家事分担を「囚人のジレンマ」モデルで考える
グロービス学び放題の『共働き夫婦の家事分担は囚人のジレンマで考えよ!』の動画に間違いを発見しました。
Section2で、03:18では「自白⇒家事をしない」と読み替えているのに、02:45では「自白⇒家事をする」と読み替えてしまっています(前者が正しいです)。
【ダイジェスト版YouTube】
【全編】(※要会員登録)
他に気になった点
囚人のジレンマのペイオフマトリックスにおける『懲役年数』を、そのまま『家事労働時間』に読み替えるのが無理があり(というより不適切で)、このようなミスが生じる原因となっています。
下記のページのように、利得に「家が汚れる不快感」「外食費用」「夫婦の不公平感」を加味したペイオフマトリックスを作成するべきでしょう。
「適材適所は『相手のやりたい思い』(納得感)が前提となる」という動画の結論部分については、納得感は
✅仕事の時給
✅仕事の不効用
✅家事労働の外注コスト
✅家事労働の不効用
の兼ね合いから決定します。
夫婦の片方または両方が、
・「仕事が大好き」かつ「仕事の時給」がとても高くて
・「家事労働が大嫌い」な場合
その人に家事をさせるのは明らかに不合理です。
そこで、
①『夫婦共用の財布』からの『お小遣い制』(双方)または
②『夫婦共用の財布』への『定額入金制』(双方)
としたうえで、家事を「(時間ではなく)仕事量が均等」になるように二人に配分して、自分のノルマ分は
(a) 自分でするか
(b) 有償で配偶者に頼むか
(c) メイドさんに外注するか
を選択するのが、経済学的な解決でしょう。
なお、グロ放題動画の
「パレート最適(自発的にやりたくないことはやらないということ)を質問者は提案していない」
というテロップは、前後で「自白⇒家事をしない」「黙秘⇒家事をする」がひっくり返ってしまっていることと相まって、意味不明です。
「家事は無償労働なので、生産性の原理に当てはめることは難しい」
というテロップも、一概に「家事を生産性の原理に当てはめることは難しい」とはいえず、メイドさん等に外注が容易な作業については、生産性の原理の導入も容易であると考えます。
【関連ページ】
(2021/07/12追記)
ゲーム理論が専門の大学教授の方から
家事分担については
✅囚人のジレンマ
<均衡において誰も家事をしない>
ではなく
✅チキンゲーム(ないしはタカハトゲーム)
<均衡において片方が家事をしぶしぶ行う>
が使われることが多い旨、ご指摘頂きました。
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