シゴト・カネ・時間

新卒で定時制高校の〝常勤講師〟になった。
生徒の学力だけでなく内面の多様性に大きな衝撃を受けた。

絶対に早く正採用の〝教諭〟になって、多くの生徒に寄り添える先生になりたい!

そう意気込み空き時間や帰宅してから教員採用試験の勉強に打ち込んだ。

ある日いつものように空き時間に勉強をしていると1人の通信制の〝体育教諭〟に声をかけられた。

「おい、お茶。」

このご時世に命令口調でエラそうに。
そんな不満を抱いたままお茶を差し上げた。

「氷くらい入れろよ。気がきがねぇな。」

お前は通信制担当で、こっちは定時制だぞ?畑違いなのに何でエラそうなんだよ。
という不満を噛み殺して謝罪した。

「お前、教採受かってどうすんの?」

貴重な空き時間にアレコレうるさいなぁと思いながら答えた。が、

「お前、教師向いてねぇーよ。」
「今、オレの事通信制担当のくせに、めんどくせぇヤツだな。とか思ってるだろう。」

図星だということがバレないよう否定した。

「オレたち通信制はグラウンドなんて使わないんだよ。使うのは定時制。定時制の先生方は多様な生徒の対応で空き時間なく生徒のケアや授業の準備をされている。その苦労を見ているから、通信制で毎日生徒がいるわけではないオレたちが、グラウンド整備をしているんだよ。机にかじりつくのもいいけど、少しはグラウンドを見渡して、この光景を見たらどうだ?そうすれば、お茶でもどうですか?の一言だって自然に出てくると思うけどな。採用試験に受かるための勉強は大切で、それを否定する気はないが、採用試験に受かった後、周りを見れない。周りに感謝できない。気づきが足りない。そんな教師になってしまうなら、オレは目指してほしくない。」

「お前の先輩として」

数回しか顔を合わせたことのない通信制の先生が、私の出身高校が同じだと知っていて、あえて厳しいことを言ってくれたおかげで、目が覚めた思いがした。

私はその先生の事を何も知らないのに。。。

この出来事は私の人生の中で大きな衝撃を受けたことの一つだ。

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