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スーパー食堂烈伝#1

幸せの黄色い看板

最初の記事で「9月に閉店したお店」と言った、このお店のことを書かなくては先へは進めまい。

小さな頃は家族と、大人になってからは1人若しくは友人と通ったお店だ。
昔からここの雰囲気が好きだった。

入り口側にはテーブル席、奥には座敷席があった。僕は、金魚やドジョウの泳ぐ水槽が見られるテーブルの席が大好きで、注文したメニューの到着を待つ間それをじっと眺めていた。

お子様ランチを頼んだらおまけにおもちゃが出てくるわけでもないし、そもそもお子様ランチみたいなメニューがあったかもわからない。
しかし、親に「どこにご飯食べ行きたい?」と聞かれたら結構な確率でここのお店がいいと言っていた気がする。

御嶽食堂

渋川市にあった御嶽食堂。
この前近くを通ったら、建物がなくなって更地になっていた。

閉店してしまう前、最後に頼んだのはカツ丼(大盛)
一口大にカットされたカツには、ちょっと甘めの割下がじゅんと染みている。
ほどよく食感の残った玉ねぎもいいアクセントである。
ご飯がよく進む、昔ながらの食堂らしい味だ。

しかし、カツ丼もカツカレーもオムライスも焼肉丼も、どれももう食べられない。心に空いた大きな穴は、未だ埋まってはいない。

だから、僕はこうやって自分の言葉で残すことにした。記憶はもちろん、記録としても残しておきたいのだ。


小さな頃から大好きだった御嶽食堂のカツ丼を最後に食べたのは、金魚の泳ぐ水槽がよく見えるテーブル席だった。

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