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加本刺草詩集

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加本刺草・KAMOTO IRAKUSA の詩や歌を集めました。 並んだ言葉が、だれかの心の扉をノックし、まわりの景色を変えることが出来るでしょうか・・・
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記事一覧

加本刺草詩集より「遅い春」

  遅い春 半熟の思想ではじまる なまぬるい朝の 匂い 右目が左目でないことを 右手が左手…

加本刺草詩集より「こいのしずく」

  こいのしずく くちうつしてくれたつめたいしずくが のどのおくにしみいると むねいっぱい…

加本刺草詩集より「わたしたちの四季」

  わたしたちの四季 春 わたしたちは花の下で出会い 青葉の陰でことばをふたつにわけあった…

加本刺草詩集より「わたしはだあれ?」

  わたしはだあれ? あなたはだあれとたずねることは わたしはだあれとといかえすこと そう…

加本刺草詩集より「あなたはだあれ?」

  あなたはだあれ? アトリエの片隅で なんとなく作りはじめた頭部 モデルもいないし 誰を…

加本刺草詩集より「ご無沙汰しています」

     ご無沙汰しています 折にふれ、心にふれ、 どうしているだろうと思ってきたけれど…

加本刺草詩集より「月曜」

  月曜 それは倦怠のうた 自慰に厭きた朝のチェスは ナイトをつまみ投げ すぐに勝負がついてしまう 昼前には聞こえる 郵便屋さんが郵便受けを素通りしてゆく なじみの音 を 合図の遅い朝食に 一週間の酔いが戻ってくる はるなつあきふゆ いつだって日曜の次は月曜日 あたりまえの街に出ると 空だけはやけに明るい 歩き回って一週間分の食料をかき集めよう まだ食べることだけは厭にならないから 愛おしい人たちの顔さえ ひとからげに忘れてしまっても レトルトのパックを開ける時

加本刺草詩集より「月下」

  月下 一年に三センチずつ月が遠ざかって行く と 計算した人がいた 大昔、すばらしく大き…

加本刺草詩集より 「 航海 」

  航海 わたしがひとつ嘘をついて あなたが答えを嘘で返して ほんとうの心をみつけたけれど…