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あすなろの手紙〜俳句を添えて〜

これは、橘鶫、aloha、鮎太が紡ぐ公開の往復書簡です。ぜひ、楽しんでいって下さい。

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橘鶫さま、alohaさま

 早いものでもうクリスマスが過ぎてしましたね。こちらは深々と雪が降り続けています。大きな事故や災害が起こらないこと祈っています。

 さて、alohaさんからの質問は「集めているもの」でした。
 僕の集めているのもは、「好きな言葉」です。本や映画、雑誌、noteなど身近に溢れている言葉のなかから、これ好きだな、と思ったものをスマホのメモ帳に書き込んでいます。
 意識的にやり出してまだ3年くらいですが、いまは593の言葉がメモされています。合わせて出典や日時も書くので、後から見返したときに、当時の自分がどんな言葉に反応していたのか振り返ることができます。
 言葉は不思議ですね。何気なく見つけたものをメモしたはずなのに、当時の自分がすぐに思い出されます。お2人は毎日のように俳句を詠まれていますから、それらを振り返った時に似た感覚になるかもしれません。短い言葉でも、心に刻まれたものは簡単に忘れないものだと思いました。

 鶫さんからの質問は「今年一番嬉しかったこと」ですね。
これは、桃の花が咲いたことです。
 父は、桃の花が、好きでした。以前エッセイにも書いたのですが、ある時、父が野球を見ながらふと、
「桃の花が好きなんだよなぁ」
と呟いたことがありました。それまで、花が好きなんて知りもしませんでした。

 父が亡くなって、もう数年が経ちます。家の近くに植えた桃の木も、少しずつ大きくなってきました。そして、今年、初めて咲いたのです。
うっすらピンクで、とても儚げでした。それはいつも愚痴も言わず黙々と仕事をしていた父に似合わない、可憐な花でした。
 僕は、とても嬉しかった。ついに、父の好きな桃の花を間近で、ちゃんと意識して見ることができたのです。父もこんな柔らかなピンクに癒されていたのかと思うと、久しぶりに抱きしめられたような温もりを感じました。
最後に僕が父を詠んだ句を置いておきますね。

名月や作務衣の父の怒り肩      清川鮎太

 さて、もう年末。でも、来年もこの手紙は続きます。もう来年の楽しみがあるなんて、とても嬉しいことですね。

僕からのお二人への次の質問は、
2022年で、自分で詠んだ一番お気に入りの一句を教えてください。
です。何卒よろしくお願いします。

大人が3人は入れるかまくらを甥っ子と作った鮎太より

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