『嘘喰い』(映画版)は本当に最悪でした


※以下、映画版および漫画(原作)の『嘘喰い』に関する躊躇ないネタバレがあります。

※原作ファンの視点から容赦なくこき下ろしてますが、原作を読んでなければまた感想は変わると思います。







 観た!? いや~~~~~~最悪だったね!!!!

 ビジュアルは褒めていいと思うのよ。なかなか日本人離れした顔立ちが多い嘘喰いのキャラクター達が割と忠実に実写化されていて、特に名前が出ない立会人たちも「これはあの人だな!」って一瞬でわかる再現ぶり。

 そこだけです。褒められるのは。

 これ以上被害者を増やさないためにも、ストーリーを詳細に追ってツッコミを入れていきたく思います。記憶が鮮明なうちにね。一刻も早く忘れたいから……。


  • オープニング:屋形越えに挑む班目獏、御屋形様に敗北してすべてを失う

 ここはまあ良かったというか、最初にそれを持ってこないと獏さんのキャラが伝わらないということで、ほぼ原作通りのシーンでした。
 スマホでピッとやったら東京上空を飛んでる全部の飛行機が引き返し、その後の便も全部欠航になって止まります。そんなことある?
 なお、獏さんが手配していた飛行機のパイロットは賭郎側の手配でぶっ殺されます。やることが荒々しいな。

  • 謎の島でふらついている班目獏。挨拶がてらチョロいギャンブルに勝つ

 なんで島にいるのかとかは置いといて、磁石を使うしょぼいイカサマに対してこっちも磁石を使って勝ちます。
 あれ、札束が邪魔だつってどかされたらそこで終わってたと思うんだけど、次の策あったのかな。

  • 謎の男から佐田国が屋形越えに挑戦しようとしていることを聞き、再起を決意する班目獏

 あれ誰? この時点で獏さんに味方していて、賭郎の事情にも深く通じてる存在がマジで一人も思いつかない。

  • 梶登場。獏が借金取りを追っ払う

  • 獏・梶、鞍馬蘭子が経営する闇カジノで大勝ちし、帰る際になんか蘭子に絡まれる。チョロく勝つ

 この辺で「あれ?登場人物全員アホか…?」という疑念が頭をよぎりました。

 とにかく蘭子に対する改変が最悪。獏さんに対して恋する女子高生みたいになる蘭子、見たくなかった……。

  • 蘭子から情報を聞き、九重太郎とのギャンブルに向かう

  • なんかオープンな山林で駆け回る謎のギャンブルをやることに

 「5匹いるワシのペットから鍵を手に入れろ」「ライオンとかじゃないよね」「もっとか弱い動物じゃよ(人間)」
 もっとちゃんとルールを聞いておけよ!!! こんな明らかに怪しいギャンブルを受けるヤツがそうそういるわけないだろ!!!

 原作だと最初に小銭を渡していて、それが発信機となって情報を盗んでいたのだけど、映画ではシンプルに謎の機械が足につけられています。雑!
 相対する班目獏、夜行さんの胸ポケットに直接ペンを差して盗聴器設置。こっちも雑!! これさあ、夜行さんが「この私の行動まで計算に入れていたのか…!?」ってなるところがいいんじゃんね。馬鹿野郎が。

  • なんか木の上で寝てるロデム(マルコ)

  • ワイヤーアクション丸出しで飛んでくる迫力の無いロデム

  • ロデムに真正面から狙われて普通に逃げる獏

  • 小さな瓶を空中で撃ち抜くという類稀な射撃センスを見せる獏

 もうツッコミ疲れたわい。とにかくこの獏さんはかなり戦闘能力が高く、ロデムから数十秒(推定)も逃げ続けるという偉業を達成しています。いや、ロデムが弱すぎるのか……?

 あと、普通にアクションがショボい。嘘喰いは"暴"と"智"の漫画なんだけど、この映画においてはどっちもショボい。

  • 九重太郎、どっか行く

  • 獏、負傷を治療した後に一人でマルコを迎えに行く

  • マルコ、めっちゃ料理うまい

 獏さん!なんでマルコは良い奴だって知ってるんですか獏さん!あんたロデムにしか会ってないし、ジジイも詳細は全然喋らなかったのに!
 なお、この場に梶君はいないので、「俺の言うことを聞けばいい」→「俺は人を殺せなんて言わない」の名シーンもさらっと流されます。馬鹿野郎が!

 マルコが仲間になったけど、この後の佐田国戦ではミサイル関連の話が丸ごと削除されてるのでマルコの出番はありません。レオと伽羅はそもそも存在していないし、ハングマンの場にマルコは来てません。なんのためにマルコを仲間にしたんだ。

  • 佐田国戦

 もう疲れたので流していこうかな。

 佐田国、蘭子以上にキャラ改変を食らい、復讐を誓う天才科学者ということになっています。まあこの辺の肉付けは仕方ないかなというところ。

 ハングマンの流れはだいたい原作通りですが、ミサイル関連の話が削除されているので"暴"パートは何もなし。

  • 吊られる佐田国と謎の女

 ここが最悪のクライマックスちなみに目蒲君はなぜか夜行さんに殴りかかって既に死んでます。號奪戦以外でこんな簡単に立会人を殺していいのか。

 吊られる前に佐田国と獏さんの会話。

「お前の望みはなんだ」「世界平和かな」「世界平和…?がんばれよ(意訳)俺の賭郎会員権はお前に譲る」

 えっ?

 佐田国と和解???

 いよいよ吊られる寸前、佐田国が落とした写真を監視カメラに映す(佐田国に見せる)獏さん。それはありし日の佐田国と研究員たち、もう戻ってこない希望に満ちていたころの姿。

 なんか優しい顔で吊られていく佐田国。

 ふざけるなよ……!

 ここはさあ! 死すらも天命、使命の一部として死のうとする佐田国を人間に引き戻してさあ! 死にたくないと醜くわめく佐田国! それを見た目蒲君が「ふざけるな!醜態をさらすな!」とキレる名場面……目蒲君もう死んでたわ。なんで?

 全体的に最悪なんだけど、特にこのシーンは本当に最悪でした。

  • そして1年後…

  • 獏、梶、マルコ、蘭子の4人が現れる

  • いよいよ屋形越えに挑む…ハンカチ落としだ!

  • 終わり

 ここに至るまでが最悪にすぎたので、もうこのエンディングに関しては何の感想もないですね。
 1個だけ気になるのは、作中2022年→1年後の2023年に屋形越えと明確に決まったけど、うるう秒は大丈夫か?という点ですかね。


 とにかく蘭子、佐田国のキャラ改変が深刻。梶君も「キモ冴えてる」から「ラッキーボーイ」に昇格(?)。マルコは存在意義が不明。

 ギャンブルの深みが全くない。アクションもショボい。"暴"も"智"も全く描けていない。

いや~、映画って本当に最悪ですね!!!


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