神 界 (一)

   神典にあかされているところによると、大宇宙に実在する神霊は、これを三種に大別されている。正神、賤神(せんしん)と邪伸である。正神は徹頭徹尾頭のてっぺんから足の爪先まで、その性格は正一筋でできているが、邪神はその反対に、徹頭徹尾真黒で悪そのものの属性なのである。賤神はそれに対して、正邪折半の状態で、善悪が混じ、併存している。いったい神の言葉が意味する本来の概念では、神とは真善美愛の権化ということであるので、賤神、邪神という言葉の使用は不当に思われる点もあるが、今は解説の便宜上からして、神の言葉を付すわけである。
    キリスト教では、天地創造の唯一の神を、エホバとかヤーウェと称して、これを宇宙の絶対神として尊崇している。宇宙に実在するのは、この神しかいないと一神教を標榜している。又中国では昔から、この神を天又は天帝と称している。神典で教えられているので、これと同じ宇宙の祖神即ち絶対神を、三三三大神(みろくのおおかみ)と唱えている。又この神は、更に詳しくは天御中主大神(あめのみなかぬしのおおかみ)、高皇産霊大神(たかみむすびのおおかみ)、神皇産霊大神(かんみむすびのおおかみ)の三神で、これを三位一体の神と尊崇している。
    ここで私たちが唱えている神は、この宇宙の絶対神と、天津神、国津神八百万の神仏が含まれている。即ち宇宙の大祖神とこの神の天使の立場にある正神の一団なのである。私たちが正神として信仰の対象としている神は、キリスト教ではエンゼルとか聖霊と名づけている。キリスト教で神として信仰の対象とするものは、父と子と聖霊の三位一体の神である。父は絶対神、子は教祖であるイエスキリストを指す。だからキリスト教で絵に書いてある翼をもった天使の神が、私たちでは八百万の神にあたるわけだが、全く同じものでなく系統を異にし、又属性も少しく異なっている。

     絶対神の神界は、天空三三三神界(てんくうみろくしんかい)と称され南方にある。そのため正神といえども畏れ多く思われて、この方にも正神界を拡張しても差し支えないとのお言葉をいただいているが、ご遠慮申しあげて近づくことはないといわれている。正神にとっても絶対神は、形も色も見えず、風のような見えない隠れたる存在である。それは丁度我々が神に対するものと、全く同じ関係であると思えばよい。然し正神には見えなくとも、実在すると知られるし、感じられる。神ご自身すらも絶対神は、見えざる隠れたるの神なのである。
    さて正神の一団は、数でいうと八百万あると教えられている。これは数学的にも実数であって、沢山あるという形容詞ではない。邪神は三神のうち一番多く八百八十万ある。賤神は邪神の半分、四百四十万ある。
    さて賤神の実体について少し詳しく申し上げれば、その半数、即ち二百二十万は正しい部面が悪よりも多く含まれている神々で、その残り半分はむしろ、悪が多く含まれている。それで上にゆくにつれて善が多く含まれていて、最高になれば殆んど正神に近いものになる。その反対に、下にゆくにつれて悪が多くなる。巷間の祈祷師、行者の信ずる神には賤神も少なくない。だから救いもあるが、その反面金品をまきあげられたり、色情等の点で過ちをおこされたりすることもあるのは、この神の悪の部分の作用である。同じ信仰するならば、正しい神を先ず第一に選んで信ずべきの理はここにある。
    さて、これら三者の神は力の面ではどうかというと、正神は最強の力を持ち、その次に邪神、賤神は最も弱い。正神の力が卓越したものであるということは、正神の開いた神道、仏教の各教祖や聖者達は、何れの人も神に豊かに護られ、天寿を全うして静かな臨終を遂げた歴史的事実が、何よりの証拠であろう。
    

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