40代の壁-美容師のヒトリゴト

今、私は壁の前にいる。
美容師としてやってきた私は、今まで特に何も考えずに生きてきた。
20代で結婚、出産、離婚、と経験し、シングルマザーを経て再婚した。そしてまた出産。今では3人の母である。

美容師としての自分の中には、人と比べて足りないものに不安を感じ、人と比べて劣っている部分に気付きながらも、今まで子育てしてきたのだから仕方がないよ〜という優しい声と、合間に時間はいくらでも作れたよね?という厳しい声が混在している。

40代に入り、さすがに焦りが出てきた。
1人目の出産から今まで時短勤務でしか働いてきていないし、出産の度に加算されていくブランク期間。同期が皆活躍し、輝き、自分のステージをアップデートしていく中、私だけが取り残されたように時間が止まってしまっているように感じる。
毎日がそうやって過ぎていく中で、腰が痛いだの足が疲れるだの疲れが抜けないだの、それまでは寝ればよかったのにそれだけでは済まされない身体の変化を感じるようになり、お客様と並んで鏡の前に立った自分を見ては肌に艶がない!浮腫んでる!下がってる!と歳を自覚するようになった。
そうなって初めて、あと何年働くのか、今のままでいいのか、この先20年をどう生きるか、自分をどうアップデートしていくか、何が足りないか、等々、ようやくまともに考え始めたのである。

若い時には朝まで飲んで2時間くらい寝て仕事に行くこともあった。その後のことを深く考えていなかったからだ。それがいつしか守りに入り、「ガンガンいこうぜ」から「いのちだいじに」にシフトするようになっていた。勿論、家庭もあり、子どももいるのだから当然と言えば当然なのだが。
私の場合は、みんながバリバリ働いている時から気付けばずっと子育てが続いている。20代30代をバリバリ働いてきて、40代で子育てしながら時短勤務している仲間たちとは違うので、自信に繋がる土台がしっかりしていないのだ。

そのスポンジのように柔らかい土台に、今から粘土質のようなもったりとした濃厚な土を注ぎ足し、硬い土台にしていくことはできないものか。中途半端だっただけで、経験がある以上は空っぽではないはずだ。家で言えば補強工事のようなものが今からできないだろうか。

今は家にいながら色々なことを習得できる時代だ。自分の好き、信念、興味を追求しながら、働き方も選べる時代だ。
人生100年時代。
この時代を美容師として、どう向き合っていくか。
遅咲きの美容師、それもあり!と自分を認めて背中を押してあげたい。



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