愛斗選手と呉選手はレオの骨と牙の代わりになりうるか?(後編呉選手)


さて、今回はタイトルにある通り前編の愛斗選手の続きとして今回は呉選手の分析していきます。
もしよければ愛斗選手の分析の方も見てみてくださいね。
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愛斗選手の分析(6/12までの成績)
https://note.com/sabr_lions/n/n4484c80393be

1. 呉選手の基本成績

それではまず基本成績について見ていきます。

打席数 228
打率  .289 (201-58)
本塁打   6
打点  35
三振  33
四死球 20
出塁率 .358
長打率 .423
OPS  .781
三振率 14.5%
四球率   8.8% (6/16現在)


特徴としては打率は3割に迫るなどバットコントロールがうまく(今年の平均は.247)、三振が少ないという点が挙げられます。愛斗選手は選球眼が悪いという弱点がありましたが呉選手の場合はこれといった弱点がありません。長打も平均並みにでるので全体的に高水準な打撃といっていいでしょう。
簡単にまとめると
①打率が高い
②三振が少ない
③弱点がこれといってない

というところです。
それではさらに深堀していきましょう。

まず②の三振が少ないですがこれは愛斗選手と同じく勝負が早いため、ということはありません。呉選手が1打席あたりに相手に投げさせる投球数は平均と同じぐらいなのでこれといってこちらも特徴がありません。
では何が呉選手の三振を減らしているのか?
それはコンタクトのうまさです。呉選手の空振り率は僅か6.3%とめったなことでは空振りしません。そのため三振を少なくすることができているのです。
続いて①の打率が高いですがこれは②の三振の少なさとも関連しています。
三振をしない分、打球が前に飛ぶためヒットになることが増えるために打率が高くなります。
最後に③の弱点がこれといってないという特徴ですが、空振り率が低い選手(ライオンズでいえば金子・源田選手)は長打が出にくくなる場合があります。この点呉選手は打球をフライにすることが多く(52.9% 平均44.8%)、空振りを避けるために小さい打撃をすることなくしっかり振り切る打撃・長打を打つための打撃ができているといえるでしょう。
また、特に弱点がないと聞いてなんとなく呉選手は広角に打てる打者だと思った方もいらっしゃるかもしれません。しかし実際のところ呉選手は打球の45%以上をライト方向に運ぶプルヒッターです(平均は36%ほど)。プルヒッターと聞いてあまりよくないことのように思った方もいるかもしれませんが、実際のところ引っ張った打球というのは強い打球になりやすく価値が高いことがわかっています。呉選手がこの辺を意図しているかは不明ですが、空振りを避けつつも引っ張る打撃をすることで③の明確の弱点が存在しない厄介なバッターになっているのでは思います。

2. 詳細成績

ここまでで呉選手の打撃の大まかな特徴は把握できました。それではさらに深堀してどの球種やゾーンを得意としているのかなどについて見ていきましょう。
少し小さいですがこちらの図を見てみてください。これは球種別に空振り率やOPS、ボール球スイング率などを取ったものです。赤色ほどよく青ほど悪いと思ってください。

画像1

ここから分析すると呉選手は愛斗選手と同じく直球・シュートなどの直球系に強いことがわかります。ただここからは完全に逆で、呉選手は愛斗選手が苦手としているカットやフォークといった鋭い変化球を得意としている一方で、愛斗選手が得意とするスライダーやカーブといったやや遅めの球を上手くはじき返すことができていません。お互いがお互いの弱点を補強しあういい関係で、この2人を併せればおおよその投手に対応することができます。こんなところでもコンビ要素があるんですね。

それでは更にゾーン別の打撃、そしてボール球スイング率を見て左・右投手相手それぞれに得意としているところ・苦手としているところを分析していきます。
こちらは左投手に対してのゾーン別の長打力を示したものになります。

画像2

そしてこちらがゾーン別のボール球スイング率になります。

画像3

これらから呉選手は左投手に対しては
①低め(特にインコースから真ん中にかけて)が非常に得意
②アウトローは得意でも苦手でもない
③高めが苦手

ということがわかります。
それでは同じように右投手に対しての打撃を見てみましょう。
こちらがゾーン別の長打力を示したものになります。

画像4

そしてこちらがゾーン別のボール球スイング率を示したものになります。

画像5

左投手の時と同じように見ると
①ベルトの高さは得意
②高めはボール球に手を出すがそこそこ打てる
③低めはそこまで得意でない
④インローが泣き所

ということがわかります。

かなり左投手と右投手との間で得意なゾーンに差があることがわかりますね。それではより詳細にアプローチするため左投手・右投手別に球種別の分析をしてみましょう
こちらが左投手相手の球種別分析です。

画像6

そしてこちらが右投手相手の球種別分析です。

画像7

非常に差が出ましたね。
左投手には直球1点狙いなのに対して右にはカット・フォークが得意なようです。

これらから左投手相手には直球を真ん中からインに張っていると考えられます。さらにいえば基本的に追い込まれるまではスライダーやカーブなどの逃げる球は無視(ボール球スイング率も低い)し、直球だけを狙っているといえます。高めに多く手が出るのも直球を狙っていると考えると整合的ですね。
逆に右投手相手には直球にはそこまで強くなく、カットやフォークに強いわりにインコースや低めには特別強くありません。ここから少し難しい球もヒットにするというよりは、カットやフォークが少し抜けたときに捉えるというアプローチをしているように思われます。もしくは甘く来た直球系(抜けたカットやフォークも含む)を前に飛ばすというアプローチかもしれません。
ひたすら甘い球を待つというのは忍耐力が必要ですが、呉選手はスライダーやカーブに対してOPSは高くありませんが空振り率は非常に低いです。このことから変化球ならほぼカットできる自信があり、相手が根負けして甘いところに放るのを今か今かと待つアプローチということが言えそうです。

左投手にしても右投手にしても基本的に直球を待つというのは変わらないため、呉選手の調子は直球をいかに打てるかにかかってきます
実際に5月の上旬から中旬(5/1~5/16)にかけては打率.176 OPS.449と非常に低調でしたが、このときは直球に対してOPS.125と大変打てていませんでした。逆に好調期といえる4月や6月は直球をOPS1.000以上と打ちまくっており、調子のバロメータは直球をいかにしばけるかというところにありそうです。直球をヒットにしていれば調子がいいんだなと思っても大きな間違いはないでしょう。

3. 呉選手の貢献度

それでは最後にレオの骨or牙になるために呉選手には全体的にどのような成績が求められるかを見ていきます。同じく左の巧打者ということで栗山選手を比較としていきます。
まずは全盛期の栗山選手の成績を見ていきます(ここでは2007~2016を全盛期とします(2017年からDHが主になったので))。

全盛期の栗山選手は打撃で+15の利得を稼ぎつつ、守備走塁でもあまりマイナスを作らない選手で、特にほとんどケガで離脱しないチームとして計算の立つ素晴らしい選手でした。概ねチームの貯金を5~12個増やす活躍をしていたのが栗山選手です。
呉選手が骨牙の代わりとなるにはこれだけの活躍が求められます。
それでは仮に今の成績を継続したとして栗山選手の活躍に足りるかを見ていきます。
まず打撃ではここまで228打席で+6.5なので2.5倍して大体年間+15となります。
次に守備ではファーストとセカンドを兼任しており評価が難しいですが、守備全体の評価では+を作っており、UZRでもファースト・セカンドの両方で+を作っています。今後の起用法にもよりますが守備で大きな穴を作ることはないと考えてもいいように思われます。
これらからこの調子を維持さえすれば呉選手は全盛期の栗山選手に近しい活躍ができるといえます。
打撃も内容も少し四球が少ないことを除けば内野の栗山選手といっても差し支えないほど好クオリティで、ある程度のユーティリティー性もあることもチームにとっては非常に大きな存在であるといえるでしょう。

4. まとめ

ここまで呉選手について分析してきました。
大まかにまとめると呉選手は
①空振りしない
②引っ張り傾向の打者で
③弱点のない打撃をしている

という特徴を持っています。
そして左投手と右投手とでは得意とするゾーンが異なるものの基本的には直球を狙い打つという傾向があり、調子は直球をいかに打てるかにかかっていることがわかりました。
また、骨牙の代わりとして見劣りしない打撃・守備を持っておりそのユーティリティー性も相まってチームに欠かせない戦力であることもわかりました。今後の起用に注目が集まりますね。
特に外崎選手をセカンドで起用するか呉選手を継続させるかというのはファンの中でも(いい意味で)悩ましい問題なのではないでしょうか。

あくまで個人的な意見を述べさせてもらうならいかにGG級の守備があるとはいえ呉選手のセカンド守備が破綻していない以上、外崎選手がセカンドに戻るためにはある程度打つ必要があると思います。具体的にはOPS.700では守備を込みにしても今の呉選手とそこまで変わらないため、OPS.750ぐらいの打撃ができるようになったときにはじめて外崎選手は万全にセカンドを取り返すことになるのではと考えています。もちろんDHを空けるなどをすればもっと柔軟にセカンド外崎・ファースト呉・DH山川などという起用もできるので、栗山選手を外すことができるかどうかという面においても今後の辻監督の采配に注目ですね。


それではここまで見てくださりありがとうございました。
次回は前半戦が終わってのパリーグ展望、もしくはドラフト選手の現状についてまとめようかと思います。
もしよければハートをつけて次回も見てくれると嬉しいです。
それでは ( ´Д`)ノ~バイバイ

5. 参考文献

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