見出し画像

山登り人生vol98奥岳渓谷2回目の救助活動

28歳。奥様27歳 長女3歳、長男1歳。
昭和51年度はヨーロッパアルプス遠征、
昭和52年度は黒髪山系竜門の沢探索に終始した年となりました。
黒髪山系の合間に
昭和47年、48年8月以来4年振り3回目の奥岳渓谷に入渓しましたが
昭和48年に続いて救助活動となりました。

No217祖母山奥岳渓谷 


昭和52年8月13~16日 10名
13日佐世保18:10⇒尾平0:35(仮眠)
14日尾平6:00→奥岳渓谷BC設置
  夏みかん隊ウラ谷:私ほか5名、
  甘納豆隊ウルシワ谷5名に分け行動。
       長崎〇〇労山より救助要請を受ける。
15日川上本谷より救助活動
16日大雨で沢登り中止下山

14日夏みかん隊うら谷の記録

BC8:35→ウルシワ谷出合8:40→ウラ谷出合9:15→9:30F2(標高750m地点)→10:00F5→10:40F8(左俣退却し右俣へ)→ケルン11:15→11:35F15(2段30m)12:10→12:55F19(下段支尾根14:05・上段支尾根14:25)→F22上部14:35→15:00F30→1,460m地点15:25→岩稜上15:40→縦走路16:15→甘納豆隊と合流16:40→黒金尾根分岐16:55→17:40BC(遭難救助の依頼を受ける。)

ウルシワ谷出合でワラジ着用。
ウラ谷出合で甘納豆隊と別れる。
F2を過ぎると素晴らしいナメが続く。
しんつくし山岳会記録のF4~7までは確認できなかった。
F8のあと谷は二分するが、
側壁から落ちる滝(右俣)が本流であり間違いやすい。
最初左俣を登るが怪しくなったので
右俣にトラバースするとケルンが見つかった。
F15は2段30mであるが、その中段で昼食を摂り、2段目の左岸を高巻く。
F19は左岸を高巻き、
捨て縄でアブミ代用としてコンティニュアンスで登る。
この高巻きには1時間30分を要し支尾根に出る。
ここで初めて甘納豆隊と交信ができ、彼らはもう稜線に抜けたらしい。
F30は岩壁上の大滝で、右岸の小ルンゼを登る。
暫くするとスズタケのブッシュとなる。
標高1460m地点から岩伝いに登る。
1,510m付近の岩稜は嫌な場所だった。
眺めが良く、甘納豆隊と二度目の交信ができた。
彼らが天狗岩手前の小ピークで手を振っているのを確認できた。
岩稜から再び本流に入り、ルンゼを詰めて終了となった。

14日甘納豆隊ウルシワ谷の記録

BC8:30→ウラ谷出合9::20→F1(4m)9:25→F2(3m)10:35→F3(5m)→11:15F4(25m)11:40→F5(12m)12:05→伏流となる13:05→終了13:35→
縦走路14:00→14:25祖母山頂15:00→天狗岩手前小ピーク15:35→夏みかん隊と合流16:40

ウラ谷出合で右俣に入る。
この後200mほどナメの連続。10;00出合にぶつかり右俣へ。
10:30再び出合。F3は左側を巻くのが良い。
F4(25m)は逆層の滝で、この直下で昼食とする。右を高巻く。
F5・F6は左を巻く。
13時過ぎから伏流となり左手に岩が迫る。
沢が終了し15分程で笹のブッシュとなり、10分程で縦走路に飛び出す。
祖母山頂でゆっくりして天狗岩手前小ピークで夏みかん隊と合流する。

14~15日遭難救助活動の記録

14日要請17:40出発20:00→退却21:20→21:40BC
遡行を終えBCに戻ると、長崎〇〇労山の2名が我々を待っており、救助要請を受ける。2時間後、腹ごしらえをして6名が出発する。
できるだけ高巻きして登るが、ルートに確信もてず。
負傷者も一刻を争う重症でないことも分り退却を決める。
救助隊の役割を決め明日に備える。
 
15日BC4:15→エボシ谷出合5:50→ヤマセ谷6:45→スリウス谷分岐6:55→7:45遭難地点8:30→スリウス分岐11:00→14:00BC

遊歩道と別れ4:50入渓するが、
まだ谷は闇の中で気持ちが良いのもではない。
5:30ようやくライトなしで歩けるようになる。
スリウス谷出合を過ぎ、上にコールを掛けると返事があり。
「全員元気」とのコールあり安心する。
これより滝の連続となり、高巻きして高度を稼ぎ懸垂下降で現場に降りる。負傷者も思ったより元気である。
労山パーティーリーダーI氏より救助の一人を受け、救助方向を確認する。負傷者は右腕打撲で手が使えないが歩くのは大丈夫であり、沢を下降することにした。
全員腹ごしらえをして8:30下降開始。
ここから滝が三段連続しており一番のポイントである。
ルート工作に私ほか2名が当たる。
5名が負傷者を下す。
労山パーティーは新人が多く、残り3名がサポートする。
最初の滝はY氏が背負って懸垂、次は労山T氏が、
次の滝は7ḿチョックストーンのハングになっており
ザイルの流れが悪く苦労する。
10:35難所を下りホットする。
この先、負傷者自ら歩いてもらう。
もう一ケ所滝を背負って下った。
この後、沢筋に巻道がありスムーズに下れた。
14時BCに戻り、救助隊を解散した。

使用した装備は、
11mmザイル2本、9mmザイル3本、カラビナ28枚、ハーケン2本、
シュリンゲ9本、負傷者背負用テープ2本、ハンマー2本、ナタ3本でした。

今回の救助は負傷者が歩けたこともあり、早く下すことができた。

遭難状況

事故発生:14日13時頃。
     川上本谷核心部大滝20m標高1250m、
     エボシ本谷から別れ200m程上部。
パーティー構成:経験者2名、全くの未経験者2名、他3名(女性2名)
発生状況:大滝を右岸小ルンゼより高巻きしていたが
     無理と引き返していた際に、
     遭難者(女性)が浮石を抱えた格好でスリップ。
負傷の程度:右手脱臼。右足打撲で歩けないとのことだったが
      サポートにより歩くことできた。
      右手も多少動き大したことはないように思えたが
      ショックが大きかったようだ。
      帰郷後の連絡で首のムチウチ、腕打撲で1カ月の入院となる。

16日下山

夜半から雨が降り、テント内は水浸しになる。増水のため今日の予定は中止とし下山に決定。奥岳川の渡渉地点は増水しており左岸を高巻きして宮原からの登山道に合流して吊橋を渡り尾平に9:10下山しました。


 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?