マガジンのカバー画像

SAC about YODAN

120
運営しているクリエイター

2016年11月の記事一覧

書くことはこわくない(オニオンリング宣言)

わたしたちは、あらゆる思いこみのなかで生きている。いいとかわるいとかではなく、ほとんどのことは思いこみだ。ただし、その思いこんだものだけが世界だとも思う。 たとえば、わたしはこどもの頃、日焼けも即吸収して真っ黒になるタイプで、それは次の夏まで続くので、常に肌の色が黒かった。こどもにとって夏の「真っ黒」は誇りですらあったので、コンプレックスではなかったけれど、とにかく「自分は地黒だ」と思っていた。 高校を卒業して、はじめてデパートの化粧品売り場で美容部員のお姉さんにファ

チョコレート依存症だった話

チョコレート屋さんで12年間働いていたので今さらだけど、わたしはチョコレート依存症だった時期がある。 チョコレートの原料のカカオによって幸福感をもたらすエンドルフィンの分泌作用があるとか、砂糖による血糖値の乱高下の影響だとか、いろいろと原因はあるようだけれど、とにかくふりかえるとあれは確実に依存していたな、と思う。 思い出すのは、18歳のころ、父が倒れて入院したときのことだ。 父は脳梗塞で倒れ、そのときに駅の階段から落ちて脊髄の損傷があった。意識はもどったが、言語と身体

いちょうの記憶(14歳の誕生日に)

すでに出産予定日を3日すぎていたので、外出せずに自宅でひたすら陣痛を待っていた。あんなになにもしないでおなかだけに意識を集中してすごした時間は、後にも先にもない。 午後になって、なんとなくおなかがチクチクと疼く感じがした。しかし、おなかに集中しすぎて想像陣痛かもしれないし、痛みの間隔をはかるほど痛みのはじまりをキャッチできない。気のせいかな?という程度の痛みだった。夕方になって念のため病院に電話をしてみると、予定日をすぎていることだし一度受診にきてくださいと言ってくれた

あーちんと仕事のこと

わたしの娘あーちんは中学2年生で、1週間の職場体験という取り組みで、10代続く庭師のもとに師事して働いている。早朝から、苗木を運ぶ手伝いや職場の掃除、焼却炉の掃除、近隣の住宅周りの掃除などをしているそうで、とてもいい経験だなと思って見ている。 こういう取り組みを、文科省は「キャリア教育の推進」として、学校と社会のつなぎめをなくそうとしているのだけれど、大勢への教育に対して、社会にでることは「個」なので、解決はなかなかむずかしいのだろうなとも思う。 あーちんがまだちいさい頃

泣けない女のやさしい気持ち(星空と鍋)

わたしはめったに泣かない(泣けない)のだけど、泣きたいきもちは人並みにある。今週末は2回も涙ぐんだ。 友人夫婦が島根でケーキ屋さんを開店するので、お手伝いに行ってきた(松江の pâtisserie J KOWARI よろしくお願いします)。 なにかがはじまる瞬間に立ち会えるのはとてもうれしいし、とてもおもしろい。同時にものすごくパワーをつかうし、人力も必要なので、力になりたいと思って島根へ乗り込んだ。彼らはもと同僚なので、なんとなく察しがついてはいたけれど、「これはサクさ

君のスイッチをONしたい

たとえば本でいうと、アマゾンで決まった目的の1冊だけ買うときは、視野は絞られているからむしろ他の情報は不要だったり、なんでもある大きな本屋さんで本を選ぶときは、じぶんから出会いにいくウィンドーショッピング感覚があったり、意志をもって選んだ本が並んでいるセレクト本屋さんでは、自然と意識が高くなってドヤ感で選んでいたり、古本屋さんでは宝探しの発掘の目をもっていたり、さらに誰かが読んでごらんと貸してくれた本は、読んだあとで話すことも含めて本にその人がまざっていたりする。 同じ本で