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「お」と「ご」の話

 先日、旦那と映画を観に行った時の話だ。 
 お手洗いに行くのに、「おうんちしてくるから待ってて」と言われた。 
「おうんち?!」 
「え?ごうんち?変だよね?おうんちじゃない?」 
 いや、論点そこじゃねーから!大体の物は「お」を付けたら丁寧になるけれども、「お」を付けたって「ご」を付けたって、うんちはうんちだよ。 
 
 でも、よくよく考えてみた。どの言葉に「お」を付けて、どの言葉に「ご」を付けるのか、明確に教えてもらった記憶がない。小学校の国語の授業で習ったっけ?小学校なんてうん十年も昔の話だからよほど印象に残っていたり、好きな物語だったりしないと記憶になんて残っていない。「かぷかぷ」のような不思議な言葉が出てくる「やまなし」や、小さな魚が奮闘する「スイミー」、学校帰りに友達とやったかげおくり(当時は「ちいちゃんのかげおくり」の内容があまりよくわかっていなかったが、大人になって読むと涙なしには読めない)などは、今でもよく覚えている。 
 が、しかし、いわゆる文法はなんとなくだ。小学校で習ったからというよりは、本を読んだり、ニュースを聞いたり、母親が使っている言葉を真似したり、日々の生活の中でなんとなく使い方を身につけていくことの方が多かった。
 
お箸、お仕事、お父さん、お買い物、お土産、お便り、お弁当箱、お肉、お魚、お引っ越し、お蕎麦、おうどん、お賽銭、おままごと、お見合い、お化粧、お掃除、お風呂、お洗濯、お手洗い、おトイレ。おうんち? 

ご褒美、ご夫婦、ご馳走、ご飯、ご賞味、ご連絡、ご確認、ご相談、ご承認、ご帰宅、ご着席、ご案内、ご足労、ご立腹、ご葬儀、ご祝儀、ご鑑賞、ご実家、ご懐妊、ご出発、ご厚意。ごうんち? 
 
 家に辞書や百科事典がなかったので、とりあえずネットに頼ってみると、 
『「お」は和語(訓読みするもの)につけ、「ご」は漢語(音読みするもの)につける』 
 と書かれていた。当然例外はあるだろうが、まあ、なんとなくは理解した。また、こうも書かれていた。
『すべての言葉に「お」や「ご」がつけられるわけではなく、自然現象や動植物、外来語、公共物などには「お」や「ご」はつけません』 
 
 うんちは、これには当てはまらないと考える。行為自体は自然現象だが、モノ自体は物だ。動物でも植物でもないし、外来語でもない(ウンチと書くこともあるが、外来語ではない)。当然公共物にはなり得ない。漢字で書くこともない(昔のヤンキーの「夜露死苦」のような当て字を「うんち」に対してしたことは今のところ人生で一度もない)。 
 
 よって、旦那よ、「うんち」は和語なので「おうんち」が正解! 
 しょうもない話だし、特にこの先何かの得になることもないだろうが、「お」と「ご」の違いについて少しだけ詳しくなった。
 おうんちをしたくなりおトイレに行く前にお嫁に許可を取ろうとお声をかけてくれたご主人よ、ほんの少しだけありがとう。

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