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風の時代とモンテーニュ
昨今、「風の時代」という言葉をよく耳にするようになった。
もともとは西洋占星術をルーツとする言葉なのだけれど、今回はそういったスピリチュアル要素をいったん度外視して、私個人が感じている「土の時代(地の時代)」と「風の時代」を、7つのテーマごとに比較をしてみたいとおもう。
そして、この「風の時代」という概念をとらえるにあたり、16世紀フランスの哲学者・モンテーニュという人物の残した『エセー』という著書が非常に興味深く、かつ「風の時代」に関連性のある言葉を数多く残している。
ゆえに、この著書の引用を交えながら、「風の時代」というものの輪郭をさぐってみたい。
①キーワード
世の中の人々は、いつも自分のまっすぐ前の方をみつめる。私の方は自分の視線を内側に向け、そこにそれを植え付け、そこに落ち着かせる。誰もが自分の前をみつめるが、私の方は自分の中をみつめる。私は、自分にしか用がない。自分をたえず考えて、検討し、吟味する。
(モンテーニュ『エセー』より)
②欲求について
世の中には愚かさのきわみといえるようなことがたくさんあるけれど、そのなかでも、もっとも広くいきわたっているのが、名声や栄光への関心である。われわれは、このことにこだわり、富や、心の安らぎや、生命や健康など、現実的にして実質的な幸福を捨ててまで、このむなしい幻影を、実体もなく、つかまえることもできない、名声という単なることばを追い求めるのだ。
(モンテーニュ『エセー』第41章より)
③ライフスタイルについて
それにしてもわれわれは大変な愚か者である。だって、「彼は、人生を無駄にすごした」とか、「今日は、なにもしなかった」などというではないか。とんでもない言いぐさだ。あなたは生きてきたではないか。
(モンテーニュ『エセー』第13章より)
④ワークスタイルについて
会議室でやればすむことを、わざわざ広場でやってみせたり、同僚だってしっかりできることなのに、自分でやることにこだわるなどというのは、おのれの評判や、個人的な利益を考えての行動にすぎず、公益のためではない。
(モンテーニュ『エセー』第10章より)
⑤思考・思想について
運命はわれわれを、幸福にも、不幸にもしない。その素材と種子を提供するにすぎず、それを、より強いわれわれの心が、自分の好きなように、轆轤(ろくろ)をまわして加工したり、くっつけたりするのだ。
(モンテーニュ『エセー』第40章より)
⑥ファッションについて
服装において、なにかしら特別で、珍しい方法で、自分を目立たせようとするのは、小心さの表れですが、ことばの場合も、新奇な表現とか、よく知られていない単語などを探しまわるのは、学をひけらかしたいという、子供じみた野心のせいです。
(モンテーニュ『エセー』第25章より)
⑦恋愛・結婚について
もしもよい結婚があるとすれば、それは恋愛という状態が伴うことを拒み、むしろ友愛という状態を模倣しようと努めるはずである。結婚とは、変わらぬ愛と、信頼と、有益にして堅実なる、数限りない奉仕と、おたがいの義務といったものに満ちあふれた、穏やかな人生共同体なのだ。
(モンテーニュ『エセー』第5章より)
さいごに
モンテーニュの『エセー』は、風の時代における教科書のようなものかもしれない。
さいごに、私のお気に入りのことばで贈っておわりとしたい。
わたしの仕事ならびに技術は、生きることだ。
(モンテーニュ『エセー』第6章より)
Ver1.7(2021/02/09)
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