白いワンピース

「今日はおでかけ?」
「今日はデート?」
と聞いてくる他人に「おめかし着しかございませんの。ごめんあそばせ」と思いながら、首を横に振る。まっすぐ家に帰ります。
身につける服のほとんとがワンピースになったのはいつからだろう。そして、白いワンピースが増え始めたのはいつからだろう。
私はこの世の女の子ではないため白いワンピースを何着も持っている。 だって、かわいいもの。だってだって、きれいだもの。
光が透ける白、レースの白、バカンスに行ける白、花嫁になれる白、いい子ちゃんになれる白、眠り猫になれる白、六着の白いワンピース。決して汚れないワンピースは揺れる。
でも、いつかくる夜逃げか駆け落ちをする日に、籐のバスケットに絶対に詰めるんだと決めているワンピースは桜餅の色と遠い海の色です。白も詰めたいけれど、これが一等というものがまだない。
いつか一等と出会うまで、クローゼットには無限の白が増え続けることでしょう。いつか一等と出会ってしまっても、それ飲み込んでしまうくらいに。

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