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母語話者=読み書きができるわけじゃなかった

ご縁があって、夜間の学校で国語の授業を担当しています。
学び直しの方から、海外から来た生徒さんまで、10代から80代までが同じ教室に集っています。そんな方たちに基礎的な国語の知識を持てるような授業を目指しています。

1年間何をしようかと考えたときに、自分には日本語の知識で国語を教えることができるかと考えました。日本語教育+国語+達成感をテーマにして、それなら1学期は文の骨、文の成分から品詞までやってみようと考えたのが新学期のはじめでした。

日本語の特徴から義務教育での復習で、文法用語の確認をした時、主語と述語は生徒側から出てきましたがそこからが進まない。一方的に話していても文を見て判断できなければ意味がないかと思って練習問題をしたら散々な結果になりました。主語は見つけられても述語や修飾語が分からなかったようです。日本語で大事なのは実は述語よって話をしてはみたものの、やっぱり主語に気を取られてしまっていました。少しかみ砕いて説明すればやっとわかる…感じでした。

途中で気付いたんですが、ひとりひとり声をかけることが少なかったと反省しています。一斉授業形式でやっても理解するまでに時間が必要な生徒さんたちなので、個別フォローが必須なんですね。いい勉強になりました。 

品詞分解もまだまだ練習が必要です。
1年間かけて漢字の小テストと一緒にやってもいいレベル。でも、いわゆる口語文法でなく私が受け持ってる生徒さんには日本語教育の文法のほうがいいような気がしました。負担が少ないと思います。

品詞の小テストではこんな誤答が目立ちました。

父は激しく怒った。そして、息子を殴った。の、息子→主語(品詞ですらなくなっていました)
わたしの家の「の」→助動詞 きれい→形容詞
今日は暑くて、死にそうだ。の、暑くて→副詞

文の成分の後に品詞をしたからか、混乱しているし意味が理解できていませんでした。文法って難しいからかなと思っていたらそれだけではありませんでした。

1 もっとも人口が多い都市は東京だ/今日は忙しかった。もっとも今日だけの話ではない。 どちらが接続詞か。

接続詞の意味はまあまあ理解できていましたが、このような問題も難しかったようです…これができなければ他の授業の教科書の内容理解も不可でしょう。それでも指導要領に沿って進めないといけません…。

本当は読みたいはずです。
読む力があれば、もっと世界が広がると思います。
でも、どんなアプローチをすればいいのか分からなくなりました。

こういう生徒さん達には本当に日本語教育的視点が必要なのかもしれません。国語だと日本語学校で行われている精読をしてもいいし、先に背景知識を話し合ったり紙に書いてもいいかも。もしかしたら、主語が明示されていない文の読み取りを練習したほうがいいのかもと思っています。

ほとんどの人が理解できていることを、理解が困難な人向けに教える難しさに直面しています。
2学期からはどうしましょうか。
おそらく自由に文を書くのはできそうなんですが、何かの力が伸びるならもう少し日本語教育的なものと国語を融合させたことをしたいと思っています。


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