映画雑感「大怪獣のあとしまつ」

特撮にハマったのは一番下の娘が幼稚園の頃。
一緒に見ていた仮面ライダー電王にまんまとはまりました。

それからはライダーオタクとして、映画が公開されれば見に行き、グッズが販売されれば買い、大人の財力をつぎ込んだものです。

最近はオタクっぷりもちょっと鳴りを潜めておりますが、毎週の日朝チェックは欠かさず、新しいシリーズが始まると変身ベルトが欲しくてうずうずするくらいです。

さて、自分が小さかったころは特撮やロボットものとかって「男の子が見るもの」だったのでそんなに熱心には見ていなかった、はず。実際に「魔法使いサリー」とか「秘密のアッコちゃん」の方が好きだったし熱心に見ていました。

でも思い出してみたらウルトラマンシリーズは毎週のように見ていたんですよね。その頃の仮面ライダー俳優は全然イケメンでもなく(失礼)怪人も作りがしょぼくて、等身大で戦うスケールの小ささや攫われるのが子どもっていうご近所感、それに比べたらウルトラマンはでっかくなって怪獣と戦うスケール感と宇宙にも行っちゃうぞ、なんなら宇宙からやってきてるぞ感、主要メンバーのかっこよさではこっちだった、ってことは子どものころからやっぱり好きだったのでしょうか?

特にウルトラセブンのモロボシ・ダンとウルトラマンタローの東光太郎が好きでした。

で、ここから本題。そんなウルトラマンシリーズを見ていて子ども心にぼんやり思っていたことは、
「あの戦っている住宅街(オフィス街)には人間はいないんだろうか?今怪獣をぶん投げてビルが一つ崩壊したけど、そこで働いてる人たちはみんな逃げ出せたんだろうか?」
「スペシューム光線で吹っ飛んだ怪獣はどこに消えるの?爆発したその残骸はどうなるの?」
ウルトラマンは空も飛べるし宇宙にも行けちゃうので、宇宙の果てに怪獣置いてきちゃうって手法は度々使われていましたが、地上戦では怪獣が倒れてそのままエンドってこともあったと思います。そんな時に倒された怪獣はどうなるんだろう?と心配して見ていたものです。

大人になって、住民避難問題はエヴァンゲリオンで使徒が襲来すると住宅やビル街が地下に格納されて住民が避難する様子を見て、「おお!こういうことだったのか!」とそこでやっと答え合わせしてもらった気持ちになったものです。

そして今回の映画「大怪獣のあとしまつ」は駆逐された怪獣がその後どうなるのか?爆破された怪獣はだれが片づけているのか?
長年の答え合わせでもあるのかなと期待に胸をふくらませて映画館に向かったのです。

ネタバレしないように結論から言うと
「えーーー!最後そこに持っていくなら最初っからそれでよかったじゃん!」という気持ちでいっぱいでございました。

ここからはごくごく個人的な感想でございます。と前置きしておいて、さて
誰しもが特撮を見ていて気になったであろうこと、あの死んだ怪獣をどうやって片づけるんだろう?という発想こそは素晴らしかった。でも、だからこそもっとそこを徹底的に描いてほしかった。
山田涼介と土屋太鳳のラブロマンスはいらんのじゃ。日本政府のドタバタもいらんのじゃ。ちょいちょい挟み込まれる小ネタも小芝居もダジャレ?もいらんのじゃ。

松竹と東映で作った映画らしいんだけど、ちょいちょい松竹が顔を出してくるんだよな。そもそも浜ちゃんスーさんコンビが出ている時点でザ・松竹の香りぷんぷんなのに随所で細かい笑いを取りに来るところも(全然笑えないけど)松竹味?なのか。

発想と映像はまあまあ良かっただけに、ストーリーと脚本?演出?が最悪。唯一オダギリジョーの出演シーンだけがギリ許されるレベル。
これなら東映だけでオダギリジョーを主演に、プロフェッショナルな爆破チームが大怪獣の処分に挑む!映画を作ってほしいくらいだ。絶対そっちだろ!それなら観たいぞ。

そして長年の疑問だった怪獣はどうなるの?に何の答えも残さないまま、いや答えは最後に出てるんだけど、求めていたのはその答えじゃない感。
長年の疑問が晴れてすっきりと映画館を後にするつもりだったのに、モヤモヤは晴れぬまま、「これは何かの前振り何だろうか?」「この2時間何を見せられたんだろう?」という徒労感だけが全身を包んだのでした。

いや久々に観に行ったことを後悔した映画でした。俺の2時間を返せ。


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