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コーチという選手〜観えた景色〜


監督のように選手の采配は行わない。

戦術の選択や構築もしない。

トレーニングメニューを考える訳でもない。




何がコーチの仕事で、何がコーチの役目なのでしょうか??






昨年度、在籍していたジャグランカというチームで選手兼コーチという立場の中、1年間過ごしました。

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1年間取り組んだことで、思ったことや気づかされたことがあったので、文章にしてみました。


チームの中でコーチの立場で活躍されている方は、たくさんいらっしゃると思いますし、これからコーチになる方もいると思います。


みなさんが、ご自身の考えを振り返る機会になれば幸いです。


では、よろしくお願い致します。


①コミュニケーション〜信用より信頼を〜
②試合後のメール〜選手それぞれ〜
③受け入れる〜プレーの要求〜
④観察〜ウォーミングアップ〜






①コミュニケーション〜信用より信頼を〜

昨年3月に、ミーティングが行われ、私が選手兼コーチだという発表がチーム内であった。


選手にプレーのアドバイスをする。選手起用やトレーニングメニューについて監督と意見交換する。試合の分析をする。フィジカル面の強化を行う。メンタル的なケアをする。栄養について研究し、伝える。

まだまだできることは、たくさんありそう。


何をすれば、チームが強くなるのか、何を伝えれば、選手は伸び伸びとプレーができるのか。私にできることを考えた。


お互いに信頼し合っているチームの方が強い。チーム全員でより高い目標に向かって進むには、互いに信頼関係が必要。


私は他の選手と信頼関係を築くことに注力した。



信用ではなく信頼を。





信用と信頼は似ている言葉だが、少し違っている。


「信用」とは、過去の実績に基づいて、証拠によって信じるもの。「信頼」とは、証拠などなしに、信じて今後、頼りにするということ。





信用関係とは言わないけど、信頼関係とは言う。





ざっくり言うと、

片方向になるのが信用で双方向になるのが信頼。

そんな理解をしている。





人間性や習慣、クセ、感覚といったも目に見えないものに期待することが「信頼」

期待に応えてくれるだろうという気持ちになる。気持ちにさせる。




気持ちで、気持ちに応えるのが「信頼」





互いに信頼関係があるチームが、力を発揮していく。そう思った。

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コミュニケーションを多く取る。できるだけ、1人ひとりと会話する。

プレーのことでも、プライベートのことでも。




話しかける時には、相手の名前を呼ぶようにした。名前を呼ばれると嬉しくなる。嬉しくなると、話を聞こうかなと傾きやすくなる。

そんなことも意識した。







「認める」「褒める」「感謝する」「喜ぶ」

コミュニケーションを取るときに、私が意識している4つ。







「認める」

「そうなんだね。」「なるほど。」「そう思ってたんだ。」「わかる。わかる。」



認めるは、「見て、止める」

相手が話した内容を1度心で受け止める。相手にあなたの言うことを受け止めたよ。と伝わるようにする。

会話の初めは大事にしている。







「褒める」

「すごいな。」「やるなー。」「感心するよ。」「すばらしい。」




人間、褒められると気持ちが良いもの。






「感謝する」

「ありがとう。」「助かったよ。」







「嬉しいよ!」「やったなぁ!」「楽しいな!」

と一緒に、「喜ぶ」






様々な場面で会話する時、4つのことを意識して継続していった。






相手のことを受け止めながら、褒めながら、感謝しながら、一緒に喜びながら。

だんだん信頼関係を築くことができていった。




②試合後のメール〜選手それぞれ〜


人には、思っていることをたくさんの人の前で「話す方が得意なタイプ」と、思っていることを手紙やメールなどの「文にして伝えるのが得意なタイプ」がいる。




私は、公式戦の後や、練習試合で負けた後など気になった時には、1人ずつにメールをした。


「試合どうだった?」「感想があれば教えてほしい。」







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みんなの前では言いにくいけど、誰か1人にだったら言えることもある。

自分自身の課題となるマイナスなことに関しては特に。








選手から話を聞くと、いろいろな視点からチームが観える。

選手1人ひとりが自分の課題と感じていることも、把握できる。



選手にとっては、チームの課題や自分の課題を整理でき、練習でも意識して取り組める。





驚いたこともあった。

練習や試合でプレーのことをあまり話さない選手が、メールではきちんと整理された内容を返信してくる。

選手のことを、新たに知れる機会にもなった。








メールの中には、選手それぞれの思いがあった。







練習では、選手が自分の課題だとメールしてきた内容について話をして、時にはアドバイスをして、鼓舞する。


選手ができるだけ伸び伸びとプレーできるように声をかけた。





③受け入れる〜プレーの要求〜


練習や試合中にプレーをしていると、選手はお互いにプレーについて要求することが、度々ある。


「パスを出してくれ!」「パスを出したら、○○に動いてくれ!」




試合に勝つために、自分自身のプレーを表現するために、選手は互いに要求し合う。

要求して、納得してより関係がよくなり、プレーの精度が上がる。

時に熱くなりすぎて、意見が対立することもある。



当然のことだし、チームがより強くなるために必要なこと。





私は、チームの中で上手い選手でもなく、プレーのミスも多くある選手の1人だった。

もちろんプレーの要求もされる。


「早くパスを出してくれないか!」

「タイミングを合わせてほしい!」




味方選手からのほとんど要求に対して、「わかった。」「なるほど。」と相手の意向に合わせるように努めた。



私がプレーを要求し合うより、味方選手の要求を受け入れる方が、チームは強くなると判断したのだ。


実際ほとんどのプレーは、私のミスだったので反論する必要はなかったが、疑問を感じた要求の時も、相手の意見に傾くように働きかけた。





私は、チーム全体の前で意見すること、1人ひとりにプレーのアドバイスをすること、ウォーミングアップのメニューを伝えることがある。



そんな時に、

「オレの話も聞いてくれないのに」「下手くそなお前に言われてもな」

と、頭をよぎってはいけないと思った。



マイナスの思考が働いたり、プレーに積極性を欠いたり、主体的に決断できなかったり、決断を後押しできるような心の持ちようでなかったりしては、選手はダメだ。





選手全員が伸び伸びとプレーができるように。






各選手とプレーについて要求し合った方がチームは強くなったかもしれないが、チームの雰囲気を考えて、コーチという立場から下した決断だった。






④観察〜ウォーミングアップ〜


私はウォーミングアップを担当した。普段の練習や公式戦の前に行うもの。

ランニング。ストレッチ。ラダー。ロンド。シュート練習。カウンター攻守。

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メニューを変えることを時々したが、基本的な内容は同じもの。




週2.3回の練習。選手が練習を休むことがある。ウォーミングアップのメニューを変えてしまうと、選手がリズムを掴みにくくなることもある。




ウォーミングアップの目的は、次のメインのトレーニングにスムーズに繋げること。

試合で身体が動けるように、心理的面からも良い準備ができること。

この2つを心がけた。




ランニングやストレッチ、ラダーなど、ボールを使わないメニューの時には、選手の身体が止まることのないように、次のメニューの指示を出し、盛り上げる声を率先して出した。

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選手が「このメニュー長いな。」「ランニングいらないから、早くボール蹴りたいな。」

と、ならないように気を配った。





ウォーミングアップ中は、とにかく観察する。


選手の表情やしぐさ、声に出している内容。

プレーに集中できているか。気持ちが高ぶってきているかどうか。

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そして、1番はやっぱり声。

「がんばろう!」「いこう!いこう!」「集中していこう!」

いちいち声を出す。

気持ちから盛り上げる。

自分だけでなく、味方の気持ちも上げること。








チームは初めて関西リーグ2位。地域CLに出場。公式戦では、苦しい試合を勝つことができた。目標にしていた結果は出た。結果が出た要因は必ずある。


信頼関係を築き、選手の思いを聞き、選手が伸び伸びできるよう声かけし、ウォーミングアップではスムーズに。私が取り組んだことが、チームが目標に少しでも近づけた要因の1つだった。そう思っている。

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〜終わりに〜


コーチ専任と選手兼コーチとでは、考え方も違いますし、チームへのアプローチや各選手へのアプローチは違うと思います。


上手くいかないことがあったし、取り組んだことが正解だったかどうか分かりません。

ただ、大切なことは、チームのために何ができるのか考えて真摯に行動することだと思います。



最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!











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