flumpool 『The Best 2008-2014 MONUMENT』

愛に溢れた6年間の記念碑

 今から6年前、2008年。大型タイアップと共に華々しくデビューしたflumpoolは、ドラマや映画の主題歌など、多くの人気曲を世に送り出してきた。傍から見たら、彼らは成功への道を駆け上ってきたバンドのように見えるかもしれない。だが、実際の彼らの年月は、悩みと葛藤の繰り返しだった。

 配信開始からわずか1週間で100万DLを突破したデビュー曲“花になれ”は、agehaspringsの百田留衣による提供曲。自分たちの楽曲ではないことに戸惑いもあったと、山村隆太(Vo./Gt.)は当時を振り返っている。「バンドの実態が見えない」と悩んだ時期も長かったという。しかし、彼らはそれでも足を止めず、前に進み続けた。DISC2の1曲目に収録された“明日への賛歌”は、そんな風にがむしゃらに進んできた今の彼らだからこそ歌える曲だ。優しいメロディを、ドラムのリズムが緩やかに、しかし着実に前へと進めていく。〈悩んでもいい/迷ってもいい/転んでもいい/止まってもいい〉と一つ一つ肯定しているのは、バンド自身がそんな道を歩んできたからだろう。flumpoolの楽曲は、決して聴き手の背中を無責任に押したりはしない。ただ寄り添い、そっと見守ってくれるのである。

 また、今作には“labo(Re-format)”や“Hydrangea”といった、インディーズ時代からの名曲の新たなアレンジも収録されている。特に“Hydrangea”は、ライヴでは度々演奏され、ようやくCD音源に収録された人気曲だ。梅雨空に差し込む光のようなサウンドは前向きで、そして強い。ちょうどflumpoolそのもののように。

 DISC1の終曲“証”はNHK合唱コンクールのために書き下ろされた楽曲、そしてDISC2の終曲“フレイム”は終盤に壮大なコーラスを持つ。どちらも「みんなで歌う」曲だ。音楽とファンを誰より愛し、真摯に向き合い続けてきた彼ららしい選曲だと思う。そう、この作品は、flumpoolと、そして彼らを愛し続けた私達の双方にとっての「MONUMENT(記念碑)」なのだ。6年間、彼らを愛し続けて良かった。ありがとう、そしておめでとう!

(※2014年執筆)

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