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クッキーとチョコレート

2016年の3月、つまりは息子ソウタ(仮名)が5歳の頃、年長組への進級直前に、年中組の1年間で起きたことを思い出しながら書いた文章です。
知人のみの限定公開にしていたのですが、読み返してみていろいろと思うところがあったので、こちらに再掲。
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「クッキーとチョコレート、どっちを食べる?」
と聞いたときに、なにやらわけのわからないことをブツブツ言った末に癇癪を起こしてわたしと大ゲンカになるのが半年前までの息子だった。
自分が想定した順番で物事が進まないとパニックになる。突然の予定変更が受け入れられない。まだ子供なんだしそんなもんかな、これも個性かな、そんな感じであまり深く考えていなかったけれどもストレスは日々積み重なっていた。きっと息子も同じだったんだろうな。

外斜視のある子はしばしば発達障害を伴うことがあるよ、と眼科の先生に言われたことを思い出した。時を同じくして吃音が目立つようにもなった。もしかして息子は人よりも発達の凸凹が大きい子なのではと不安になり、一度専門家に話を聞いてもらおうと発達支援センターに相談をしたのが昨年の10月。
発達検査に関しては大きな問題はなく(とはいえ発達に多少の凸凹があることには違いなかった)、専門家に話を聞いてもらうことでわたしもだいぶ冷静になった。
同じ時期に幼稚園の担任の先生にも相談をしていて、「確かにこだわりが強い面もあるが、集団行動を乱すほどではないので問題はないと思う。あと、同年代の子との関わりがあまり得意じゃないようです」と言われた。担任の勧めもあり、幼稚園の課外保育でサッカーを始めた。年が明けてしばらくして、息子が変わり始めた。

今の息子は冒頭の質問をされたとき、
「僕はチョコレートのほうが食べたいけど、でもクッキーのほうが賞味期限が近いから、お母さんは僕がクッキーを食べたほうが嬉しいよね?」と理由をはっきり説明することができる。
いやいや賞味期限とか気にしなくていいんだよ、君が食べたい方を食べなよ、とわたしも落ち着いて話をすることができる。
息子はすぐに癇癪を起こす頑固な子なわけじゃなくて、人の気持ちを先回りして考え過ぎた結果、身動きが取れなくなってしまう子どもだった。

今日、発達支援センターに行ってそんな話をしてきて、担当の先生に「情緒面がだいぶ安定したんですね、それは良かったですね」と言われてちょっと肩の荷が下りた。
希望すればグループ療育も受けられたのだけれど、今の息子なら療育を受けなくても大丈夫だと思います、と伝えて療育は希望しないことにした。療育に偏見があるわけじゃなくて(むしろすごく興味がある)、見学もしたうえで、今の息子には必要ないかなと思えたので。

息子の発達の傾向を見る限り、今後もちょいちょい悩むことがあるんだろうなーと思うわけですけれども、都度ごとにうまく軌道修正しながらゆるっと一緒に成長していけたらいいなと思った次第です。

ちなみに今日発達支援センターの先生に言われたこと。
「私たちが担当するのは未就学児だけなので、発達のことで心配があったらかかりつけの小児科でも相談してみてね。小児科の先生はみんな子どもの発達についてとても注意深く見ているし、必要があれば紹介状を書いて、然るべきところに繋いでくれます」
「早めに相談してくれてよかった。就学直前に突然相談されても、時間がなくて何も助けられないことが多くて大変心苦しいです。気になった時点で早めに相談してもらえれば、それだけ時間をかけてお子さんと向き合うことができるし、いろんな提案もできると思います」
「私たちのことは神棚に供えたまま忘れられたお守りのようなものだと思っていてください。就学前に何か気になることができたときは、連絡をいただければいつでも相談を受けます。でもお守りの出番なんてないほうがいいのよ」

【補足】
発達支援センターには5回訪れました。最初の相談のときに発達検査を受け、その結果を聞きに行き、吃音の件で言語聴覚士との面談を受け、息子が一緒に行ったのはその3回。あとの2回はグループ療育の見学と今日の面談で、息子は同伴できなかったので娘とふたりで行きました。たったそれだけしかお会いしていないのに、センターの先生方は親身になってくれて本当にありがたかったです。

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