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デススト白人男性多すぎでは? を他作品と比較してみたメモ

前置き

「デスストのキャラ、白人男性多すぎじゃね?」と思ってて、でもそれが感覚だけなのか、それとも本当にそうなのかどうか、別の「アメリカ」が舞台の最近(2018年)でたゲームと比較のためにまとめたスプレッドシートを作ってTwitterに投げたんだけど、「スマホからだと見づれえな」と思ったんで、noteに所感・考察部分を修正追記して移植しました。

最初に言っておくとやっぱ偏りました。でもそれをもってデスストのすべてを批判する意図はないのでそこんとこご了承ください。あとほかのゲームも楽しいからおすすめ。
見づらいのはもともと自分用の集計だからです! すまんな!

実際に調べてみた表

上記リンクからどうぞ。
横幅の大きいPCやタブレットからご覧の方はテキストそのまま読めると思うので、このnoteは読まなくていいです。追加情報はわかりしだい随時更新します。

比較対象はデトロイト・ビカム・ヒューマン(略称DBH/近未来デトロイト市が舞台)、レッド・デッド・リデンプション2(略称RDR2/19世紀末~20世紀初頭の架空のアメリカ西部が舞台)。

白人、黒人は見た目の肌の色だけで判断し、演者のルーツによる人種差異はデトロイト・ビカム・ヒューマンの1キャラを除き加味していません。

(「どんな遠縁でもアフリカ系やアジア系のルーツがあれば有色人種カウント」みたいな考え方もあるそうなのですが、それだと演者の調査コストが膨大すぎるため、肌の色だけで判断しました。これは至らなくて申し訳ないです)

また、女性は「中年以上」の場合、男女とも「肥満体型」は特記しました。

(これは「若くてきれいな人ばっかり」みたいなやつをDBHがあえて崩そうとしているように見えたんで、ついでに他はどうなのかカウントしてみた感じです。中年男性はどの作品にも書くまでもなくたくさんいたので、あえて書きませんでした)

一応わかる限りのゲーム内設定情報もありますがこれは不十分。とくにDBHはおれが通らなかったルートのキャラが拾えていないと思います。

デスストは考察テキストにねたばれがあるんで、DBHの文章から貼り付けていきます。

デトロイト・ビカム・ヒューマン

有色人種の割合は半分にちょっと足りない程度。アジア人タイプのアンドロイドはいるけどモブにとどまっています。
女性の割合は意外にも並べるとすくなく、1/3弱。とはいえ三人の主人公のうちカーラは女性型ですし、モブ以上メイン未満のトレイシー型、クロエ型などを含めるとわりと沢山います。

アマンダやルーシーなど、長老ポジション(地位が高い)に黒人女性がいるのが印象的。ただしアンドロイドが多いため、「老年」や「肥満」といった要素はすくなめになります。人間側で調整してる感じですね。

基本的に複数人で行動するので、その行動単位に黒人または女性を必ず含めることで、いちどに画面に映るキャラクターの多様さを調整している感じがあります。
ただし、カーラ編の黒人男性型アンドロイド・ルーサーとはプレイヤーの選択によって同行以外も退場とかいろいろあって、同じ画面に映らないプレイヤーもいるかも。書いた人の一周めはルーサーいなかった……

唯一、「?」と表記したマーカスのこと。
キャラとしてはアンドロイドなので正確な人種はないんだけど、演者はスウェーデン、アフリカ系と先住民セミノールの血をひいている方です。

ただ彼、そもそもが「つくられた存在」なんですよ。ゲーム内設定としては、その、多様なルーツを持つ見た目を「つくった」人間サイドの思惑に想いを馳せるのが正解かもしれません。

多様性で言うとほかにも同性愛者であることがはっきり描かれるキャラ(アンドロイド)が存在するんだけども、今回は性的多様性はカウントしませんでした。メイン検証対象のデスストに見当たらないので……

レッド・デッド・リデンプション2

先に言っておくと全員が悪人です。ギャングなんでね。カウントしたのは主人公が所属する仲間たち「ダッチ・ギャング」の面々です。

人種・性別は、リーダーであるダッチの偽善というか理想家ぶりというか……がわかる、なかなかの多様性。
仲間全員がそろってる時代設定は1899年であり、黒人差別が未だ根強いなか、一味に3人もいます。ブリッジズより多い。

エピローグ最後のラストバトルにあたるミッションで行動を共にするのはチャールズ(黒人/先住民)、セイディ(女性)というのは、DBHと同じく多様性の確保がなされていますね。偶然のような気もするけど……

ストーリー中では先住民の武装蜂起に一枚噛んだり、女性参政権運動に協力したりと、当時の「アメリカ史」のなかの多様な事象を舞台装置としてうまく使ってる印象。

これらの多様性は意図的に調整しているというより、「こっちの方が物語に厚みがでる」という判断に思えます。そして成功している。

これが「善」かというと、必ずしもそうではないんですよね、RDRだから。
男装して人を撃ちまくり終盤は物語にも絡むセイディは、敵対ギャングに夫を殺された未亡人なんだけど、生前の夫とは協力して開拓にあたっていたことが語られます。
「チェリーパイを焼いて待ってる妻じゃなかったのよ」という、能動的な女性である彼女が夫の死後、かたきを取ろうとするなら、国や社会には頼れない、男装してアウトローにならざるをえない、そんな時代です。

このゲームで、主人公が所属するギャングは徹底して「時代や国家に取り残される」存在として描かれ、どんなにイキっても「弱者」サイドです。
その「弱者」内に19世紀末から20世紀初頭、黒人や女性が身を寄せざるをえないってのは、リアルではあるものの、辛いものがある。(みたいなことを描写したかったんじゃないかな)

(なお地位のある女性だとある金持ちの家の当主が女性で、このへんは開拓時代末期らしい自由な風潮? と思われますが、この一家も密造酒や薬物栽培で儲けているアウトローです。そして主人公たちにとっては敵対勢力なのでカチコミをかける)

ちなみに、さすがに時代を加味してかアジア人は一味にはいないけど、モブとして姿を見られます。
大きな街にアジア系の言葉ぽいのが聞こえるアジア人の多いエリアがあって、盗品を売る基本的なプレイをしてればそのエリアにお世話になるので、「このころにも東洋からアメリカに渡航した人たちがいたんだなあ」って感じです。

デス・ストランディング

メイン検証対象のデスストです。偏りの理由を探すために、後半はねたばれ含む考察というかこじつけ想像もあるんで、そこ読むかどうかはプレイ進捗次第で。

メインキャラクターは10人くらい、そのうちダイハードマン以外白人で、圧倒的な白人率です。
デッドマン以外みんな健康的にやせている。「肥満というほどではないが若干たるんでる」DBHのハンクみたいな人がいません。(ハンクも見た目ではわかんないですが…)

女性はほぼ入れ替えで登場となるママーとロックネを二人と数えれば半分近くいますが、基本的に若年のみ。(老年ブリジットは冒頭で退場後ちょっと秘密が…なのでカウント外に。ゲーム内で「リサイクル」したときの顔写真は見る人はよく見るかもですね。書いた人はスキップしちゃうので…)

配送センターの担当者やプレッパーズについても、見てすぐわかる黒人は2名、メイン応対は1名のみ。ただしその代わりというか、アジア人がやたらと多いです。

ただそのアジア人の多さは、日本人のカメオ出演によって担保されている。カイラルアーティストが本職俳優の唯一のアジア系(誰? って探してる人よく見るので書いておくと俳優・モデルのモーガン茉愛羅さんです)。

(ちなみにTwitterで質問があったんで列記しますが、俳優ではないカメオ出演の日本の方は「ミュージシャン」が三浦大知さん、「エンジニア」がホラー漫画家の伊藤潤二さん、「コレクター」がファミ通の浜村通信さん、「小説家の息子」が小説家の万城目学さんです。ファンの方には何か元ネタがわかるセリフがあるかも)

この配送センター担当者やプレッパーズは日本人以外もカメオ出演が多いそうなので、多様性の確保がむずかしそうではあります。参考(英語)↓

everyといいつつ網羅してないキャラがいるのは、そこは俳優さんってことなんですかね。

また、女性は数だけならけっこういるものの、男性の妻、または仕事のパートナーという形で登場することが多いです。女性がメインで応対する(アイコン表示される)のはおそらく6箇所。
パートナーとして出演してもけっこうしゃべるんで、少ないという実感はないかも。各拠点の好感度をあげるプレイをしてるとアイコン一覧をよく見るので、そっちで「男性多いな」ってなる感じですかね。

男女とも極端な肥満体型はいないようす。コレクターことファミ通元編集長ヒゲ氏を肥満カウントするかは…デッドマンに比べたら平均値なので…

中年女性について。
最初こそ「母親」(カメラマン母、ロボット工学者、カイラルアーティスト母など)が目立つものの、「スピリチュアリスト」「エボデボ学者」は一人暮らしで自立していると思われます。若くしてシングルマザーの「ロボット工学者」は自立かつ母親という感じか。
目に見えて太っているとかお年寄りとか、そういう女性はあんまりいません。

人種、性別、体型などが多様になるよう「調整しよう」という意図が良くも悪くもみえない、という印象。あるいは全部をダイハードマンに背負わせているともみられます。(彼だけものすごいセリフ数だし…)

↓ここから考察というかクリア後までのゲーム設定内で理由を探した結果なんでネタバレ

ゲーム内で理由を探そうとすると、「大統領であるブリジットの出自は現(2019年)政権時代の幹部とみられる」ことかなあうーん。
彼女はかつて「メキシコとの間に壁をつくろうといった」(エルダーのメールより)どう考えてもトランp……大統領のあとを継いだ副大統領という設定なので、思想や支持基盤が保守的だったとみられます。あるいはトランp……みたいな白人至上主義的な思想、本人がそうでなくともそういう支持層があったのかもしれません。

女性の社会参加に関しても、ブリジットは自分自身(アメリ)と、エボデボ学者やロボット工学者、そしてママー姉妹など、「チート級の女性だけ」優遇しているきらいがあります。
配送センターや発電所、気象観測所など一般の職業には男性ばっかり配置……ってこれ、あんまいまどきぽくないですね。

いやもっとネタバレの話するか。EP10以降の話するのでまだの人は読まないように。

カイラル通信ってね、脳死母の胎児を取り出して使うBBが、拠点の端末なんですよ。ノットシティや中継ステーションには通信用のBBがいるとみられます。その数だけ脳死した女性が生かされている。

で、その脳死母となる女性どこから持ってくるんだって話です。あんな人口少ない世界でつごうよく妊娠中に脳死してくれる人そんなにいるか?
しかも脳死母が老衰で死んだら取り替えなきゃ、じゃないですか。

その、「替え」の候補の母数を増やすべく、チート級の能力のない女性は家に入って妊娠して「母親」になるような施策を、ブリッジズとして長年ブリジット主導でやってきた……と考えれば、「ふつうの」女性の社会進出のできてなさというか、表に出る女性みんな有能すぎる問題に、一応の説明はつくんですけども……いやこれはつけても胸糞だからつけたくないな……

なんかYouTubeで実は○○だった! って派手な字幕のサムネにされそうな考察結果になってしまった。やだやだ、おれはそういうの加担したくないですよ。

なんにせよ、ゲームの設定のなかで理由をさがすにあたっては、政治を仕切ってきた人がブリジットである以上、有色人種の人口割合と女性の社会進出についてのあれこれも全部、デスストランディング後を仕切ってきた彼女の政策によるものということにはなると思います。
やべーやつだな。さすがは妖怪絶滅ばばあです。(仮説でディスるスタイル)(おれクリアしたけどブリジット&アメリが好きじゃないんだごめん)

まとめ

最初にも書いたけど、人種や性別の多様性がないからといってデスストのすべてを批判する意図はありません。

書いた人、ストーリーと演出(とこういう「いまどき」っぽくないところ)はボロカス言ってますけど、ゲームプレイはクリア後の世界で何時間も遊んでるくらいおもしろがっているんで。もう70時間こえて全☆5めざしたら100時間いくかなあ。

DBHもRDR2もデスストと同じく、大半のシーンで実在の俳優を起用して制作したゲームです。で、これを世界基準だと思っていたんで、デスストに違和感があったなあ、と、そういう感想が、ただの感覚なのかそれとも実際そうなのか、根拠なしに批判したくなかったんで、並べて調べてみたかったという表と記事になります。

だから別にこれからデスストにどうしてほしいとかは全然ないんですけど、いまどきあのロックスターのゲームも人種性別多様性は確保しているんだな! ってわかったのとか、DBHはやっぱテーマ的にか、めっちゃ神経質にそのへん頑張ってるんだなとかわかったんで、そこはもう満足であります。

ほんとは同じデシマエンジンを使っているホライゾンゼロドーンもやりたかったんですが、さすがに時代が離れすぎているのでやめときました。いちおう時代が近い「崩壊前」のキャラクターだと、ムスリマ(女性イスラム教徒)らしき学者がいたりして、おおー多様だな! って感じなんですけどね。