愛斗選手と呉選手はレオの骨と牙の代わりになりうるか?(前編愛斗選手)

突然ですがクイズです!!

60試合 打率.135 0本 6打点 OPS.326
117試合 打率.202 0本 21打点 OPS.540

この2つの成績は何かわかりますか?
もしよければ下にスクロールせず少し考えてみてください。










タイトルでピンときた方もいるかもしれません。
この問題の答えは
2020年までの愛斗(上)・呉(下)選手の通算成績です。

いったいどれほどの人がこの2人が2021年に(6/12現在)
愛斗 .254 7本 31打点 OPS.773
呉呉 .291 6本 33打点 OPS.798

とリーグでも上の方の成績を残すと予想していたでしょうか。

この2選手は同期入団ということもあってか非常に仲がよく、同じく同期入団で仲の良い中村・栗山選手、森・山川選手のコンビのようにとらえているファンの方も多いのでは思います。
上記の2コンビと同じく左の巧打者と右の強打者という点も似通っていますね。

ただ、2人の覚醒という嬉しい要素がある一方でライオンズの骨と牙の栗山・中村選手は2人の台頭もあって少し苦しい立場にいます。
以下はライオンズのOPSランキングです。(100打席以上・6/12現在・敬称略)
森森 .906
山川 .897
呉呉 .798
スパ .781
愛斗 .773
若林 .729
源田 .706
~~~~~~~リーグ平均 .704
中村 .698
栗山 .670

見ていただいた通り、チームの主力の多くの打者がリーグ平均を超えている中2人だけがリーグ平均を下回ってしまっており、新人である若林選手にも負けてしまっています。

もちろん1ファンとして骨と牙のさらなる活躍を願っていますが、現実問題としてチーム的な世代交代の時期になっていることも事実で彼らの後釜を考える必要があります。
そこで今回は愛斗・呉選手がなぜ打てているのかを取り上げつつ、骨牙の後釜になりうるかをデータ的に考えてみたいと思います。
まずは愛斗選手についてです。

1. 愛斗選手の基本成績

それではまず愛斗選手について見ていきます。
まず基本成績を確認してみましょう。

打席数 190
打率  .254 (173-44)
本塁打 7
打点  31
三振  30
四死球 12
出塁率 .311
長打率 .462
OPS  .773
三振率 15.6%
四球率 6.3% (6/12現在)

安打数の半分が長打であり、類まれな長打力を持っていることがわかります。また長打力が売りの選手にしては珍しく三振が少ないという点も魅力的な部分です。
その代わり選球眼はあまりよくなく、四球による出塁はあまり期待できないという弱点もあります。
それでは上記の
①長打力に優れる
②三振が少ない
③四球が少ない

についてより深堀していきましょう。

まず②と③についてですが、これは純粋に勝負が早いということで説明ができます。実際に1打席あたりに何球かかるかという指標があるのですが、平均は大体4球ですが愛斗選手は3.5球を切ります。
これはパリーグをよく見ている人ならソフトバンクの松田選手に近いと考えていただければいいのかなと思います。
勝負が早いことはいいことなのか悪いことなのかは明確には言えません。
勝負が早ければその分四球が選べないので見た目より貢献度が下がるのは事実ですが、早いカウントで勝負するのは基本的に打者に有利なのでそういう意味では愛斗選手は①にそのアドバンテージを活かしているといえるでしょう。

2. 詳細成績

ここまでで大まかな愛斗選手の成績と打席でのアプローチはわかりました。
ではさらにどの球種・ゾーンが得意なのか、または弱点なのかを見ていきます。
少し小さいですがこちらの図を見てみてください。これは球種別に空振り率やOPSなどを取ったものです。赤色ほどよく青ほど悪いと思ってください。

画像1

ここから分かる通り愛斗選手は直球・シュートの直球系に強く、ついでスライダーやカーブ、チェンジアップといったやや遅めのボールに強いことがわかります。逆にカットとフォークといった比較的鋭く手元で変化する球は苦手にしていることがわかります。
それでは更にゾーン別の打撃、そしてボール球スイング率を見てさらに分析していきます。
こちらは左投手に対してのゾーン別の長打力を示したものになります。

画像2

そしてこちらがゾーン別のボール球スイング率になります。

画像3

これらから愛斗選手は左投手に対しては
①インコースは得意
②アウトコースはボール球にも手を出すがその分長打もでる
③外の低めやインハイは非常に苦手

としていることがわかります。
それでは同じように右投手に対しての打撃を見てみましょう。
こちらがゾーン別の長打力を示したものになります。

画像4

そしてこちらがゾーン別のボール球スイング率を示したものになります。

画像5

左投手に対してと同じように見ると
①インローは非常に得意
②アウトコースはボール球になりきらない球は捉えられる。
③高めは手を出すがそこそこ打つ
④アウトローのボール球に球は見極められない

ということがわかります。

これらと球種別の分析から基本的に愛斗選手は直球に山を張りつつも、真ん中外目にツボがあるため半速球が投げこまれた場合は手を出すというアプローチをしていると思われます。
愛斗選手は右投手のスライダー系をバットにひっかけつつも引っぱたく(バットを外回りさせる)ことでレフト方向に長打を打つことに長けているのでそれを活かせるアプローチといえます。
ただし直球に山を張っておりなおかつバットが外回りして出てくるので必然的にスイングの始動(もしくは球の見切り)が早くなると思われます。
このためボールになる球にも手を出してしまうという弱点が低い出塁率につながってしまっているのだと考えます。

ここまでをまとめると愛斗選手は若干外回りするスイングを使用することで半速球にも対応できるようにしている。
このため
①直球系に強い
②半速球にもある程度対応できる
③ボール球スイング率が高い

という特徴が出ているのではないかと考えます。

プロは直球を打てることは前提に変化球を打てることが重要になります。そのため愛斗選手は②の半速球をいかに打てるかにかかっているといえます。
つまりは変化球を打つことができるか、もっと言えば長打にできるかが愛斗選手の調子のバロメータになると思われます。
実際に5月の初頭から交流戦前までの不調期(OPS.566 67打席)は変化球を長打にできたのは1度だけだったのに対しOPS1.000越えと絶好調な交流戦では49打席で5度も長打にしています。
試合をじっくり見る機会があれば逃げる球に対してしっかりバットの先で捉えられているかに注目すると好不調がわかるかもしれません。

3. 愛斗選手の貢献度

それでは最後にレオの骨or牙になるために愛斗選手には全体的にどのような成績が求められるかを見ていきます。同じく右の長距離砲ということで中村選手を比較としていきます。
まずは全盛期の中村選手の成績を見ていきます(また全盛期をおかわりするかもしれませんがひとまずここでは2008~2019を全盛期とします)。

全盛期の中村選手は打撃で+30の利得稼ぎつつ、守備走塁でも穴を作らない(±0)非常に優れた選手でした。ややケガが多かったですが概ねチームの貯金を8~16個増やす活躍をしていたのが中村選手です。
愛斗選手が骨牙になるにはこれだけの活躍が求められるということです。
それではまずは愛斗選手が仮に今の成績を継続したとして中村選手の活躍に足りるかを考えていきます。
まず打撃ではここまで190打席で+4点なので3倍して大体年間+12点稼ぐ計算になります。
次に守備では約430イニング守ってUZRが9.3点なので1200イニング守りことを考えつつ、守備位置補正も入れて年間+20点計算になります。
つまりこの調子ならば打撃と守備を足し合わせて全盛期の中村選手並みの貢献ができるということです(さすがに2011年のアンタッチャブルな成績には届きませんが)。
愛斗選手は打撃ではさすがに対抗しきれませんが、極めて優れたライト守備があるために総合的な貢献ではすでに骨牙クラスの活躍ができているのです。
このそこそこの打撃貢献と莫大な守備貢献というのは中村選手とB9とGGをずっと分け合ったソフトバンク松田選手にポジションこそ違いますが大変似ていますね(フリースインガーなのも共通点)。

4. まとめ

ここまで愛斗選手について分析してきました。
おおざっぱにまとめると愛斗選手は特徴として
①勝負が早い
②やや外回りのスイングをする

を持っています。
そしてこれらに付随して
③三振が少なく四球も少ない
④直球と半速球をとらえるのがうまい
⑤ボール球の見極めがあまりできない
⑥調子のバロメータは半速球をいかに打てるか
という特徴を持っていることがわかりました。
そして抜群の守備を持っているため骨牙の後釜・代わりとして十分な実力を持っていることがわかりました。

ソフトバンクの松田選手に似ているという話はしてきましたがちょうど定着した年齢も松田選手とかなり似ています。
ライオンズは黄金期であっても基本的に外野の流動性が高く他球団に比べ後塵を拝することが多くありました。
願わくば松田選手のような長期にわたって安定した守備とともに中村選手の圧巻の打撃技術を兼ね備えた黄金期の秋山さんのようなスーパー外野手になりライオンズを引っ張る存在となってほしいですね。

次回は同じように呉選手について分析し栗山選手と比較していきたいと思います。もしよければ次もみてください。

更新しました。以下になります。
愛斗選手と呉選手はレオの骨と牙の代わりになりうるか?(後編呉選手)
https://note.com/sabr_lions/n/n521b21ed7c19

それではここまで見てくださりありがとうございました。
( ´Д`)ノ~バイバイ

※前回成績低下した選手の分析をするといってましたが森・山川選手が復調したので愛斗選手を取り上げることにしました。もし楽しみにしていた方がいらっしゃったら申し訳ありません。成績低下について取り上げるとするなら中村・栗山選手になるかと思います。こちらも気長に待っていただければと思います(前回こう書いて2人が復調したので中村・栗山選手も復調しないかなと考えてみたり)。

参考文献


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