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コロナ禍で出産したメリットを思いつく限りあげてみる

緊急事態宣言前の4月2日、息子を出産した。
県外に住む夫は立ち会い禁止、面会すらもできない。

夫が来れないとわかったとき、1人で出産しないといけなくなったとき、病室で泣いてしまった。

非常事態ばかりの世の中に、息子を産んだことを後悔しそうになった。そう思った自分が本当に情けなかった。

ただ、思い返せば今の時代に産んだからこそ味わえた楽しさもたくさんある。

未来の妊婦さんに『あんたなんて大したことないわよ〜!私の時の方が…』なんて不幸自慢するオバサンにならないために、コロナ禍で出産したメリットを思いつくだけ挙げてみた。10個もあった。


分娩に思いっきり集中できた

私の分娩は37時間だった。
陣痛が短くなったと思えば遠のき、すぐに酸素マスクをつけられ、中々来ない先生を必死で待った。
身も心もボロボロで、自分が呼吸することで精一杯だった。

もしこんなときに、夫がいたら?
陣痛中、何度も怒鳴ってしまっていただろう。
眠りそうになっている夫を蹴っていたかもしれない。
夫も、私に怒鳴られて腹立つわ、心配しすぎて気が気でなくなるわで散々な1日になったであろう。

また、夫と実両親の間を取り持たなくていいのも楽だった。
共通の話題を振る必要なし、どっちに抱かせるか考えることもなし。

“赤ちゃんを無事に産む”
出産において最も大切なことに全力で取り組めた。


入院中、誰にも気を遣わなくてよかった

振り返ってみれば、入院中誰も来ないのはものすごく楽だった。
友達の話を聞いていると、義両親が毎日居座ったとか、陣痛中も義両親が見にきたという話も聞いていた。(誤解を生むと嫌なのだが、うちの義両親はすごくいい人達なので来る予定は無かった。)

誰がいつ来るかわからないから気を抜けない。
嫌いな人が来るかもしれない。

そんな心配をする必要は一切なく、気楽に過ごすことができた。

産まれたらすぐ会いに行くね!と言ってくれた友達にすら"ちょっと嫌だな"と感じてしまった私には本当にありがたかった。

実際は会陰切開の傷や立ちくらみが酷く、誰かと会話をする余裕なんてなかった。誰も来なくて良かったのだ。
落ち着いてから見に来てもらっても、赤ちゃんの可愛さは変わらない。


専門家のサポートをしっかり受けられた

入院中は、助産師さんや看護師さんが何度も様子を見に来てくれた。
1人ぼっちで不安になっている妊婦の気持ちを受け止め、専門家としてのアドバイスをくれた。また、楽しい話を振ってくれる人もいた。

「何かあったらすぐに呼んでね」
「いつでも赤ちゃん預かるからね」

泣きやまなくて困ったとき、眠気に耐えられそうになかったとき、少しでも困ったことがあればすぐに対応してくれた。

家族が付き添っていたら、おそらくここまでのサポートは受けられなかっただろう。家族が側にいるのも心強いだろうが、私たちはあくまでも新米パパ、ママである。

その2人で一から頑張るよりも、専門家に聞いた方が効率的かつ安全に子育てができる。


夫が在宅勤務になった

リモートワーク推進のおかげで、夫が週1回は家にいてくれるようになった。
もちろん仕事をしているので、育児はできない。しかし、自分以外の大人が側にいてくれるというのは、とても心強い。

そして、仕事の前後に子どもを見てくれた。
朝はゆっくり寝れて、夕方には落ち着いて家事ができる。このおかげで、明日からも子どもに優しくできる気がする。

今では当たり前の在宅勤務だが、1年前にはありえなかった状況だ。

泣きわめく子どもと週5日間、二人きりで過ごすなんて今ではもう考えられない。たまにその状況になるが、土曜日には屍と化している…(私が)


子どもを言い訳にコロナ対策できた

私は極度の心配性だ。
もし子どもがいなくても、コロナを過度に恐れていただろう。

遊びに誘われるのを断るのに悩んだし、誘ってくる人にもイライラしてたと思う。そして、毎日ギスギスしている自分が嫌いになっていた気がする。

子どもが産まれたばかりなので、そもそも誰からも遊びに誘われない。
もし誘われても、「子どもがいるから心配で~」といえば、みんな分かってくれる。


ステイホームを楽しめた

産後の母親にとって、1年間程度は”強制ステイホーム期間"だ。
旅行に行く友達、飲み会に行く夫を見て、どうしようもなく羨ましくなってしまうこともあっただろう。

でも、世間は自粛ムード。
お店が早めに閉まるから行けない。行けるけど、周りの目が気になる…などで出歩くことが減った。私も行きたいのに…!なんてハンカチを噛みしめる必要性はなくなったのだ。


世間の話題は、ステイホームをいかに楽しむかに変わった。
特に緊急事態宣言中は、本気で楽しませようとする心意気がみえた。昔の名曲や話題になったドラマ・映画の放送が増え、料理・編み物などの家でできる趣味特集が多く組まれていた。

授乳させながら、昔の名曲を大熱唱することが私のストレス解消法になった。いつの間にか子どもをマイクがわりにしてしまって怒られたこともある。
親子共に眠れない夜も、昔のドラマや映画を見て楽しんだ。

強制ステイホーム期間を、世の中全体で楽しませてくれたのである。感謝。



オシャレなレストランの味を楽しめた

100万ドルの夜景を楽しめるバーカウンター。
静かな空間で味わう絶品フレンチレストラン。

産後5年間は行けないことを覚悟したお店が誰にでもあるだろう。
あの上品な味を楽しむのはいつになるやら…と思っていたら、すぐに味わう事ができた。

テイクアウト・デリバリーの普及である。

お弁当?そんなことしなくてもやって行けますから。
昔はそんなことを言ってたんじゃないかと思うようなお店が、続々とテイクアウトを開始した。

和食・ステーキ・お寿司・パスタ…今までとはワンランク・ツーランク以上のお店の味が自宅で手軽に楽しめる。
散歩がてら子どもと一緒に買いに行き、お昼寝した後でゆっくり食べることができた。

自分の食事なんて構ってられないハズだった時間が、最高に贅沢できる(そして安い)ものに変わったのである。


旅行気分を楽しめた

食事同様、旅行についても数年は行けないことを覚悟していた。
妊娠前まで、毎年春にユニバに行くのが恒例行事だった。

今年は臨月だから行けない…イベントたくさんあるのに…
と思っていた矢先、テーマパークが全て休園になった。


もちろん休園は残念だ。しかし、開いているのに自分だけが行けないのと、そもそも誰も行くことができない状況では、納得具合が全然違う。

”私はどう頑張っても行くことができなかったんだ”と思えると、少しだけ楽なる。

また、旅行自粛のムードから、家にいながら旅行気分を楽しめる企画もたくさんできた。
旅行会社がオンラインツアーを開いたり、テレビ番組でもリモート旅行の特集を見た。
気になる地方の名産品も、"○○県名産品パック"としてネットで手軽に買えるようになった。


ゆっくり里帰りできた

感染者がほとんどいない地域から帰るのが怖かった私は、半年間里帰りしていた。

出産が体に与えるダメージは、全治3ヶ月の交通事故と同じといわれている。
産後の私たちは、交通事故の傷を背負いながら、2時間おきに血液を取られ、3㎏程の動く重りを持ち、睡眠不足に苦しんでいる。辛くて当然だ。

"コロナだからね~"ということで、誰からも白い目で見られることがなく、ゆっくり体を休めることができた。

これからの育児に体力を残せただけでなく、産後の体を回復させることで、更年期の症状も軽くなるらしい。いいこと尽くしである。

ただ、夫には本当に申し訳ないことをした。陳謝。


人の優しさを強く感じた

非常事態だからこそ、他人の本性が見える。
良い面、悪い面両方あるだろう。

私の場合は、周りの人たちの優しさを、いつも以上に感じることができた。

私たちと会うときにずっとマスクをつけてくれようとしている人達
「コロナで大変よね…いつでも助けになるからね」と言ってくれた人達がいた。

大変な時だからこそ、周りの人の優しさが身に沁みた。


結論:コロナ禍で出産して良かった

コロナ禍で出産してよかったことを、もう一度まとめておく。

・分娩に思いっきり集中できた
・入院中、誰にも気を遣わなくてよかった
・専門家のサポートを受けられた
・夫が在宅勤務になった
・子どもを言い訳にコロナ対策できた
・ステイホームを楽しめた
・オシャレなレストランの味を楽しめた
・旅行気分を味わえた
・ゆっくり里帰りできた
・人の優しさを強く感じた

こんな時代だから、出来なかったことも沢山あるだろう。
だが、今の時代だからこそ出来たことも、同じように沢山ある。

子どもが大きくなって、今の状況をはっきりと理解できるようになったとき、「あんたをこの時産んどいて良かったわ~!」と伝えてあげたい。

どんな時代に生きようが、自分の気持ち次第でいくらでも幸せになれる。

わが子にそう教えるために、親である自分が、今ある幸せを全力で感じられる人間でいたいと思う。

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