2021年 京大入試 英語大問2 第9文
15日目です。今日の英文は長いです。
This extent of influence is less due to the fact of its being a masterly work, enriching science with a great discovery, than to the fact of its being a work which clashed against one and chimed with the other of the two great conceptions of the world that have long ruled, and still rule, the minds of Europe.
extent:程度 due to:〜のため masterly:見事な enrich:豊かにする
discovery:発見 clash:ぶつかる chime with:調和する rule:支配する
単語で大事なのは、due to とruleでしょうか?due のコアイメージは←(やじるし)ではないかと思っています。後ろで前を突き刺すイメージです。なのでdue toは「後ろの原因によって、前の結果になる」と考えます。結果←原因ですね。これをはじめとした多くの熟語を因果構文としてまとめてくれた人には感謝でいっぱいです。現役時代に知りたかった(泣)。ruleはそのまま「ルール」と覚えている人が多いかもですが、人を縛る力のあるものというのがコアイメージなので、「支配」という意味も覚えておくといいです。遊戯王カードの「炎を支配するもの(フレイムルーラー)」を知っていたので、すんなり覚えられました。ゲームとかアニメには結構英語を覚えるトリガーが多くあるので、すごく助かります。
では本文に行ってみましょう。今回はカンマと関係詞が多く、骨格がわかりにくいですが、ズバリ今回の文の核は「比較」です!どこにあるかわかりますか?一部抜粋しましょう。
This extent of influence is less due to the fact of its being a masterly work, enriching science with a great discovery, than to the fact of its being a work
less thanの構文が見えましたか?これ、due toの長いカタマリが入るだけでは飽き足らず、分詞構文まで間に挟まってます。だからなかなかless thanに気づけません。僕は、no(t) so やless moreを見かけたら必ず比較級モードになってas やthanを探します。比較って長文では主張をを見つける大事なヒントなので、見落とすと議論の流れを見失います。特に今回のless thanは注意が必要です。なぜらな、less thanの大事な部分はthan以下になるからです。普通than以下は省略されたり、弱い方の比較対象が来ます。なので、見落としてもそこまで問題はありませんが、否定語とセットになるとこの関係が逆転します。つまり意識せず読んでしまうと真逆に読んでしまうんです。おそろしいです。thanを「〜より」と訳して、逐語訳しながら読んでいくと、この罠にハマりやすいです。僕はこの罠を回避するために、英文を読むときは、英語のまま考えるか、記号化して考えてます。比較の構文は記号化するとすごくわかりやすくなっておすすめです。記号といっても、=(同じ)や←(因果関係や順番)や>(大小関係)これくらいなのでそこまで難しくありません。今日は主語動詞の前に、比較から片付けていきます。
ではまずthan以下からみましょう。to the factとなっているのでこれと同じ形を前から探します。ここら辺はandなどの等位接続詞とにてますね。asやthan以下は比較対象と文法的におなじ、というルールがあるので、形をみていきます。 to the factが形どころか単語まで同じ形ですね。fact同士の比較のようです。最初のfact of its being a masterly work「それが素晴らしい作品であるという事実」をF1、than以下のfact of its being a work「それが作品であるという事実」をF2とします。ではこの2つのfactを大小関係の記号で考えてみましょう。A than Bを記号で考えると、「A>B」です今回はlessという否定語があるので、不等号の向きが逆転します。ですのでF1とF2の関係は「F1<F2」になります。つまりF2がメインになるような訳出をすればオッケーというわけです。
数学っぽい説明になってしまいました。
文法の知識は、和訳の筋道を立ててくれるのでとっても便利ですよね。学校でもこういうふうに教えてくれればいいのに…
では主語と述語を見つけて骨格部分を訳しましょう。主語はThis extent of influence「この影響の度合い」動詞はis「=」これにdue toの因果関係と比較の大小関係を入れるとこんな訳になります。
この影響の度合いは、それが素晴らしい作品であるという事実ではなく、作品であるという事実によるものである。
こんな感じでしょうか。F2の「作品であるという事実」の「作品」はどんな作品なんでしょうか?関係代名詞のwhich以下がその内容のようです。
which clashed against one and chimed with the other of the two great conceptions of the world that have long ruled, and still rule, the minds of Europe.
whichのカタマリはどこまででしょうか?悩んだんですが、最後までで良さそうです。ここで大事な文法事項はoneとthe otherでしょうか?the otherはラストワンって感じなので当時の学会には2つの学説があったみたいです。接続詞andの並列内容は後ろがchimed withという動詞の熟語なので、clashedとchimeの並列ですね。頭文字合わせたんでしょうか?ところで皆さん、chime withの意味をご存知でしたか?お恥ずかしながら僕は知らなかったです。claimと見間違えてて全くわかりませんでした(笑)。しかし、one とthe other の2つのものとandの並列から、againstとwithに注目して、おそらく対比の構造かな?と推測しました。ですのでchimeをclash「ぶつかる」と逆の意味の「仲良くする」とかんがえて読み進めました。Google先生に聞いたらchime withで「調和する」ってあったんで、ガッツポーズですよ。こうやって単語の意味をアタマをつかって予想すると絶対忘れません。しかもそれが正しい解釈だと脳漿炸裂ものです。最高に『ハイ!』ってやつです。アハハ。
取り乱しました。ここらで1日の目標の2倍近く書いているので、さっさと和訳に戻ります。作品の内容は、一つの考えとはclash「ぶつかる」して、残りの一つの考えとはchime「ぴったりあう」したものですね。どんな考えかというと、最も長くヨーロッパ中(=世界)の考えを支配している(現在も支配している)考えのようです。ヨーロッパ以外は世界にあらずみたいです。ではwhich部分を訳しましょう。
ヨーロッパ中の考えを長く支配してきた(今現在も支配している)2つの世界的な考えのひとつと衝突し、残りのひとつとは調和した(作品)
ボキャ貧でchimeのいい訳は思いつきませんでした。
では最後すっ飛ばした部分を訳しましょう。
enriching science with a great discovery
これ分詞構文らしいんですけど、僕には分詞に見えちゃいます。分詞構文は位置で意味が変わるとこの英文解釈の最初のほうで言いましたが、こいつの位置、前でも後ろでもないんですよねぇ。真ん中です。この場合は前の名詞の補足説明になるらしいんですが、それってもはやただの分詞ですよね。なのでこの訳は、
素晴らしい発見で、科学を発展させた(すばらしい作品)
という訳になります。比較と単語の意味予想の説明で燃え尽きました。こいつはこれくらいでいいでしょう。比較の弱い方だし。
では全訳です。
この影響力の強さの理由は、『種の起源』が素晴らしい発見で科学を発展させた、見事な作品であるという事実によるものというより、ヨーロッパ中の考えを長く支配し、現在も支配している2つの世界的な考えのひとつと衝突し、残りのひとつとは調和した作品であるという事実によるものが大きい。
ちょこっと意訳マシマシですがこんなかんじでいかがでしょう?影響力の程度を影響力の強さと訳したり、thanの内容を前半に持ってこなかったりしましたが、こちらの方がルイスさんの言いたいことが伝えられていると思います。
ちなみにGoogle先生の訳は、
この影響の程度は、それが世界の2つの偉大な概念の一方と衝突し、もう一方とチャイムを鳴らした作品であるという事実よりも、それが見事な作品であり、素晴らしい発見で科学を豊かにするという事実によるものではありません。 それは長い間ヨーロッパの心を支配してきましたが、今でも支配しています。
lessの内容を後ろに置いてますね。最後を否定で終わらせると結局何が言いたいのかわからなくなるので僕は先生の訳はキライです。
初の4000字オーバーの記事となってしまいました。文法の解説に熱が入りすぎました。みにくかったらごめんなさい。一口サイズで2、3分でサクッと読めるようにするのが目標なので、簡潔にまとめられるよう精進します。ではまたあした!
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