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Vol.2 『ONE PIECE』 と モーセ -出エジプト-

『ONE PIECE』コミックス【第1巻】「第2話 その男”麦わらのルフィ”」

ルフィの旅立ち 〜挫折と目標〜

 第2話で、ようやく主人公のルフィが冒険へと旅立つ。このルフィと、聖書に出てくる出エジプト記のモーセが重なるのである。第1話で、ルフィはヒグマと近海の主によって、大きな挫折を経験し、その後シャンクスにより麦わら帽子を預かり、海賊王を目指して旅に出た。

聖書の登場人物モーセ

 聖書の話に出てくるモーセはどうだろうか?モーセはイスラエル人でありながらもエジプト人として王子として育った。イスラエルの歴史に軽く触れていかないと、モーセの生い立ちやこれから述べていこうとしている出エジプトとの類似ポイントがわかりにくいと思われる。そのため、イスラエルの歴史を確認したいと思う。

イスラエルの歴史 【聖書 出エジプト記 参照】

 イスラエル人は当時(紀元前1300年頃)エジプトに住んでおり、エジプトの支配下にあった。そのため、エジプトの奴隷としてイスラエル人がいたが、イスラエルは神様によって祝福されており、イスラエル人の数はどんどん増えてエジプトにとっての脅威となっていた。そうして、エジプトは、イスラエル人に子どもが産まれないようにと政策や制裁を下していた。産まれた赤ちゃんは男であれば後々の戦闘力となるため、殺されることになっていた。その時に生まれたイスラエル人の赤ちゃんがモーセであった。

モーセの人生 【聖書 出エジプト記 参照】

 モーセは、家族によって殺されないようにと匿われていた。しかし、その存在を隠しきれないと悟った家族によって、川に流されたのだった。どんぶらこっこ、どんぶらこっこと、川に流される赤ちゃんモーセ。すると、洗濯をしに川に行ったおばあさんが…ではなかった。川で水浴びをしていたエジプト王女によって拾われるのであった。モーセという名は「水から引き上げられた」という意味である。そうして、王女の息子としてエジプトの一流の教養を受けて育ったのである。エジプト人として育つが、自分がイスラエル人であるというアイデンティティがあり、奴隷としてひどい目にあっている同胞イスラエル人を助けたいと思うようになった。そして、ある日、奴隷のイスラエル人に厳しくあたるエジプト人を殺してしまった。同胞のイスラエル人から歓迎されると思ったが、むしろエジプト人を殺したという弱みを抱えることになった。裏切ったエジプト側からはもちろん、仲間のイスラエル人からも後ろ指刺されるという挫折を経験した。自分の力でどうにかなるものでないことを思い知ったのであった。そして、エジプトから逃げて羊飼いとして過ごした。この羊を飼う経験は、のちの膨大な数のイスラエルの民を導くための訓練の時となったと思われる。訓練の時が満ち、神様は動き出した。モーセに「イスラエル人をエジプトから連れ出し、イスラエルの地へ連れ帰るように」と神様からのお告げがあった。しかし、一度挫折したモーセは、自信を無くしていたが、神様から神が共にいる印としての杖をもらった。ここからが、聖書読んだことのない人も知っている人が多い”海、パッカーン”の出エジプトの出来事につながっていく。

~第2話- と 聖書の出エジプト記【激似ポイント5つ! +α 】

①麦わら帽子 と 杖

 ルフィは、シャンクスとの別れから10年の修行を経て、海賊王を目指しラフテルへ旅立った。シャンクスから預かった大事な麦わら帽子を肌身離さずにいる。
 モーセは、羊飼いの仕事をして訓練の時を経て、イスラエルの解放を目指しを約束の地イスラエルを目指した。神様から与えられた神の臨在の杖を肌身離さず持っている。
*二人とも大事なアイテムを託され、持っている。

②渦潮 と 川 から 引き上げられる

 ルフィは、渦潮にのまれた時に、樽に入り流される。その樽をコビーが拾い上げた。
 モーセは、赤ちゃんの時に、籠に入れられ川に流される。その籠をエジプトの王女が拾い上げた。
*二人とも死ぬ運命だったのが、いのちを拾われた。

③アルビダ海賊団から と エジプト王朝から の 解放

 ルフィによって、雑用から解放されアルビダ海賊団を出るコビー
 モーセによって、奴隷から解放しエジプトを出るイスラエルの民
*どちらも奴隷のような不自由から自由への解放がある。

④同じ夢に向かう仲間探し 〜脱・孤独〜

 ルフィは仲間探しをしている。→剣豪ロロノア・ゾロ
 モーセも助けを必要としている。→兄アロン
*孤独感の温度差があるにしても、どちらも助けが必要であった。ルフィは10人は仲間が欲しいと願い、旅に出る。モーセは、王子としてエジプト人の中で生活をし、イスラエル人としての孤独を、また殺人を犯してからは羊飼いとしてミデヤンの荒野で寄留者としての孤独を抱えていた。

⑤決死の覚悟で挑む

 海賊王になると決めたルフィは、”おれがなるって決めたんだからその為に戦って死ぬんなら別にいい”と命をかけて目指す。
 エジプト人殺しの罪を持っているモーセは、エジプトに戻って、イスラエル解放を提案するなんて生きて出られる保証などないことを成し遂げようとする。
*どちらも死を覚悟して挑む姿が見られる。

おまけ

 航海術や色々な知識があるのに、恐れて行動できずに雑用をしていたコビー
 エジプト王子として当時の世界最高の教養を得て育てられたのに、同胞のイスラエルの民を救おうとして失敗し、自信をなくし人目を避けて羊飼いをしていたモーセ
*ルフィとモーセのリンク構造ではないが、知識や能力があっても失敗を恐れているところが似ている。

他には・・・
美に異様に執着するアルビダ
エジプトの美の象徴クレオパトラ
もリンクと言える?

モーセはどちらかというと、ルフィよりもコビーのようにネガティブなタイプである。しかし、モーセは、神様の力によって、アブラハム(信仰)、モーセ(律法)、ダビデ(王)、エリヤ(預言)とイスラエル人にとって重要人物とされる四人のうちのひとりの存在となっている。ルフィのようにポジティブなタイプではないが、ONE PIECEでいうと四皇のひとりのようなレジェンドな存在である。

最後に

 第二話は、”解放の雛形”である。出エジプトの出来事は、キリスト教にとって、とても大事な要素である。

聖書     「エジプト神の支配からの自由」=「罪からの救い」
ONE PIECE  「天竜人(神)の支配からの自由」=「悪からの救い」

 出エジプトが実現するために、10の災いがエジプトを襲った。最後の10番目の災いは「長子が殺される」であった。この死の災いを免れるためには、羊の血を門に塗ることであった。羊のいのちの犠牲によって、神の災いと裁きが過ぎ去った。イスラエルでは、その救いの喜びを”過越の祭り”として祝っている。イエス・キリストの十字架の死による救いのモデルとなる出来事である。

 2話以降も、ルフィによって解放されていく人々や国が起こされていく。このコビー雑用解放がルフィの運命のレールの第一歩となっていると思われる。

https://saandle.com/one-piece-and-christianity2/

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