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シングルマザーのクッキー屋の話【ほぼ日とわたしたちのこと②】

あーちんが小学校に入って、今の小学校事情について観察していたら、わたしたちが小学生だった時と明らかにちがうな、と思うことがあった。
わたしが小学生のときは、クラスメイトのだれが字が上手だとか、勉強ができるとか、鉄道に詳しいとか、絵が上手だとかを知っていたけれど、あーちんはわからないと言う。

彼女が周りに興味がないのもあるけれど、例えば、演奏会などでもピアノが弾ける子が伴奏をするということはなく、高学年でも先生が伴奏をする。ピアノだけではなく目立つ楽器を使わず均等な出番になるようになっていた。
それを見て、誰かだけが目立つようなことは避けたいのだなとわかったし、個々に褒めるということがないのもわかった。

わたしはあーちんのことをベタ褒めだけれど、それはもう彼女にとって当たり前のことで、こどもが伸びるには親以外の大人に褒められることが大事だと思っていたので、学校の先生は褒めてくれないとわかって、それならば別に褒めてくれる大人を捜さなければと本気で思った。

あーちんの描く絵がずいぶん上手だなあとは思っていたけれど、絵画コンクールで賞を取るような絵の上手な子供は他にたくさんいるし、全国の小学生が競うような場所で彼女の絵の魅力は光らないということはなんとなくわかっていた。
それでは、あーちんの絵はどことだったら目が合うのかな、といつも考えていた。

わたしがクッキー屋をはじめて間もないころ、あーちんが9歳のときに、ほぼ日で「ほぼ日マンガ大賞2012」という企画があることを知った。

わたしはすぐに「これはもしかして、目が合うんじゃないの?わたしじゃなくて、まさかのあーちんが!」とピンときた。(ほら、心はほぼ日の社員だったので)
あーちんもほぼ日が大好きで、いつも「ブタフィーヌさん」を読んでいたこともあって、ノリノリだった。
その当時、クッキー屋の店頭でくばっていた、あーちんが描いてくれる「サクサククッキー新聞」がとてもおもしろかったので、その延長ですんなり楽しんで描いていた。

そして、あーちんの作品は1000通の応募の中から見事入賞し、「くまお」の連載がはじまった。

本当に夢みたいだと思いつつ、これであーちんがおもしろい大人たちと関わって、のびのび力を発揮することができる!と、とても安心した。

「うちの子すごいでしょ」という気持ちよりも、わたしが自分ひとりだけの価値観で育てることに自信がないので、本気で誰かに頼ろうとした結果だったなあと思う。


長くなったので・・・初回はこちらです。

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