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ロイヤルミルクティー冬の陣

どうも限界紅茶オタクです。突然ですが、冬なのでロイヤルミルクティーの話をしたいと思います。

定義がグダグダすぎて未だに世の中が統一した語意を言えないのがこの、「ロイヤルミルクティー」なる飲み物。これ紅茶好きなひとであればあるほど色々なスタイルを経験していて、分かんないんじゃないんでしょうか。

基本的には「ふつうのミルクティーより、ミルクが大量に入っている紅茶」という共通認識だと思います。

でもちょっと見てくれ、これはそれぞれ超有名実力派ティーショップ/サロンが公開しているレシピだ。

ジークレフさんは「ポットで茶を抽出後、温めた牛乳を投入」。

ロンティーさんことロンドンティールームさんは「鍋で沸かした湯に茶葉を投入し、さらにミルクを投入して加熱」。プロのレシピからして統一見解がねえ!

どっちもお店にいくと美味しいんですよねえ。ジークレフさんはサロンなくなっちゃいましたけど。いずれも紅茶とミルクの味が存分に楽しめます。

とりあえずポイントとしては

・ミルクティー向きの茶葉を
・たくさん使って
・濃いめのミルクを
・温かくして(別途温めてor一緒に火にかける)配合
……ってところでしょうか。

ジークレフさんの取り扱っている紅茶はホールリーフ(ひとつひとつの葉っぱがでかい)が多いので、味と香りを最大限引き出すためにはポットでの抽出が必要なのに対し、ロンティーさんは茶葉の大きさがいい塩梅のブレンドなので、鍋での抽出が美味しいんじゃないかなあ、と理由は察せられます。

つまるところ好みと手持ちのお茶の状況で変えたらいい。っぽい。
持っているお茶がブレンドとかセイロンの細かい茶葉ならロンティーさん式、ホールリーフの、鍋では抽出が難しいやつならジークレフさん式が安牌でしょう。

ちなみに「ロイヤルミルクティー(の水分)はミルク100%」はガセです。
※2020/05/11と思ってたけど特別な牛乳使うとそうでもないのを習う機会がありました。ちょっと長くなるのでいずれ別記事にします。ここではその理由をそのままお読みください。

なぜなら紅茶の味は、牛乳には脂肪分が膜になって抽出できないので。ていうか、沸騰した熱湯じゃないと味が出ない紅茶というものを、沸騰しちゃうと味が変わる牛乳で出そうって企みが無謀じゃない?
一応エスプレッソマシンとか使うと不可能ではないのかもしれない。
でもとりあえず家庭では沸騰して匂い変わり果てた牛乳とベッタベタになった茶葉見て泣くことになるからやめた方がいいよ…………(そう限界紅茶オタクなのでやったことあるのだった!)

ペットボトル紅茶のCMでミルク100%つってるの、あれ「使っている牛乳が国産100%かつ粉乳とかの混ぜ物してません」って意味です多分。これ書くために飲んでみた。多分そんなとこ。

紅茶に限らないんですが、飲料で「水」って原材料に表記しないんで、ペットボトル紅茶の原材料表記っておかしなことになりがちなんですがまあその話はいい。美味しい話しよう。

ぼくのかんがえたさいきょうのロイヤルミルクティー

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おれだって紅茶オタクの端くれ、そのくらいの球はある。そう、それが語りたかったのである!! オタクは自分語りがしたいのである!!

脂肪分マシマシ、紅茶の香りと味が負けない、そんな現時点での個人的さいつよレシピです。なお予算はかかる。

ハードルは高めだけど、材料が手に入るならやってみてくれ、そんなレシピをしたためておきます。

つかう牛乳

まずは牛乳から。これは「濃ければ濃いほどよい」という規準で選出しています。おいしいから。
でも牛乳に弱い人、脂に弱い人は腹を壊す危険度も高まるので、そこは体質を加味して選んでくれ。

・乳脂肪分の高いジャージー牛乳で
・さらにノンホモジナイズド略してノンホモ牛乳
・それも小分け瓶

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こんなの。

……が手に入れば最高です。探す価値がある。

ただジャージー牛ってそんなどこでもいるわけではないらしい。(書いた人はリンク先、蒜山のふもとで育ち、モノの溢れる眠らない街TOKYOぐらしなので、レアリティがあまりわからない)
どうしても手に入らない場合、ノンホモにしてみるだけでも「「違い」」が感じられると思います。

探した感じ、紙パックならちょっと手に入りやすいかな、瓶がなかったらこの蒜山(ひるぜんと読みます)の紙パック、できれば黒いパックのプレミアムってやつを探してみてください。ノンホモではないけど、たぶんこやつが全国に出回ってるなかでは一番濃い。

ジャージーかつノンホモ、ふつうに飲んでもめっちゃうまいんで、取り寄せてもいい牛乳ではありますが、生モノなのでおれは通販したことはないんですよね。
店頭だとデパ地下にあるスーパーなんかでゲットできる確率が高い。書いた人はデパートで血眼になってようやく手に入れました。よく品切れしとる。

もし酪農やってる地方にお住まいだったら運がいい、ぜひお住まいの地域の中で一番よきものを手に入れてください。それができる牧場なら直売所に遊びに行ってゲットするといいと思う。

それでも、どうしてもなかったら「乳脂肪分」がともかく高いのを選ぶとよいです。加工乳で特濃ってやつがあります、こいつだけでだいぶちがう。
おいしいものは脂肪と糖でできています。やっぱり脂肪は正義なんだよ。

つかう茶葉

これ、有名ブランドのアッサムブレンドやイングリッシュブレックファストが本当は無難なんだけど、おれは農園指定オタクなので「こいつぁやべえ」という連中も一応紹介しておきます。

サバラガムワ ニュービタナカンダ茶園

いきなり知らない産地が出てきたと思ってびっくりしないでほしい。
セイロン島内、ルフナの近隣産地です。(スリランカの国土の大半を占めるセイロン島には数カ所の産地がありそれぞれ味がちがう。セイロンティーだからといって全部がミルクに向くわけではないです。まあでもそういう細けえオタクのコダワリを粉砕する茶園があるのがセイロンの面白いとこではありますが)

サバラガムワは「ルフナ」と分類して売ってるお店もまだあると思うので、試せる環境ならルフナもあわせて試してみて、好きな方を選ぶと良いでしょう。ミルクティーの場合、甘い匂いだな、香ばしいな、と感じるものを選ぶとよいです。

紹介した農園は蜜のような甘みと香ばしさが特徴。ふつうにいれてふつうにミルクを投入してもおいしい。手に入れたら、先にふつうにいれてみて、どのくらいの濃さが理想か確かめておくとよいです。

実はおれが最近まで持ってたのはべつのメーカーが仕入れていたものなんですが(そこのは通販売り切れてた、農園指定オタクは一期一会!)、2〜3メーカー試してこの茶園は外れなかったんで、TEAPONDさんの仕入れなら大丈夫だと信じてリンクしときました。

アッサム ルクワ茶園

これストレートで飲んでもめちゃめちゃ美味しいのでロイヤルミルクティーにしちゃうのは贅沢オブ贅沢ですね。TEAPONDさんでミルクティーにするならこいつが一番好きというどちゃくそ主観による選出です。香りが良い、味が濃い、ミルクに負けない強者の風格です。

ミルクティーにしたいって言うと香りより若干、味を重視してオススメしてくるお店が多いんですよ。でもこのレシピはきわめて香りの強いミルクを使うんで、ルクワの甘い香りを信頼してチョイスしています。

ゴールデンティップ(乾燥した状態で黄色く見える茶葉。芽のとこです。これ本当は味に関係ない説もあるんだけど、一応紹介します)が多いので高級感あるけど、ひるんではいけない。おまえの香りを信じてる。

リンクは2018年のロットを紹介してますが複数年買ってみて多分ここは安定してるなと思いました。もしリンク切れになるような時期にこの記事を読む人がいたら「アッサム ルクワ茶園」で検索してどこかから手に入れられると思う。まあその年の出来が悪ければ国内に入ってこないのですが。

安定感を求める人に:UNA TEA No.17

見づらいけどこの中の17って書いてるやつ。ルフナ。

なんかこうHP全文読むと売り方的に若干大丈夫かよ感があるんですが(おれは嗜好品である紅茶を美容や健康の文脈で持ち出すのが大嫌いなので)、ただ、この品ばっかりはおのれで試し、一缶をあっというまに使い切った、抗えぬうまさでした。気に入らなくとも味は間違いない。くやしい。(悔しいってなんだよ)

ストレートよりはミルクかなあ、ミルクティーをつくるに際してかなりの安定感があることに加え、「初心者でも美味しく出せる」というバランスのよさがあります。
うっかりその辺のミルクティーに向かないのを買ってしまうよりかはこっちがいい、参考枠です。

その他で選ぶときの雑感
同じアッサムでもダフラティンとかは香りが勝って大量のミルクの前だと味がわかりづらくなるんであんまおすすめしないかなあって書いた翌日にめっちゃ味もすごいダフラティンをおすすめされて俺ァ立つ瀬がねえ! 自分で確かめるべし!
今年のナホルハビなんかはヤベーやつだったんですがロイヤルミルクティーに使ってしまうのがもったいなくて試したことはない(そして50gをのみきった…)

みんな大好きルピシアだと、農園指定よりかブレンドを選んだほうがいいと思います。求めるのは甘い香りと味の強さ。お店に行ける人は「ジャージー乳でミルクティー作りたいんです!」って力説して、詳しい店員さんに勧められたものを信じてほしい。
リンクのベルエポックはノンホモでは試してないけど普通の牛乳でのロイヤルミルクティーに昔よく使ってました。ケニア入ってるのにダージリンもいるバランス好きなんですよね。隙あらば推しブレンドも推して参る。最近試してないんで参考値ですが。

このレシピ、大半はアーマッドティーさんのブログを参考にしてて(ノンホモ使うところ。ジャージーの指定はないけど) 

使用例はイングリッシュブレックファストなんで、そこから始めるのもいいかもです。アーマッドティーさんはAmazonで買えるくらいメジャーかつ普通に美味しいので、取っ掛かりに手に入れてみるのもよいかも。ここ缶がかわいいよね。

いれる段取り

用意するのは水1:牛乳2の割合に出来上がり量に応じた茶葉、あと好みの砂糖。以下はトータルで300ccくらい出来上がる例です。

※12/22 写真更新。おすすめレシピどおりにつくったものに写真を差し替えました。茶葉は新しく開拓した(上記修正箇所参照)ダフラティンだ!

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・道具は手鍋、それを塞げるフタ(他の鍋の蓋とかでいい)、ハカリと計量カップ、混ぜる棒や長いスプーン、茶こし、あと出来たお茶をいれるポットやカップ。茶葉を入れとく容器もあるとよい。

台所きたねえのはご愛敬だよ。おしゃれとは無縁の紅茶ライフです。いやまあ年末大掃除しないとな……それはともかく。

・茶葉をハカリではかる。

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だいたい茶葉に「○○ccあたり○グラム」と書いてあるので、それを分量どおり(+1〜2g)をはかっておきます。150ccあたり2gの茶葉なら5gとか、2〜3gなら6gとか用意する。渋みも欲しいぜって人はもっとあってもいいかもしれんけど、茶葉の甘味が出づらいのよな。砂糖いれるので気にならんかもだけど。
このときハカリで重さをはかる。スプーンは茶葉の量(かさ)によって重量が変わるんで最初はやめた方がいいです。

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・水、100ccを計量して鍋にいれる。
なんと書いた人の愛用は100均のおんぼろ鍋です。数々の失敗を飲み込んだアレな見てくれですが、注ぎ口が扱いやすくってなあ。慣れたのを使ってくれ。

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・牛乳、200ccを計量して置いとく。(※上の写真は普通の牛乳のときですが、瓶の場合↓)

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小瓶入り牛乳だとすでに180〜200ccくらいだから出しとくだけでいいですね。180ccの小瓶でやるなら水90にして茶葉の量も準ずるとよい。おれは100ccでやってますが……
ただしノンホモ牛乳は無均質というだけあって、開ける前に振っておかないと脂が偏っちまうのでそこだけ注意。蓋の裏にクリームついてんだよな。

・砂糖(好みの量。このレシピは二人前なので、自分がいつもいれる量の倍だ)も計って小皿にでも置いとくか、すぐ出せるようにしておく。

・できあがったお茶をいれるポットやカップも(できれば温めて)置いとく。

ともかく沸騰を目前にすると泡が大変なことになるので慌てやすい。ものは揃えておく方がよいです。

・材料が揃ったら、水の入った鍋を火にかける。茶葉スタンバイ!

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・水がボッコボコに沸騰したら茶葉を投入。かき混ぜたら、火を止め、蓋をして、茶葉の抽出時間+少しのあいだ置く。(ここ火を止めてから茶葉でもいいかもな〜)

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「茶葉がヒラヒラに開いたな」ってなるまで置くんですが、時間になったら蓋を開けてみて、茶葉が開いてないなら閉じて待つ、みたいな感じ。

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様子見てます。

・茶葉がじゅうぶん開いたぽい、ってなったらミルク投入し、点火。火加減は様子見。いいか、沸騰しそうになるけど絶対に沸騰させてはいけない。香りが落ちる。目的はミルクを温めることで、目安は鍋の周りにじゅわ〜と泡が上がってくるくらい。この間、均一に温まるよう混ぜるんだ。

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こんくらいでも個人的には(猫舌なので)良いんだけど、多分普通の人にはちょっとぬるい、って感じなんで、もうちょい火にかけてました。どのくらい温めるかは好みだと思ってる。熱々で出してくれるプロはずっと火をつけたままノンストップなのですごい。完全に沸騰しちゃうと香りが変わってしまうんだ……おれが日和るのはそれがこわいんだ……

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・火を止め、ここで砂糖を入れてよくまぜる。
 砂糖は火がついてるときでもいいんだけどおれはよく失敗するので諦めて火を止めてからいれてます。

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・茶葉が入らないよう茶こしを使って、鍋からあらかじめ用意しておいたポット、またはカップに移す。

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完成!!

上は普通の牛乳、下はジャージーのノンホモジナイズド牛乳で作ったものです。

質疑

Q.砂糖は必須?

A.必須じゃないけど入れた方が甘くて美味しいやろ。甘いの苦手な人に出すなら入れずにあとで入れる方式でいいと思う。まあでもノンホモジャージー、脂肪がすごいので、きっと糖が欲しくなると思うな……

Q.さらなる脂肪を求めて:生クリーム入れていい?

A.いいけど責任はとらない。

ジークレフさんのサロンではあとのせする用に七分だてのクリームがついてました。ただ、おれ@身体弱いマンにとっては、それすらちょっと胃に重たかった、という印象。ましてやこのレシピだと脂肪分のやべー牛乳をつかうので、これ以上脂をマシマシにした結果おなかをこわしても責任はとれません。

Q.それでももっとミルク成分を増やしたい

A.できあがり300cc中、水50ccくらいまではやったことがある。なんとか形にはできるけど、紅茶の味を出し切った感じはしなかったです。あとはみずから実験してくれ!

Q.もうちょっとハードル下がらない?

A.店に行け(!)
いやこれ真理で、都市部のみならず、じつは地方都市のほうが美味しいティーサロンがあったりします。お住まいのエリアで紅茶専門店、検索してくれよな。まあ専門店ほど紅茶の味にこだわってロイヤルミルクティー無い現象もあるんだけどそこはバクチだ。嗜好品なんて突き詰めれば何でもバクチだ(言い切った!)

まとめ

いや別にまとめるほどのことは言ってない自分語りだった。ロイヤルミルクティー、別におれのレシピじゃなくても、色々紹介したやつ、身体があたたまるのでおうちでぜひやってみてほしい。

おれは好みのお茶が「甘み」「うまみ」に偏っていて、「苦味」「渋み」をあまり重視しないんで、茶葉のセレクトもそっちに偏っています。なので、苦くないと紅茶飲んだ気しねェんだ! って人は、茶葉もそういうのを探したほうがいいです。

あと、この段取りで茶葉やミルクのグレード落として、茶葉と同じタイミングで(諸説ある)スパイスを入れて以下同手順でやるといわゆるマサラチャイ、スパイスミルクティーが完成します。(グレード落とすのはせっかくの原料の美味しさがスパイスで崩壊するのが怖いからで、バランスをとれる自信があれば良い材料でやっていいと思う)

書いた人はその日家にあるものを突っ込んでいますが、寒がりなので生姜は必ず、あとシナモンやクローブが好きなのでそいつも、って感じです。限界オタクだからホールスパイス(粉ではない原型)使ってますが、お菓子作りとかで使う粉のやつでも全然おいしいので、ぜひ。カルダモンとか、粒があればほんの少しの赤色のペッパー(正式名はなんだ?)とかも良きです。