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『ラン・フォー・ユア・ワイフ』

『ラン・フォー・ユア・ワイフ』
/オルタナティブシアター


セリフ劇な本作。とにかくセリフ→セリフなところは海外っぽさがあるなと思った。
全体的に〈どこを笑いのポイントにするか〉を決めている感じがしてわかりやすかったし、普通に面白くてたくさん笑った。
今江ジョン、あの量のセリフを考えれば当然なことだけれど、セリフを言うのに精いっぱいな部分も見受けられた。こればっかりは経験と練習あるのみなんだろうと思う。「好きなようにやっていいよ」と言っていただけたらしいけど、どこまで好きにやって良いものなのか、加減が微妙なんだろうな。〈どこを笑いのポイントにするか〉が本人の中でも確実に完成できれば、作品全体がセリフ劇特有のテンポ感が早い、面白い作品になれるんじゃないかと感じた。

としても、セリフ劇が初めましてで、しかも主演という大役を任された今江くん。舞台経験も少ない中で彼に圧し掛かる色んな重圧に耐えながらこの作品をやり遂げたのだから、もちろん拍手喝采です。

・ジョン・スミス @今江大地 さん
頑張ってるな。めちゃくちゃ頑張ってるな。セリフ量がとにかく多かった。もう少し活舌が良くなったら、このセリフ量も捌ける気がした。
メアリーとバーバラのお家を行ったり来たりして忙しない感じというか、ちょこまか動いててニコニコしているところが今江くんぽくて似合ってました(どうしようもない性格の男なのは別として)。
口が回らなくなちゃってる部分もあって大変そうだったけど、よくやり遂げてくれました!お疲れ様!

・スタンリー・ガードナー @河下楽 さん
オチ要員。活舌と声量共に丁度良かった印象。ステージ上はシーンとしている中で一人でのお笑い(ギャグというか)、頑張ってたね。だいぶ長い時間ステージ上にいて、細かいお芝居もよくやっていました。
本番中は堂々としていてすごいなと思っていたけれど、カテコになった途端にシュンとなっててかわいかった。
女優さんとの身長差も丁度よくて、無印(良品みたいな恰好してる)男でメアリーの隣に立ってた時は、完全に旦那。

・バーバラ・スミス @緒月遠麻 さん
かっこよかった。すらっとしていて美しかった。余裕たっぷりな色気の奥様で、赤がとても似合う素敵なご婦人だった。ロンドンのご婦人というよりも、パリのレディみたいな雰囲気。

・メアリー・スミス @新垣里沙 さん
お芝居の緩急がすごくて、こういうセリフ劇にあっている気がした。ただただセリフを喋るだけで淡々となってしまいそうだから、新垣さんみたいに大袈裟なぐらいお芝居をしたほうが自然と笑いが起きて面白くなるのだと思う。最後のほう「うわあああああああああ」ってずっと叫んでた印象。

・新聞記者 @津山直紀 さん
新聞記者で登場。ものの2,3分で退場。・・・だけ?それだけ?えぇ、それだけです。次に出てくるのがカテコです。

・ボビー・フランクリン @ちゅうえい さん
1番何者感があった。「この人だけは何なのwwww」感。でもボビーがいないと笑いが成り立たない。ボビーがいるから奥様2人はもっとわけがわからなくなる。バーバラ夫人が「人が多いほうが楽しいじゃない?」って言ってたけど、本当に人が多いほうが楽しかった。っていう感じのキャラクターだった。


「Run for your wife」
あなたの妻のために走る。
ジョンは綿密なスケジュールを立ててた。どちらの妻にも、周りの住人にもバレないように、それはそれは綿密な。ノートに暗号で書き込みながら。
重婚はジョンによるもので、ジョンの満足のためにされた重婚。そしてこの綿密なスケジュールは、ジョンがそれぞれの妻にバレないようにするためのものである。ある意味ジョンは、妻にバレないようにするためという業務を遂行するための経営を行ったのである。つまり、「あなたの妻のために経営する」とも訳せるのではないかと思った。りもした。

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