Autumn Leaves(Keith Jarrett Torio Tokyo '96) ベースライン(1)

Keith Jarrett Torioの「Tokyo '96」に収録されているAutumn Leavesのベースラインを見ていきます。このAutumn Leavesは私の中でBill Evans TrioのAutumn Leavesと同着ナンバーワンの演奏です。熱量、新奇性、芸術性、何年聞いても飽きません。

今回取り上げるのはピアノアドリブの1コーラス目です。

Keith Jarrett Torio
Keith Jarrett(pf), Gary Peacock(ba), Jack DeJohnette(dr)

Aパート1回目(1~8小節)

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まず1音目がD♭というのが信じられません。聞き間違いだろうと思ってしまいますが何度聴いてもD♭だと思います。そしてそれを2小節目のF7まで続けます。この2小節で2つの音を繰り返すことで、いまからアドリブが始まるという期待感が溜まっていくように感じます。

3小節目はB♭の5度から始まり、E♭の5度B♭に向かってコード構成音とクロマチックアプローチで進行します。4小節目はE♭の5度のB♭から始まります。なかなかルートから始まりませんが、使用される音は「5→1→5→次のAm7へのアプローチノートのG」というコード感の出る音が使用されています。ベースは4小節目や8小節目など区切りのところで分かりやすいラインを弾くことが多いです。

5~8小節目はルートから始まる安定したベースラインです。Am7(♭5)「1→1→5→1」D7「1→2→3→3」Gm7「1→5→1→4→♮3→♮3→1→5」。7、8小節目は同じコードが連続するので2つで1つと考えます。

8小節目のBナチュラルが気になりますが、なぜこの音なのか理由はわかりません。この音を3度のB♭に変えて弾いても問題なさそうですが、少し刺激が足りないように感じてしまいます。

Aパート2回目(9~16小節)

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9~16小節はメロディアスでとても好きなラインです。
譜面を見るとわかるように1小節もルート音で始まっていないためコード感は薄いです。F7、BbM7では2度から始めていてますからね。2度使っていいのか。。。
3拍目にルートを弾いていることが多いですが、1拍目にルートを弾かない場合3拍目にルートを弾くのは結構安定します。

これを完全な即興で弾いているのでしょうか。唯々すごい。特に13、14小節目の音使いは自分では一生出てこないフレーズです。

Bパート(17~32小節)

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Bパートではピーコックの特徴だと思っているのですが、ローポジションから突然ハイポジションへ飛ぶラインが出てきます。ハイポジションのGに行く前に開放のDを弾く(ベーシストの常套手段)ので技術的にはそれほど難しくありませんが、こんな弾き方する人他にいるでしょうか。
17、18小節目はハーフポジションと言って一番低いポジションなんですが、前触れなく突然飛んでます。

Aパート(33~40小節)

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初めの4小節は非常にコードが分かり易く、且つ、最後のAパート感が出ています。このようなベースラインはどの曲でも使えそうですし、セッションでも使いやすいですね。

まとめ

キースジャレットトリオのTokyo'96のAutumn Leavesのアドリブ1回目のベースラインを見てきました。やはり、ピーコックはとても面白くて魅力的な演奏をします。

以降のベースライン、テーマやソロについても書いていけたらと思います。

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