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台湾の家庭料理[刈菜鶏湯(芥菜と鶏のスープ)]のこと

日本で、私が暮らしている頃、あまり見かけなかった芥菜です。
台湾では11月ごろから出始め、冬の間いろいろな料理に使われるようです。

大きくなると、高菜とよく似た葉をしているので、私は高菜だと思い込んでいました。よく見ていると、名前は刈菜(グヮツァイ)、日本の芥菜と同じということです。
高菜と同じ仲間なんですね。

[この季節並び始めた刈菜]


日本では、高菜=漬け物というイメージですね。
高菜の漬物を使って、おにぎりを包んだり、また、古漬けになったものを小さく刻んで炒めて食べるのもとても人気があります。
高菜炒飯も人気の料理ですね。

それでも、日本に暮らしている頃、高菜を漬物以外に使うことはあまりないと思っていましたが、ある時、友人から「高菜で丸ごとの魚を包んで蒸し煮にする地域があるらしいよ」と聞き、試してみたことがあります。
高菜の香りが魚のうまみを包み込んで、とても美味しいものができてこんな使い方が、あるのかとびっくりしたことがあります。

また、福岡あたりでは、カツオ菜という、やはり高菜の一種の野菜はお雑煮に入れるというのを知り、冬に福岡に行ったときに、デパートの地下をぶらりとしていて、カツオ菜を見つけたので、買って帰り家で料理してみたこともあります。

同じ高菜の仲間でもいろんな食べ方があるものだと認識を新たにしたものです。

そして、台湾に来てから、この刈菜は漬物以外の料理にもよく使われる野菜なのだということを知りました。

漬物はその漬け期間や水分を抜く程度によって、酸菜、福菜、梅干菜などと名前も変わって、保存したり、いろいろな料理に利用するという工夫がさまざまあるようです。

一番水分が少ない状態のものは[梅干菜]、これは葉先の部分をしっかり漬けて、乾燥させたものをぐるぐる巻にして保存いるもので、梅干のような酸味があるということでこの名がついているそうで、梅干しが入っているわけではないそうです。(老街などのお土産屋さんでも見たことがあります)

私が行きつけの肉まん屋さんに[梅干扣肉包]というのがありますが、その中身には、この梅干菜と豚ミンチを辛い味付けにした餡(高菜の古漬けと豚ミンチの炒め物という感じ)が入っていて、なかなか食べ応えのある味です。

芥菜が育って立派な葉に大きく育った年越しの頃のものは長年菜と呼ばれ、長い葉が年越しの縁起物の料理にも使われていると聞きます。



そして、ついに、その刈菜を使った台湾の家庭料理に出会うことができたのです!

ある時、近くにお住まいの台湾のご家族を尋ねた時に、ちょうど今、お昼の料理を作っているから、一緒に食べていってとおっしゃるので、私は厚かましく「料理をしているのを見せて欲しい」とお願いしてキッチンにお邪魔しました。

まだ台湾に暮らし始めて間もない頃で、家庭料理を作るのを見る機会も初めてで、作り方教わりながら見せていただいたのです。

気になっていた野菜[刈菜]を使っているのです。

[刈菜鶏湯]という料理とのこと。

厚手のスープ鍋に、地鶏のぶつ切り(土鶏と書いたぶつ切り肉がよく売っています)を煮込んで準備をしています。生姜やナツメなどの薬味も入っています。
そこへ大ぶりに切った刈菜を入れて煮込みます。

その傍で、とても大きな中華鍋で、25-30cmはある魚の料理を、その鍋一つであざやかに仕上げてしまったのには、無駄に道具を汚さずに作る段取りを学ばせてもらいました。
まず、魚の両面をしっかり揚げ焼きにして、その魚を向こう側に寄せて、手前でニンニクや唐辛子、ネギなど炒めて調味して餡を作り、魚を寄せて味を絡ませるという手順、大きな鍋だからこそできる方法ですね。

台湾のキッチンで使うのはやはり中華鍋が中心です。しかもとても大きな、直径が45cmはありそうな中華鍋が2-3個はありました。

あっという間にとても美味しい豪華な魚料理ができあがり、スープの方もすっかり煮込まれて、調味は塩が少々という感じです。

スープは材料の味がよく出てコクのあるとても美味しいスープです。
刈菜は苦味もなく、独特の風味が生きています。(記憶が曖昧になっていますが、確かその時はトウモロコシも入れていたような。)

台湾では、鍋物やスープに、よくトウモロコシを3-4cmのぶつ切りにしたものを入れて煮込みます。トウモロコシから出る甘い出汁がスープをとても美味しくしてくれます。

ピリッと辛い甘酢あんを絡めた魚料理との相性もぴったりです。

台湾に住み始めて、初めて教わった家庭の味、11月ごろから刈菜が出始めるので、私も季節になると度々作って楽しんでいます。

トップの写真は、今年出始めの刈菜を使って、我が家で作った簡単な[刈菜鶏湯]、さっぱりと棗の甘さがほんのり、美味しく仕上がりました。

【この写真は、葉先は切って茎の部分だけ[芥任]で売られているもの】

肉厚の台湾の刈菜は炒め物などにも使われ、シャキシャキとなかなか食べ応えのある野菜です。

苦味が気になる場合は、沸騰させた湯に少しの油と塩を加えた中に切った刈菜を入れ、さっと茹でて使うと良いです。


カロテンやビタミン類、繊維分など栄養価も高い高菜の仲間、日本の高菜も柔らかい部分を同じようにして使うと良いのでは?

[上の料理写真3枚はフリー素材から]


これから冬に向けて旬の刈菜、我が家の食卓にも度々登場します❣️

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