【ラブホという場所の裏の顔1 メンバー紹介】

私は大学3年4年の2年間、鶯谷のラブホテルで清掃のアルバイトをしておりました。
理由は簡単で、時給がよかったから。
普通のアルバイト求人誌に載っていたので、問い合わせたところ、電話が社長の自宅で、電話するたびに奥さんが出て「そんな仕事をしておりませんし、アルバイトも募集しておりません!!!」と怒られまくりました。
しかし、どうしでもお金が欲しかった私は、直接ホテルに履歴書を持って行き、何とか採用していただきました。

そこにいたのが前科3犯の元やくざ「おーさん」、ミャンマー人の3人兄弟「お兄ちゃん」とお兄ちゃんの奥さんで名前が複雑なので勝手に名前をつけられた「よしこちゃん」、これまた名前が複雑なので勝手につけられた次男の「松田君」、そして3男の「チャイ君」、40半ばでリーゼントをしている「シーさん」、家政婦紹介所から派遣されてきた「おばちゃん」、
ボイラー技士をしている、ちょっとインテリっぽく気難しい「マーさん」、そして近所の顔見知りであるということでアルバイトに採用されて、受付をしている主婦の人々でした。

バイトの内容は言うまでもなく清掃なのですが、そこにも役割分担があり、ベッドメイク、床の掃除機掛け、アメニティグッズ・設備担当、風呂・トイレ清掃がありました。
私はその中で、風呂・トイレ担当をしておりました。
上下ジャージを着こみ、子供用の砂遊び用バケツに洗剤やワイパーを入れて、作業をしておりました。
そして基本的なチームは、私、おーさん、松田君、おばちゃんのチームでやっておりました。

「おーさん」は本当に約30年前に42歳のベビーフェイスで、「この人、何でここにいるんだろう?」と思わせる人でした。そして口癖は「俺、人生で働くの初めてだけらさぁ、何にもわかんないんだよね」だったので、私はてっきり「ボンボンが寝床つぶして、初めて働きに来たのか」と思っておりましたが、その後おーさん自身が「俺は前科3犯の元やくざだからさ」といって、全身の入れ墨を見せてくれて納得しました。

「松田君」は本当にまじめな青年でした。ミャンマーから家族で日本に来て、一生懸命働いておりました。
ただその分、とっつきにくいところもありました。
松田君を呼ぶと必ず「あ~~?!!!」というぶっきらぼうな大声が返ってきました。
初めのころはあまりいい感じを持ちませんでしたが、弟の「チャイ君」が、「ああいう風に言わないと日本人になめられると思ってるんで許してください」と言われて、納得しました。
「チャイ君」は本当にやさしい好青年でした。

「おばちゃん」は、まごうことなき「おばちゃん」でした。
家政婦紹介所から派遣されてきて、メンバーのいないとことでは、そのメンバーの悪口や噂話をすることが好きな人でした。
主にアメニティー担当でした。

我々は常に、待機室に詰めていました。

仕事としては主に2つのシフト、宿泊後とサービスタイムの全館清掃。
それ以外には、各室についての清掃についてです。
これらに対しては、受付のオペレーター室から指示が出ると、我々チームが清掃に行くという形態でした。

簡単に説明すると、こんなチームと清掃体制で色々なことがありました。
次回から、このチームや登場人物を絡めながら、様々なエピソードをお話ししたいと存じます。

それでは、今回はここまで。
次回は、「早くしてよ」です。

それではまた、次の機会に。

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