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台湾のお茶のこと   お茶をたしなむ台湾の男性たち

台湾のお茶については、緑茶が一番という日本の人たちのなかにも結構ファンが多いのではないでしょうか。

私は以前は、高山茶や、凍頂烏龍茶が香り高い高級なお茶というぐらいの認識しかありませんでした。

台湾旅行の機会や台湾に暮らすことになり、台湾のお茶の種類や味わいの違いなどに触れる機会も増え、今ようやくその豊富な種類や違いについて少しずつ知ることができつつあります。

10年以上前になりますが、息子とその友人と一緒に台湾旅行をした折り、
台北の故宮博物院に行き、見学の途中で、博物院の3階辺りにあった、木のインテリアの素敵な広々とした喫茶室(残念ながら、その後行って探しても今はその場所にはないようです)で、お茶をしました。

そこは、台湾の有名なお茶を楽しめるようになっていて、それぞれ違うお茶を注文して飲み比べをしてみました。
その時に、一番印象に残ったのが[金萱茶]というお茶で、それが、初めて覚えた台湾茶の名前でした。

それがどういうお茶のことをいうのかを知ったのは、台湾に移住してきて、台湾茶を飲む機会が増えてからのことでした。

台湾茶には種類も多く、とても有名なお茶が沢山あり、まだまだとても覚えることはできません。

1.000m級以上の高い山で穫れるのが[高山烏龍茶]と呼ばれ、
有名な阿里山(1.000m以上)や
杉林渓(1.400〜1.800m)、
梨山(1.800〜2.600m)、
大禹嶺(2.800m)などのお茶がそれにあたります。
標高が高い山のものほど、生産量も少なく、旨味の凝縮度など、その価値は高く評価されます。

産地によって、また、その発酵度よって種類多くのお茶があり、様々にランク分けもされているようです。


[凍頂烏龍茶]はもともとは、標高800m級の凍頂山という所のお茶のことのようですが、他の地のお茶でも
その発酵度合いで、凍頂烏龍茶と呼ばれものもあるようです。

私がその名前を覚えた[金萱茶]というのは、比較的新しく作られ始めたお茶で、発酵が浅めの中発酵のお茶で、主に阿里山の方で生産され始めたそうです。

発酵を浅めで止めてあるお茶で、香りが特徴的でココナツやバニラのような甘い香りで、そのマイルドな甘い香りは女性からの人気が高いようです。

私は日本の友人にお茶を頼まれることがありますが、その友人の指定してきたのが、以前台北旅行で買って、とても美味しかったのでと、[金萱茶]のリクエストでした。

[包種茶]もとても有名なお茶です。浅い発酵のお茶で、飲んだ瞬間の香りとスッキリした味で人気のあるお茶です。

その包種茶で有名なのが、私が住む街からトンネル一つ隔てた坪林という所。
高速を降りるとすぐの所に、お茶の博物館があります。お茶についての展示が様々工夫され、庭の散策も楽しめる所です。

残念ながら、中国語のみの案内のため、お茶の説明は詳しくは理解できず😅ー

そこの街の[坪林老街]は狭いながらとても雰囲気のある昔の名残がある所です。

その中の小さなお茶屋さんで軽いランチが有名な所があり、100元のランチのメニューは
[茶油で炒めた油素麺、と手作りのお茶のお菓子、冷たい包種茶のセット]というもの。

その素麺の美味しさ、また、お茶のお菓子の味わい、何度もお代わりをしてくれるお茶!ほんとに素晴らしいものでした。

お茶のお菓子はその店で作られた、ねりきりのような生菓子で、賞味期限はその日限り、甘さ控えめでとても上品な美味しさに、お土産にも買い求めました。

そして、すっきりした包種茶にも魅了されて、近々帰る予定だった日本へのお土産用には、ここのお茶を沢山買い求めました。

台湾では[紅茶]の歴史も長く、人々にとても愛されているようです。
[阿里山紅茶]は高山烏龍茶と同じ樹木の葉が使われていて、烏龍茶は中発酵で、紅茶は完全発酵で作られているというもので、その香りも一段と爽やかでとても美味しく、人気が高まっているようです。

お茶は人それぞれの好みもあり、良し悪しを簡単に語ることはできませんね。

ここからは
台湾の人たちがいかにお茶好きかということに触れてみます。

台湾の南端の辺りにある大鵬湾という所に夕日を眺めに行った時のこと、遊歩道の一角にある館で3名の男性たちが、楽しそうに語らっていました。
テーブルの上にはガスコンロにかけたやかんやお茶が並んでいます。


私と友人が興味ありげに見ると、「お茶を飲んで行きなさいよ」と誘ってくださいました!

40代くらいの大人の男性たちが自分たちでお湯を沸かす道具持参でお茶を楽しんでいる様子が、日本人の私からすればとても珍しいと感じました。

こんな所でいただくお茶はさぞ美味しいだろうなと、お言葉に甘えてお茶をいただくことに。

この方達は、同級生同士で、それぞれに仕事をしているけど、今日は集まってお茶しているとのこと。
お一人はなんと台湾の俳優さんとのことです。

沈み行く夕陽の見えるところで、お喋りしながらお茶を楽しむなんて、なんと風流なんでしょう❣️
しかも飲んでいるお茶は、台湾の最高峰の大禹嶺山のお茶でした。

突然の訪問客を仲間に入れてくれて、楽しいお話で盛り上がり、気持ちの温かいこと、美味しいお茶、謝謝❣️

別な機会に、またまた屏東でのできごと。
友人夫妻と車でドライブに、畑道を結構入り、高い陸橋がある所に行き着きました。

そこは、彼らの友人たちが集う場所のようです。
周りは緑に囲まれたちょっとした広場です。陸橋の下あたりに屋根が設えられていて、一人の男性が台の前に座って、お茶を振舞っているところでした。

力仕事か畑仕事でもしていそうな頑丈そうなおじさん達3人が、お茶を楽しんでいるところでした。

飲んでいるお茶は高山茶、私が興味津々でお茶のことを尋ねると、台湾のお茶のことをいろいろ講釈してくれました。

その方のお勧めは

NO.1は玉山烏龍茶
NO.2 阿里山烏龍茶
NO.3 文山金萓茶 
     などなど。
お茶のことはいくらでも教えてあげるよ、という感じでした。

周りにはいくつか運動器具などもあります。
友人の話によると、毎日、相当走り込んで、ここでお茶を楽しんでいるとのこと。体を鍛えつつ、楽しみを忘れず、ほんとに優雅な時を過ごしている人々でした。

帰りにはお茶菓子に出されていた台湾の有名なお菓子、太陽餅や穫りたてのバナナを房でいただいてきました。
いつかまた、行ってみたい場所です。

羅東にある、蓮の池のある素敵な民宿を営むご主人もまた、お茶を楽しむ方で、ロビーには、立派な茶芸のコーナーがあり、客人にお茶が振る舞われます。香木や盆栽などが並び、趣味の話も盛り上がります。

最近のこと、ともに太極拳を学ぶ方のおうちに招かれてお茶をいただくことに。

[客を目の前にして、ご亭主がお茶を入れて振る舞ってくださるのです]


お茶をいただいたお部屋は畳敷き、戸棚は昔の日本家屋を思わせる引き違い戸の棚で、私は昔にタイムスリップした感覚でした。
日本好きとのことで、
お庭も日本風の造りでとても風流です。

一緒に行ったお仲間たちは台湾の人ばかりで、女性もみんなあぐらで座りお茶をいただく光景に、一瞬違和感を覚えましたが、ここは台湾、当然のことなのですね。

台湾は、椅子の生活なので畳に座る習慣はなく、正座などは全くできないのです。
台湾の女性の足が美しい一つの要因?と日本人の私は思うのでした😂

話を元に戻して

台湾では、おうちでもお茶入れは男性の役割かな、何処のお宅でもご主人がさっとお茶の準備をしてくださる感じです。

お世話になっている高校の先生のお宅にお邪魔した時には、リビングの一角にお茶のコーナーが設えられていて、茶芸の道具の前で、台湾の茶芸のお手並よろしく、お茶をご馳走してくれました。

日本では茶道のお手前が、お作法や型も厳しく行われますが、台湾の茶芸は
お茶を楽しむためにという感じの一通りの流れの中で行われるようです。

茶器をお湯で温めるとか、使ったお湯をそのまま流すなどがその場でできるような工夫がしてあります(立派なテーブルだったり、お盆だったり、また、日本の茶道の建水の役割の器などといろいろです)

[このように下で水を受けるようになったお盆のようなものもよく見受けます]

お茶を入れると、最初はその器を空にして、まず香りを楽しみ、その後にお茶を飲むという手順です。

以前、台湾に旅行できた時に、お土産にお茶を買おうとお茶屋さんに入ると、お店の方が、奥のカウンターでお茶の試飲をさせてくださるのに、この一連の流れを教えていただきながら試飲をしたのがとても印象に残っています。

また、このように、茶芸道具を使うでもなく、何時でも、ご主人が美味しいお茶をたっぷり入れてきて、ご馳走してもらえるお宅があります。

そこでいただくお茶は何時もとても美味しいので、日本へのお土産のお茶を買う時にも、お茶屋さんに連れて行ってもらったりしています。

ドライブ旅行でも、車に茶道具を一式積んでいて、休憩のたびごとに、コンロで湯を沸かしてお茶を準備してくれる方もいます。
そのマメなこと!
公園でも河原でも、温かいお茶を振る舞ってくれます。

台湾の男性にとってお茶を嗜むのが理想的な男性像なのでは?と感じています。

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