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水瓶座サインに内在する秩序

水瓶座サインは天王星を支配星に持ち、古い価値観や秩序を打ち壊して新たな理想を持ち込もうとします。秩序は山羊座の支配星、土星が象徴する概念の一つです。
革新的な水瓶座サインと保守的ニュアンスの強い秩序という概念の組み合わせは、相容れない印象があります。しかし、1781年に天王星が発見される以前、水瓶座サインの支配星は土星でした。水瓶座サインを支配していた土星は、どのような役割を果たしていたのでしょうか。

水瓶座サインと秩序

水瓶座サインと山羊座サインの土星の役割の違いを調べてみましたが、「これだ!」と思える解説が見つかりませんでした。
海外で出版されている本なら解説しているかも?と思いましたが、いまはそこまで調べる時間がなく。

ただ、少し調べただけでも、古典とモダンの違いに関わらず、占星術家によって解釈はいろいろあるのだな~ということがわかりました。
オカルトを表す。
地上の理想を実現する。
古い秩序を壊して新しい秩序を作る。
……などなど。

土星は制限・抑制・試練・秩序・保守性・厳格性……などを意味しますが、水瓶座サインにおける土星の意味は、個人的には何らかの秩序形成に関係があるのではないか、と考えています。

なぜなら、先に書いた“オカルト”は超自然や神秘的な事象における秩序解明に関係し、“地上の理想”は平和的秩序の上に成立し、“新しい秩序”はその言葉通りだからです。
現代では、“オカルト”と聞くと何やら胡散臭い印象がありますが、古典占星術の時代は革新性を秘めた思想だったのではないでしょうか(錬金術とかカバラとか)。
最後の方に書きますが、水瓶座1度のサビアンシンボルにも、新しい秩序を形成する性質の片鱗を見ることができます。

一方、自然界に目を向けると、風は「物を運ぶ・広める」だけでなく、「秩序の形成」にも大きく関わっています。
山羊座は土サイン、水瓶座は風サインです。
風がもたらす作用から、水瓶座サインに内在する秩序の意味について考えてみようと思います。

風が作り出す秩序

砂漠にできる「風紋(ふうもん)」をご存じでしょうか。風紋は風によって砂漠にできる波状の模様のことです(タイトル画像の写真が風紋です)。
風が一定方向から吹き続けると、砂地の表面に規則的な起伏が作られます。これは、風が吹いて砂粒が跳躍し、移動したり集まったりしながら、規則的な動きを繰り返すからだそうです。

砂の一粒一粒の変化が集団としての大きな動きを持つようになり、その動きが長い時間をかけて規則的に繰り返されことで、同じ形が広範囲にわたって生まれる。
このような規則的な繰り返しは自然界に数多く存在し、むしろ自然界は秩序によって成り立っているとも言えます。
秩序と聞くと、がっしりした建物とか、動かない岩のようなイメージを抱いてしまうのですが、自然界における秩序は変化の規則的な繰り返しによって形成されているのですね。

そして、その規則的な繰り返しは、地球レベルでは大半が長くても数百年、数千年単位で繰り返されるのに対し、宇宙レベルでは気が遠くなるような長い周期で繰り返されます。
私たち人間が生きている時間は、宇宙の途方もない長い時間に比べたら、ほんの一瞬に過ぎません。そのため、宇宙で起こっている小さな変化がやがて秩序を生み出すことを体感するのは難しいでしょう。

土星の環と秩序

西洋占星術では土星の意味の一つに秩序があります。天体としての土星は、まさに秩序を具現化しているような存在です。
土星の周りには大きな環が存在し、数千もの細い線と隙間で構成された円盤構造をしています。整然とした美しさを持ち、時に“太陽系の縮図”と表現されるこの環には、明らかな秩序が存在しています。

土星の環は無数の氷の粒で構成され、常に再生を繰り返しながら土星の周りを回っています。土星には約60個もの衛星があり、氷の粒と同様、土星の周りをそれぞれが軌道を描きながら回っています。それらの衛星がもたらす重力の影響(=軌道共鳴)によって、氷の粒は衝突や融合を繰り返し、環は一定の形状を保っているのだそうす。

土星から約12~16億km離れた地球にいる私たちから見ると、土星の環はいつも変わらないように見えます。
しかし、土星の環の中は常に変化しており、小さな変化一つ一つは異なる動きをしているのです。

水瓶座サインと土星が持つ秩序

1781年の天王星発見後、水瓶座サインの支配星は天王星になりました。土星は副支配星となりましたが、ほとんどの方がチャートを読む時に水瓶座サインにおける土星的概念について考える機会は少ないのではないかと思います。私もそうです。

しかし、風紋が発生するしくみを知る機会があり、“風が秩序を作り出す”現象に興味を持つようになりました。
ミクロな視点で見ると、風紋を作る砂粒の一つ一つはバラバラの動きをしています。ですが、マクロな視点で見ると、風によって砂粒はまとまりを持った集団として動いています。同じような集団が複数できて大きな動きを作り出し、大きな動きが広範囲で同時多発的に起きることによって、規則性を持った模様が作られているのです。

何となくですが、インターネットの普及によって世界中で同じ情報が共有できるようになり、遠く離れた国なのに似たような考えを持つ人が出てきたり、似たような事象が発生する様子を彷彿とさせるように思いました。

山羊座サインはローカルな秩序を作ります。日本では当たり前だけれどアメリカでは通用しないルールのようなもの。
それに対して、水瓶座サインはグローバルな秩序を作ります。全世界で通用するルールなので、さまざまな違いを持つ人々を否定することなく、みんなが肯定的に受け入れられる内容なのではないでしょうか(ただ、これは非常に難しいと思います)。
まさに自由・平等・博愛など、水瓶座サインのキーワードが登場し、人類の理想を実現するルールなのだと思います。
こう考えると何となく水瓶座っぽくありませんか?

水瓶座1度との関わり

「An old adobe mission.(古いレンガ造りの伝道所)」。私の解釈では、新しい思想(=キリスト教)が広い範囲に行き渡り、その思想が普遍化されたことを示しています。
新しい思想を普遍化するためには体系化された理論の存在が欠かせません。また、広い範囲に行き渡らせるためには、多くの人々に広める能力や手段(技術)も必要になることでしょう。

水瓶座1度において新しい思想は特定の人々と関わっていますが、本記事の主旨から外れてしまうので、また別の機会に書こうと思います。

おまけ:土星の環が壊れた?

2016年、NASAの探査衛星カッシーニが、土星の外側にあるF環の一部が壊れている様子を写真でとらえました。

ナショナルジオグラフィック
土星の環が一部破れる、カッシーニが撮影
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/062100229/

約1600万kmにも及ぶ広大な環。完璧そのもののように見える土星の環が壊れるなんて……と思いましたが、数カ月後には自然に修復されたようです。
実は、土星の環は数10mほどの厚みしか持たず、そのためこのように壊れて見えることは珍しくはないようです。

概念的な話になりますが、土星の“秩序”が環の形状にあるとしたら、その秩序とは案外壊れやすいものなのかもしれません。

image photo : by e-zara(pixabay)

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