【8回目の失敗~感性が合わなかった転職 ~アニメ業界】

目次
1、 映像業界で経験してこなかったジャンル
2、 アニメ業界からの誘い
3、 持ち合わせていなかったアニメに対する感性
4、 ビジネスの仕組みは学んだけれども・・・

1、 映像業界で経験してこなかったジャンル
 2012年(平成24年)の頃、僕は、映像系出版社からアニメ関連会社へ転職をした。
 映像制作会社から始まって、ITベンチャー、CS放送会社、映像系出版社と映像に関わる会社を渡り歩いてきたが、最後に残っていたのが、アニメのジャンルだった。
 過去に、ビデオオリジナルアニメにプロデューサーとして名前が出たことがあるが、これは、その作品を当時いた会社が買い取って、担当になった僕の名前がたまたま出ただけの事だった。
 カラオケビデオや特撮、映画などの映像制作から始まって、衛星放送への国内外の番組の放送権の販売、海外アーティストの日本の公演の映像制作と衛星放送への放映権販売、格闘技のイベントの委員会のメンバーになったことと、イベントの生中継を含む放映権の販売。DVDが出てきたときに、旧作のテレビ番組や映画のDVD化権の販売、キャラクターの商品化権やCMへの営業など、映像にまつわることは殆どやってきた中で、やっていなかったものがアニメだった。

2、アニメ業界からの誘い
 知り合いのアニメ関連会社の社長から、直接、ウチに来て、新規事業の営業をやって欲しいと誘われた。僕は映画系の出版社で営業をしていたが、まだ経験した事の無い〝アニメ″に魅力を感じた。その時、僕は50歳手前だった。
 それから、1か月後くらいで移籍した。その会社は以前、業務委託で週に2回通っていた会社だったが、急成長で、社員は3倍以上に膨れ上がっていた。そして、知っている顔も少なくなっていて、若い社員が増えていた。
 新規事業の営業は、なかなかうまく進まなかった。キャラクターの認知度があって、訪問する先はそこそこあって、相手も前向きになってくれるのだが、使用条件やブランドイメージが合わないことが多く、なかなか数字を作れなかった。
 周りを見回してみると、20代30代が多く、そのほとんどが深夜帯のアニメを見ていた。僕も彼ら彼女らから教わって、深夜帯のアニメを見るのだが、画はきれいで、洗練されていて好感が持てるのだが、内容については、面白いと思えるものは、ほぼ無かった。ヒットしていたアニメを見ても、共感できなかった。

3、持ち合わせていなかったアニメに対する感性
 映像の営業は、その作品の良さと利点を強く訴えかけることで成立する場合が多い。アニメに関しては、利点はデータや周りの若い子たちに聞けば、すぐに教えてくれるので困らなかったが、良さについては、自分が面白いと思っていなのだから、前のめりになって勧めることが出来なかった。
それは、営業としては致命的な事で、自信を持って勧められない作品やキャラクターを使いたいと考えるクライアントは皆無に等しかった。クライアントが使いたいと言ってくれるときは、提案したキャラクターをクライアント自身好きか、もしくはクライアントがそのキャラクターを研究していたかのどちらかだった。そこには僕の役割はなかった。
 展示会での名刺交換、人脈での紹介、電話営業などだいたいの手を尽くし営業したが、結果はついてこず、誘ってくれた社長の期待にこたえられなかった。

4、 ビジネスの仕組みは学んだけれども・・・
 この会社に在籍させてもらって、アニメの製作委員会方式や商品化の流れ、監修、アニメグッズやキャラクターグッズの流通など、ビジネスの具体的な中身は非常に勉強になった。
 しかし、ここには僕の居場所があると思えなかった。
 僕は約3年間在籍させてもらって、円満に退社した。
 映像関連の仕事をやってきて、初めて挫折味わった経験だった。
 アニメも含め、あらゆる映像は自分の年齢に応じた感性が必要だということがハッキリとわかった。
エンタテイメントビジネスは、ビジネスの仕組みを生かすのは、その作品に対する感性なのである。
 大変、興味があった業界なので、遅くても30代後半のうちに、アニメ業界へ進んでおけばよかったと、辞めてから後悔した。


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