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スーパー食堂烈伝#6

スーパー食堂烈伝、6回目の今回は渋川市にある「たか幸食堂」を紹介する。

名店がひしめき合う渋川市の中でも頭ひとつ抜き出た存在と言えるのではないだろうか。

「あれ」が食べたくなる店構え

サブリミナル効果

さて、たか幸食堂の特筆すべき点はなんと言ってもメニューの豊富さであろう。
壁にびっちりと書かれた定番メニューと黒板の日替わり定食。
「食堂」と聞いて想像する物はだいたいある。

しかしながら、目を引くのはオリジナルの定食だ。

"わさびとり中華定食"
"レバー和風チーズ炒め定食"
"とりカレー風味唐揚げ定食"
などなど、創意を凝らした、所謂ここでしか味わえないメニューも気になるところである。

それでも、だ。
ドアを開ける前に黄色の壁に赤で大きく「たか幸食堂」と描かれているのを見ているはず。きっと気づかないうちにあの5文字を探しているだろう。

そう、オムライスである。

人類は皆、黄×赤からこれを連想する生き物なのだ。
安心してほしい。あなたの求めているものはここに存在している。

オムライス(大盛)

いかがだろうか。
ランチのピークタイムだったのにも関わらず、ケチャップでしっかりと店名を書いてくれた。
幾度となく書いてきたであろう4文字からは、食堂としてのプライド、矜持を感じる。

薄切りの豚バラ肉と玉ねぎのシンプルなケチャップライスを、しっかり焼いた卵で包んだクラシックスタイルのオムライス。
これこれ。オムライスはこうでなくちゃ。
ふわとろなんて一昨日来やがれってんだ。

連鎖する相席

人気と席数の帳尻が合わないのが、食堂の食堂たる所以である。
ここも例外ではない。
お昼時にもなれば、次々とお客さんが入って来る。あっという間に席は埋まる。

しかしそれでも止まらぬ来店。

店員さんが聞く「相席よろしいですか?」お客さんは答える「もちろん」

こんなやりとりを、何回も聞く。

僕が入店した際も満席で、座敷席にて相席をさせてもらった。気の良さそうなお兄さんだった。

2人の間に会話はない。
しかし、文字通り同じ釜の飯を食うもの同士、何かこう仲間意識みたいなものが芽生えた気がした。

そうしてお兄さんが会計を済ませて帰った。

オムライスはまだ来ない。

店員さんがこちらにやって来て問う。

「相席よろしいですか?」

答えは1つに決まっている。
「もちろん、どうぞ」

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