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『イン・ザ・ハイツ IN THE HEIGHTS』

『イン・ザ・ハイツ IN THE HEIGHTS』
/TBS赤坂ACTシアター


▶In the Heights
「お前不器用すぎ~」がベニーのソロ。登場はその前からしててちょろっと踊ってたりしてるけど、このパートの直前でみんなが「鳴らせradio~」で後ろを振り向いてベニーの「お前不器用すぎ~」になる。待ちに待った期待の登場感があって、しかもそれがこの上なく美声な林ベニーなのが最高。

▶Breathe
身体の奥底からすべての想いを吐き出してる感じ。待ちのみんなから「ニーナ」って呼ばれても上手く返せないのに、アブエラのことを心底信頼していて大好きななんだろうな。
「ニーナ」と街のみんなが呼んでいる(コーラス)時、ニーナのことをあまり好んでいないような女性が横を通り過ぎるのだけれど、自分は街のみんなから期待されてることも、あまり好んでいない人がいることも、昔から全部感じ取っていたのだろうな、ニーナは。期待されることの重圧も、好んでいない人がいることの不安も、吐き出せる場所がどこにもない辛さ。それに耐えきれなくなってしまって、ワシントンハイツに戻って来たのだろう。

▶Benny's Dispatch
見たことのない林くんのノリノリなラップ。めっちゃノリノリ。フゥー!とか言ってる。普段こんなにテンション上がる人じゃないから新鮮だったし、歌自体は難しそうだったけど、それを感じさせない様子が素晴らしかった。楽しそうで何より😊って感じでした。

▶When You're Home
めちゃくちゃ良い曲だった!ニーナにアプローチするソニーを見つけて咳払いをして離れろ!って目で指示するベニー。その後、ニーナとベニーの2人っきりで話してるシーンへ。それがこの曲の始まり。
林ベニーの「いまはちょっと違うね」が、今までに聞いたことがない歌声で驚いたのと、惚れ直した。
バラードからアップテンポへ変わっていく。最後はもうずっと掛け合いで、1番最後2人の「I'm / Your Home」のロングトーンは圧巻。田村ちゃんと林くんの声がすっごく合うし、2人とも声量があって伸びが良いから聞いてて気持ちが良かった。とにかく圧巻の曲でした。
ニーナへ向けるベニーの笑顔がすごく良い顔で。今まで林くんを色んな作品で見てきたけど、ここまで良い笑顔なのは初めてだった。元気と勇気を、ニーナだけじゃなくて私たちも貰えるような、そんな素敵な笑顔だった。笑顔と同時に、愛おしそうな目、眼差しもするの。たまらん。

▶The Club
シャツのボタン2,3個開けてショットグラスで飲んでる林くん。ただ色気。明るめの茶髪で白地のストライプシャツ。そこに2,3個空いたボタンとショットグラスのお酒の掛け合わせ拍手です。
ニーナに俺とは無縁な家族の元へ帰れっていう、「帰れ」が1回目は優しががある言い方で。そこに、ベニーにとって愛してる女性であるニーナにそんな言葉を強く言いたくない気持ちがあるように感じた。急に仕事を奪われた怒りと、自分の仕事を奪った相手が愛するニーナの父親であるという混乱を、必死に抑えてる感じ。でも2回目の「帰れって!」はもうそごく強い言い方。やっぱり怒りと混乱には勝てなかった。それまでもずっとお酒を煽っていたけど、それまでの煽り方は仕事を奪われた事に対するお酒だったと思うの。でも、追ってきたニーナを追い返した後のお酒の煽りと知らない女と踊る姿は、ニーナに強く言ってしまった事に対する自分への怒りと呆れ、ニーナが追ってきた事実でぐっちゃぐちゃの感情だったんじゃないか。自分の感情を大切にするベニーだから、冷静でいられなかったのだと思った。こんなクラブに愛するニーナが1人でいる。そして気づいたら知らない男と踊ってるじゃないか。ムカつくよな。そうだよな。そしてその男を殴る。
以前から林くんに怒鳴って起こってほしい欲があるので、殴ったり「帰れ!」って怒鳴ったり自暴自棄になったり「いくら言葉を覚えたって、相手が聞く耳を持たなければ意味がない!」(二幕、ベニーがケヴィンに挨拶するシーン)って怒ったりする林くんを見れて、私は大感激でした。

▶Blackout
ニーナに帰れとか言っちゃったベニーだけど、街中が停電になって誰がどこにいるかわからなくなった時、やっぱりニーナが心配なんだよね。そりゃそうだ、愛する人だもの。また変な男に捕まってるんじゃないかとか、震えてないかとか、心配になって必死に探す。ずっと「ニーナどこだ」って。
やっと見つけた。でもニーナに振り払われてしまう。あぁ、そうかよ、2人別の方向へ。でもやっぱりお互いのことが忘れられなくて。走って駆け寄って抱きしめ合いキスをする。と同時に、ソニーとピートが打ち上げた花火が、真っ暗なワシントンハイツの街を照らし、ベニーとニーナの姿が明るく照らされる。
内心やばかった。うわあああああって心の中で叫んでた。拳握りしめてた。声出さなかっただけ偉い。家で配信サイトで見てたら永遠に10秒戻し押してた。最高でした・・・。

▶Sunrise
ベニーとニーナ、めちゃくちゃ距離が近いです。いや、まぁその後なんでそりゃそうなんですが、鼻と鼻が当たる位置で歌うんですよ。ついさっきまでニコニコしながらスペイン語の単語レッスンしてたのに、急に色気大爆発。
ニーナと生み出す空気感。ニーナを見つめる眼差し、目。バックハグをするベニー。包み込むよう、でも力強くニーナのことを確かめるようにバックハグ。正面から抱きしめている時も、髪や腰を撫でていて色っぽく、でもベニーのニーナへの愛が伝わる。
こんな色っぽい雰囲気と空気感と姿のすべてを表現している林翔太を見たことがありません。これは既婚者の色気なのか・・・?はたまた30代の色気なのか・・・?本当に色っぽかった。最高だった。でも切なさもあって。ニーナをケヴィンさんから奪うような形で家に連れてきてしまった(停電があったから仕方のない部分もあるけれど)から、この後ニーナをお家に連れて行かなきゃいけないのもわかってて。その時、ベニー自身が何を言われるか、ニーナと一緒にいたいけどでも希望だった仕事がなくなってしまって、もうわからなくなった、そんな不安も2人には漂っていた。その切なさが2人の空気管に膨らみを持たせていたように感じました。

▶Final
1番下手でベニーとニーナがいるんだけれど、ぎゅーって抱きしめ合いながた2人でいて。1列目のお席の時ちょうど目の前の位置にいらしたから最後暗転してもちょっぴり2人の姿が見えたのだけど、暗転してからニーナがベニーのことをギューってそれまでよりも強く抱きしめてほっぺたくっつけてグリグリ~ってしてて、ベニーもちゃんと強く抱きしめ返してて、うわ~!!最高!!叫びてえ~!!ってなった。あと、腰を抱き合ってるときベニーがニーナの髪の毛を優しく撫でるのだけど、それを2回してた→ほっぺグリグリ→もっとギュー。こちらか心臓がえぐられました。素晴らしいイチャイチャの供給をありがとうございました。

▶全体的に
とにかく最高!すべてが!林くんの素敵で今までよりももっと良い歌声とお芝居と、たまらない色気が観れた。
ずっとパワフルで落ち込む暇なんてないぐらいで、聞いて観てる側はパワーが溜まっていくような作品でした。
林くんは初めて聞く歌声。成長とかそんなものじゃない。初めて見る、彼のお芝居だった。『キオスク』が彼にとって大きな影響を与えたのだろうということがよくわかるし、ミュージカルにおけるお芝居の革命を起こそうとしていることが伝わってくる。社会的状況によって最後は中止という結果になってしまった本作。最終公演のカーテンコールにWキャストの一方も集合したそうなのだが、その時に林くんが泣いてたというレポを見た。あぁそうか。彼は『キオスク』で吸収したすべてを、この作品にぶつけてやり切ろうとしていたのか。彼が泣いたという事実を知ってそんな事を思った。
元々歌は素晴らしい才能がある人だけれど、お芝居部分はもっと頑張れると思っていたから、この作品で完成形を見たような感じがした。こんなに目でお芝居ができるのか。今までのものとは良い意味でまったく違った。「俳優・林翔太」の完成形が観れたと思う。

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