく、あくまでも「少し重い生理痛」程度だった。

病院に電話するかどうか悩んでいる内に、陣痛の間隔があいてくる。

20分間隔になった後、私は爆睡した。

初めての前駆陣痛、おめでとう(完)




とはいえ、破水の可能性があったので、朝一で病院へ。

「う~ん…破水ではなさそうやね。おりものの上澄み液みたいなものかな?」

なんと…

破水のようなものには、尿漏れでもなくおりものでもなく、「おりものの上澄み液」まであるらしい。

破水の定義、難しすぎる…

病院に着いたころ、陣痛は完全に止まっていた。

よし、帰るぞ。

帰り支度をしていた私を、先生が引き留める。

「今から入院しましょう」
「はい?」

破水でもなく、陣痛も来ていないのになぜか私は入院するらしい。

この時の先生の判断は、素人の私には分からない。全く産まれる気配が無いのに、私は入院することになった。



なお、2時間後に退院が決まった。


コロナ禍でのハプニングが…!

画像3

一見意味のない入院に見えたが、この時間のおかげで救われた男がいたことを忘れてはいけない。彼にとっては、非常に重要な入院だったのである。

「旦那さん、立ち会う予定?」
「はい。なんか入院中ずっといてくれるみたいです。頼んでないんですけど」

「…旦那さんは県外の人?」
「関西から来る予定です」
「……旦那さんの実家、県内にあるわけではないんよね?」
「ないですね」


「コロナの関係でね、県外の人は立ち合いも面会も出来ないのよ~~」
「…………え??」


この日に入院になっててよかった。
本当は、翌日から1週間付き添ってもらう予定だった。
予定通り入院になっていれば、当日こちらにきて、受付の人から告げられ、1人だけ帰らされることになっただろう…。

出産に立ち会えるドキドキや、子どもに会える嬉しさを背負って遠路はるばるやってきて、突然「帰れ」と言われる。

トボトボ帰る後姿を想像するだけで、トラウマになりそうだった。
本当に良かった。


でも、私は不安と悲しさで泣いてしまった。

1人で出産するのは怖い。
陣痛と出産を乗りきるために2人でたくさん調べてきた。
ずっと支えてくれた夫に1番に抱かせてあげたかった。
夫と一緒に命の誕生を見たかった。

なんでこんな時代になってしまったんだろう。私の何が悪かったんだろう。


念のため補足しておくと、悲しかったのは30分程度である。
そして、出産を終えた今、「1人で産んで良かった」と心の底から思っている。

自分で思っているより、出産中の女性は強い。

出産レポ②に続きます。
https://note.com/sachi_happy/n/ncd69183a6cd5

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?