2021年 京大入試 英語大問2 第12文・第13文 下線部訳
18日目、今日は豪華2本立てです。今日は長くなるので目次を付けてみようと思います。何か質問や、こっちの訳がいいよといったアドバイスは僕のツイッターにお願いします。まずは1文めです。
1. 第1文の原文と全文訳
What is that question?
ええっと、主語が、that question「問い」動詞が is 補語がwhatです。全文訳
その問いとはなんだろうか?
中学生レベルですね。終わりです。これで終わりにすると3分で終わってしまうので、もう少し続けます。この疑問文は段落最後にあるので、次の段落のテーマになるかもしれません。長文中の疑問文は主に、「修辞疑問」か「問題提起」です。修辞疑問とは反語のことです。わかりきってる問いを読者に与えることで主張を明確にします。問題提起はその字の通りこれから話す内容をかんたんにまとめたものです。どちらにしろ純粋な疑問文ではなく、筆者のテーマが現れる文になります。
さあ、頑張ってもこの文に対して僕の話せることはこれくらいなので、次の文行きましょう。下線部訳が出題された部分になります。
2. 第2文の原文と単語の解説
2.1.原文
If we trace the history of opinion from the dawn of science in Greece through all succeeding epochs, we shall observe many constantly reappearing indications of what may be called an intuitive feeling rather than a distinct vision of the truth that all the varied manifestations of life are but the flowers from a common root — that all the complex forms have been evolved from pre-existing simpler forms.
2.2.単語の解説
trace:追いかける opinion:意見 dawn:夜明け succeeding:続く
observe:観察する constantly:絶えず reappearing:再現する
indications:兆候 intuitive:直感の distinct:明確な varied:様々な
manifestations:兆候 but:だた(副詞) complex:複雑な evolve:進化する
pre-existing:前から存在する simpler:より単純な forms:かたち
まずは単語の解説です。もうここまでで1000語です(驚愕)。僕が知らなかった(間違って覚えてた)単語を太字にしてあります。
単語の解説(知ってるやつは飛ばしてもOKです。)
dawnは夜明けという意味ですが、何かの始まりというイメージです。朝日がドーンと登っていくイメージでしょうか?(オヤジギャグでごめんなさい)
succeedingは覚えにくい単語です。語源はsuc(下に)+ceed(行く)→下に行く→継承する・連続する→成功するってイメージですがちょっときついですよね。ceedが行くって語根なのは使えるんですが、suc(下に)は覚えてもあんまり使いみちがないような気がします。ですので今回はおそらく誰もが知っているであろう「成功する」イメージしたいと思います。succeeding「成功している」って日本語はずっと成功してるイメージありません?そこからイメージして、ずっと成功している→次も成功する→成功が続く、これで覚えやすくなると思います。constantlyは語源でおさえると簡単で、con(完全に)+stant(立つ)→完全に立つ→不変→いつも、というイメージです。alweysと置き換えてもいいと思います。
indicationはインジケーターって言葉を聞いたことがあると覚えやすいと思います。「指標」みたいなイメージです。
次にintuitiveこいつ苦手でどうもinstinctiveと間違えます。ただ、みんな大好き(僕は大好き)ロングマン先生はinstinct=intuitionとおっしゃってるので気にしないことにします。語源を見るとinstinctのほうが強い意味かもしれません。
distinctの語源はde(離れる)+stinc(g)(刺す)→刺して離す→分離→はっきり異なるというイメージで覚えるといいです。ちなみに先程出たinstinctも同じ語源で、自分の中から突き刺してくるような強いものと言う意味です。stingは『指輪物語』に出てくる剣の名前にありますね。「つらぬき丸」って訳語になってます。僕はそこから覚えられました。
variedはバリエーションのバリーって言えば覚えるのは簡単ですね。バリエーション豊かというのはいろんな種類があるってことですからね。
manifestationsが「兆候」って意味になるのを知ってる受験生っているんでしょうか?僕は知りませんでした。一応鉄壁とStock4500に載ってましたが、「兆候」の意味は鉄壁のみでした。流石です。ただ僕はmanifest「明白な」から「明らかなもの」と考え読んでいきました。
butが一番の曲者かもしれません。接続詞のbutは常識で前置詞のbut(以外)も知ってる人は多いですが、副詞のbut(=only)は知ってるひと少ないんでしょうか?僕は全く知りませんでした。文から副詞ということはなんとなくわかるので、僕は副詞の訳で迷ったら「強調(「すごく」が結構使える)」で訳します。
pre-existingこれは-(ハイフン)の働きを知ってると覚えやすいし応用も効きます。-(ハイフン)の役割は「形容詞になる」です。なのでpre(前に)+existing(存在している)→「前から存在している」です。大事な単語はここらへんですね。京大の下線部和訳は単語が難しいというより、構文の把握が難しいことで有名です。
3. 第2文の文法事項の解説
では重要文法の確認です。大きく「副詞節の時制」「助動詞shall」「関係詞what」がポイントです。大丈夫な方はサクッと次に行ってください
3.1.副詞節の時制
副詞節の時制は主節の時制に合わせることが普通ですが、例外として、未来の表現だけは現在形の動詞です。実際の英文から見てみましょう。
If we trace the history of opinion from the dawn of science in Greece through all succeeding epochs, we shall observe many constantly reappearing indications〜
shallは次の項で詳しく話しますが、助動詞の基本イメージは未来です。しかしifの中身の動詞はtraceです。これは現在形ですね。ここまでだと簡単ですが、実はこんな形の文もあります。
I will return it when I have finished 「終わったら、返します。」
現在形ではなく、完了形が使われています。ここがポイントで、実は現在形と完了形が使われます。けっこう文法問題で狙われる部分なので、現在形というより、「現在系統」の動詞とおぼえておきましょう。完了形も基本イメージは「現在」です。
3.2.助動詞shall
助動詞shallが文章ではあまり見ないのでどう考えたら迷いますよね。ズバリ「強いwill」です。ロングマン先生にはこう書いてあります。
3 formal or old-fashioned used to emphasize that something will definitely happen, or that you are determined that something should happen.
簡単に訳すと、「willの内容を強調する(emphasize)」です。助動詞は一般的に主観的な内容を表すんですが、shallは特別で「他者(神様)の意思」というイメージがプラスαで付きます。聖書なんかにはshallがバンバンでてきてます。自分の意思(will)を飛び抜けていくのがshallです。
3.3.関係詞what
文中のwhatは大きく間接疑問か、関係詞whatに分けられます。ただしどちらも「名詞の働き」と「後ろに不完全文が来る」というのは変わりません。不完全文とは主語や目的語が欠けている文のことです。形も結構似ているのでどっちの訳でもうまくいくことが多いです。「何をするか」と「するもの」の違いです。
4. 第2文の構文の説明と逐語訳
では文構造を見ていきましょう。文構造では主に3つのかっこを使います。
〈〉:三角かっこ→名詞のカタマリ
[]:四角かっこ→形容詞のカタマリ
():丸かっこ →副詞のカタマリ
ここに関しては、申し訳ありませんが、そういうものとして了解しておいてください。
4.1. 全体の構文解析
(If we trace the history [of opinion]( from the dawn [of science]) (in Greece)( through all succeeding epochs),) we shall observe 〈many constantly reappearing indications〉 [of 〈what may be called an intuitive feeling〉]rather than 〈a distinct vision〉 [of the truth][ that all the varied manifestations [of life] are but the flowers( from a common root )]— [that 〈all the complex forms〉 have been evolved( from pre-existing simpler forms.)]
とりあえず細かく分けましたが、わかりにくいですね。まずは大きい構造を捉えましょう。構文が問題なければここは飛ばして逐語訳に飛んでもらって結構です。
4.2.骨格になる構文の確認
ではまず大きい構造から見ていきましょう。
この文を読んだときにまず気が付かないと行けないのが「接続詞if」の形と「rather thanの大小関係」です。
ifの形は「if s v, SV」の副詞のカタマリです。カンマもあるし問題はないですね。ちなみに名詞のカタマリを作るifは文頭には来れません。使い勝手悪いです。
次はrather thanです。thanは比較のときにも述べましたが、大小関係を記号で表すとスッキリします。今回否定語はないのでそのまま「many constantly reappearing indications > a distinct visionの関係がわかればオッケーです。下の構文解析の太字になってるところがわかれば今は問題ありません。
メインの主語はwe 動詞はobserve 目的語はmany constantly reappearing indicationsです。
(If we trace the history of opinion from the dawn of science in Greece through all succeeding epochs, ) we shall observe〈 many constantly reappearing indications〉 of what may be called an intuitive feeling rather than 〈a distinct vision〉 of the truth that all the varied manifestations of life are but the flowers from a common root — that all the complex forms have been evolved from pre-existing simpler forms.
太字で書いたとこ以外は基本おまけの説明です。英文解釈の基本は「与えられた文が第何文型か分析する」です。文型を読み間違えると文の意味が全くわからなくなります。太字の部分はなんとしても読み取るよう練習していきましょう。
4.3.逐語訳と細かい構文の解説
では、構文はつかめたので、頭から訳していきましょう。まずはifからです。
If we trace/ the history/ of opinion /from the dawn /of science /in Greece/ through all succeeding epochs,
「もし私たちが追いかけたら/歴史を/意見の/始まりから/科学の/ギリシャで/通して/すべての続く時代を」
ポイントはofの働きです。history ofのofは同格(=イコール)です。「〜の」というオーソドックスな訳です。the dawn ofはどうでしょう?同格でも問題はありませんが、dawnは単語の解説で「始まり」と考えました。動詞っぽいので、動詞の訳をしてみましょう。いわゆる名詞構文です。そうすると「始まる」のは科学なので「科学が始まる」と考えると良さそうです。
次はfeelingまで見てみましょう。ここがこの文の主張です。
we shall observe /many constantly reappearing indications /of what may be called/ an intuitive feeling/
「私たちはきっと観察するだろう/絶えず何度も指し示すものを/私たちが呼ぶものが/直感的な感情と」
文法で話したようにshall=強いwillです。reapperaring ,indicationを動詞とみて、「私達が直感と呼ぶものを指し示すものが現れる」と名詞構文で考えてみます。ofが目的語の働きをします。whatの中身はcallの第5文型です。call o c「oをcと呼ぶ」のoが欠けてます。
では、rather thanからrootまで見ましょう。
rather than/ a distinct vision/ of the truth /that all the varied manifestations /of life /are but the flowers /from a common root
「よりむしろ/はっきりと見る/真実を/たくさんある兆候すべてが/いのちの/花である/共通の根からの」
逐語訳だとこいつはいまいちです。visionを動詞とみて、「真実をはっきりと見る」という名詞構文で考えもいいと思います。関係詞thatはtruthの説明です。また逐語訳では副詞のbutは無視します。「共通の根からの花」っていうのは完全に比喩ですね。直後にダッシュがあるのでここからがこの文のわかりやすい説明なはずです。
では最後にダッシュ以下を訳しましょう。
— that all the complex forms/ have been evolved /from pre-existing simpler forms.
「複雑な形のものすべては/進化してきた/前もって存在するより単純な形から」
前の部分と形にてません?同じ内容なので構文も同じにしてくれてます。
all the varied manifestations of life=all the complex forms( of life)
are but the flowers =have been evolved
from a common root=from pre-existing simpler forms
ここが対応している部分になります。formがどんな形か書いてませんが、構造からof lifeがわかりますね。また前の文の「共通の根から花になる」というのは「単純な形から複雑な形に進化する」ということですね。
5.第2文の和訳のコツ
では逐語訳と構文をもとに細かい部分を直していきましょう。
名詞構文は構文のところで説明したので、基本的に名詞構文以外を見ます。
history of opinion はどう訳しましょう?科学が生まれてからの意見なので考えの歴史でいいと思います。僕はイキって科学=哲学ということから哲学の歴史と訳しちゃいました(笑)。博士号はDoctor of Philosophy in ~と表記されます。つまり「哲学博士」です。どんな科学であっても哲学と考えるのが英語圏の考えみたいです。
through all succeeding epochsは「続く時代すべて」なので「今までに続く時代すべて」と訳しました。今までを補いました。
manifestationsの訳は結構難しいですが、「兆候」は微妙ですよね。ですので、「明らかなもの」→「はっきりと見えるもの」→「目に見えるもの」と訳したいと思います。名詞は動詞っぽく訳してみます。
rootは「ルーツ」ってカタカナ語もあるので「祖先」と訳してみます。
6.第2文の全文訳
では全文訳行ってみましょう。今回の文は長いので、訳は1文でまとめるやり方と2文に分けるやり方があります
6.1.1文でまとめるやり方
ギリシアで科学が生まれた頃から現在に続くあらゆる時代を通して、哲学の歴史を追ってみると、目に見える生命すべてが、共通の祖先から生まれた花でしかない、すなわち複雑な命のかたちは、以前から存在するより単純なかたちから進化してきたという真実がはっきり見えるいうよりむしろ、私たちが直感と呼ぶようなものを絶えず何度も繰り返し示しているのを目にするだろう。
この訳は主節の文をメインに1文でまとめたものです。英語の語順にはなってないので少し見にくいです。
6.2.2文でまとめるやり方
ギリシアで科学が生まれた頃から現在に続くあらゆる時代を通して、哲学の歴史を追ってみると、真実がはっきり見えるというよりむしろ、私たちが直感と呼ぶようなものが絶えず何度も繰り返し示されているのを目にするだろう。その真実とは、目に見える生命すべてが、共通の祖先から生まれた花である、すなわち複雑な命のかたちは、以前から存在するより単純なかたちから進化してきたというものである。
こちらはrather thanの関係をわかりやすいように骨格だけを1文でまとめました。それから補足部分の説明を加えた文になります。
2文にしたほうが英文の構造に忠実で読みやすいですが、真実が強調されてる感じがして少し微妙です。
とりあえずここでほうっておいて全文読んだらまた戻って見ましょうか。なにか見えるものもあるかもしれません。
7.復習用英文
最後に復習用英文を載せます。逐語訳を少し修正したものです。これで音読の練習をすれば完璧です。英語を読んで日本語の訳が思い浮かべばオッケーです。英語のまま理解できたら完璧です。
If we trace/ the history/ of opinion /from the dawn of science /in Greece/ through all succeeding epochs,
「もし私たちが追いかけたら/歴史を/哲学の/科学が生まれてから/ギリシャで/今までに続く時代を通して」
we shall observe /many constantly reappearing indications /of what may be called an intuitive feeling/
「私たちはきっと目の当たりにするだろう/絶えず何度も繰り返し示すものを/私たちが直感と呼ぶようなものが」
rather than/ a distinct vision/ of the truth /that all the varied manifestations /of life /are but the flowers /from a common root
「よりむしろ/はっきりと見る/真実を/目に見える命すべてが/花である/共通の先祖からの」
— that all the complex forms/ have been evolved /from pre-existing simpler forms.
「複雑な形のものすべては/進化してきた/前もって存在するより単純な形から」
8.終わりに
お疲れさまでした。8000字オーバーです。最高が4000字でしたので、軽く2倍超えました。正直説明が多かったかなと反省してます。長くなると構成も大変なのでなるべく5000語は超えないようにしたいです。疲れました。
この文本番で解いたとき手も足も出なかったので、ある程度太刀打ちできたので良かったです。落ち着いて考えれば部分点取りに行けたなと反省してます。そういう意味でもこの復習やってるんですけどね。ではまた明日!
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