日焼け

スクール水着を着ていた日々が終わってからはじめて、真っ赤に火照り、皮膚が剥けるまで日焼けをした。黒い水着の形をなぞって白い肌が残る。あんなに空も海も青い日だったのに、私の肌ばかりが赤くなる。もし青くなれたら、ブルーハワイのかき氷を食べて舌もお揃いにしましょう。

日焼けした皮膚が剥ける時、人は虫や蛇の仲間になれるから嬉しい。でもこれは秘密だから、暑くても着物を着たり長袖を羽織ったりしてそれを隠す。蛇虫女になってから二週間ほど、肌の火照りは鎮まり、皮膚も剥けなくなった。
つまらない人間になったので、白ワンピース祭りを開催しようと、箪笥をひっくり返してみた。しかし、一等お気に入りの白だけがどうしても出てこない。腕と背を太陽に晒す形の白。蛇に盗られてしまったのだろう。諦めて、青い着物を着るけれど、どうしても上手に着ることができない。虫に食われてしまったのだろう。
全てなくなったら秋がやってくるかしら。

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