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サビアンシンボルとは

サビアンシンボルの象徴研究をしているラグリブです。
西洋占星術を勉強されている方ならサビアンシンボルが何かご存じかと思いますが、今後サビアンシンボルの記事を書くにあたって、簡単におさらいをしてみたいと思います。


サビアンシンボルとは

サビアンシンボルとは西洋占星術にある概念のひとつです。1925年にアメリカの占星術家マーク・エドモンド・ジョーンズと透視者エルシー・ウィーラーの実験によって得られました。生まれつき車いす生活を余儀なくされていたウィーラーは、並外れた透視能力者として知られていたようです。

牡羊座から魚座までの12サインは360度の円に配置され、1サインにつき30度ずつ割り当てられています。サビアンシンボルとは1度から360度までの各度数に割り当てられたシンボル、つまり象徴を意味しています。
特定の天体や感受点がその度数にある意味をサビアンシンボルを使って読み解くことがありますが、あまり一般的ではありません。サビアンシンボルで示されたイメージは抽象的であり、何を語っているのか非常にわかりにくいからです。

サビアンシンボルの解釈は占星術家によって微妙に異なりますが、一般的にはマーク・エドモンド・ジョーンズ、ディーン・ルディアの解釈をベースにしていることが多いようです。

サビアンシンボルが生まれた背景

サビアンシンボルには前身のようなモノが存在しています。1898年、ジョン・トーマス(ペンネーム:チャルベル)という人が360度の各度数に象徴を与える試みを行い、その内容を発表しました。

ジョーンズは彼の試みを10年間研究し、占星術に使えそうだと確信していました。ただ、いくつか問題もありました。各度数に与えられた象徴は道徳的な良い・悪いに偏らず、また彼が生きていた時代に適用させる必要もあったからです。そのため、彼はチャルベルの考えた象徴に手を加えることはせず、自分で新しい試みをすることにしました。

1925年、ジョーンズはウィーラーの協力を得て、ある実験を行いました。
ジョーンズが各サインのマークと度数を書いた紙をウィーラーに示し、彼女が見たビジョンをカードの裏側に書き込むというものです。カードはシャッフルされ、ランダムな順番で示されましたが、ウィーラーは360度全てのビジョンをジョーンズに伝えることができました。
こうして得られたのがサビアンシンボルです。

実際には、ウィーラーが伝えたビジョンは明確な文章で伝えられたわけではなかったらしく、ジョーンズは断片的な言葉を走り書きしていました。カードに記されたメモを後から見ると、意味が不明瞭だったりスペルが不正確だったりしたため、後年内容を再構築する必要があったようです。

また、得られたシンボルは特定の法則に従っているわけではなく(と、ジョーンズは考えた)、牡牛座8度の「雪のないそり」や水瓶座9度「鷲に変わる旗」のように、絵画的なイメージを持たない曖昧なモノが多く見られました。期待していた内容とは違ったため、ジョーンズは失望したようです。

ジョーンズが考えたサビアンシンボルの解釈

ジョーンズの著書「THE SABIAN SYMBOLS IN ASTROLOGY」を読むと、ジョーンズが透視によって得られたビジョンを占星術的アプローチによって意味を持たせようとしていた様子が窺えます。
彼の著書では牡羊座1度と天秤座1度といったように、180度の関係にあるサインを並べ、それらを対比させるように説明が記載されています。また、同じエレメント同士の同じ度数、例えば活動宮の牡羊座2度・蟹座2度・天秤座2度・山羊座2度をグルーピングし、それらに共通の意味を与えようとしている箇所も見受けられます。

ジョーンズはサビアンシンボルを、チャネリングによる神秘主義的なメッセージだと考えていました。また、彼にとってサビアンシンボルの文章は極めて不可解であったため、全体を一つの象徴と考え、そこに登場する一つ一つの要素を分解して解釈しようとは思わなかったのでしょう。関連性がない(ように見える)サビアンシンボル同士を占星術の法則によってグルーピングし、統一的な意味を持たせようとしていたのだと思います。

サビアンシンボルを象徴として解釈する理由

シンボルは象徴のことです。象徴の意味を辞書で調べてみると

「象徴とは言葉に表しにくい事象を想起、連想させるような具体的な事物や感覚的なことばで置きかえて表わすこと」

とあります。
また、ユングも著書『人間と象徴:上』の中で、

「言葉やイメージはそれが明白で直接的な意味以上の何ものかを包含しているときに、象徴的なのである。」

と述べています。

私がサビアンシンボルを純粋に象徴として解釈してみようと思ったのは、単純な理由からでした。どの本を見てもそこに書かれた解釈が、スッと私の中に入ってこなかったからです。

例えば、牡羊座1度「A woman rises out of water, a seal rises and embraces her.(女が水から上がり、アザラシが彼女を抱き締めている)」は、一般的な解釈では始まりやスタートを表します。牡羊座サインと数字の1のどちらも外向性(=男性性)を表しますが、なぜか登場するのは女性であり、女性やアザラシが登場する必然性はどの本でも触れられていません。

もともと私はユングの著書が好きで、夢に登場する要素の象徴的な意味にとても興味がありました。各度数に示されたサビアンシンボルが何かを象徴しているなら、そこに登場する要素も象徴だろうと思ったのです。
牡羊座1度なら、文章からイメージを膨らませるのではなく、「woman(女)」「water(水)」「seal(アザラシ)」の要素に分解し、それぞれの象徴的意味を考えた上で、全体的な意味を考えることになります。

サビアンシンボルに登場する要素を象徴として分解すると、世の中に広まっているサビアンシンボルの解釈とは大きく異なる度数も出てきます。
しかし、象徴には必然性があり、そこに登場する要素は固有の意味を持っています。私はその必然性や意味を探ろうと思っています。

★☆★ Message★☆★
サビアンシンボルの世界は
深い森のように鬱蒼としています。
360個のビジョンは夢のように非現実的で、
物語の一場面のように断片的です。

そこは、ユングが提唱した
集合的無意識ともいえる
神話や伝説がちりばめられた世界。

サビアンシンボルの森には
灯りも案内図もありません。

でも、「象徴」という灯りを持って
辺りを照らして見ると、
そこに「心の成長」という道が
見えてきます。

サビアンシンボルを見る目的は何か。
それによって、
進む道は違ったものになるでしょうが、
少なくとも
深い森の中を歩き続けることは
できると思うのです。

image photo: by Hermann(pixabay)

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