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読み応え。

3人の鼎談が興味深く面白かった。

『日本の歪み』
養老孟司 x 茂木健一郎 x 東浩紀
講談社現代新書(2023/9/20 初版)

面白いといっても、笑えるような
面白おかしい内容ではなく、むしろテーマは
重めです。が、知らない事や興味深い事、
なるほどと思うような、個人的には日常生活を送る上で
接することがないような視点がモリモリのようでもあり
しかし日常に落とし込んでいった先に
ほんの少しだけ感じる事もできるような要素も
見え隠れするような何かもあるようなないような。
新書なのでページ数もほどほどのため
一気に読んでしまいました。

頭の良い方々の鼎談なので、私自身は
内容の何割程度が理解できているのか
怪しい感じがしないでもないのですが
ナゼかスルッと心地よく読めてしまうのが
不思議です。読み終わりった後も
何かがベタベタまとわりつくような不快感が
全くないのです。

余談になりますが、
一度だけ養老さんをすれ違いざまに
近くでお見かけしたことがあります。
独特な存在感というか、磨き抜かれた強さと
なのにきめ細やかなシルクのような輝きというか
それでいて強靭な感じ、近づきすぎると
相手が勝手に弾き飛ばされそうな?(笑)
全身から発している何か、
雰囲気というかオーラとでもいうのか
とても印象的だった記憶があります。

本の内容は難しいながらも興味深いので、
何冊か読ませて頂いてます。
硬い食べ物を必死にガリガリと噛み砕いて
咀嚼しているような感覚になることもしばしば(笑)
今回も、養老さんのお名前があったので
本を購入するに至りました。

内容自体は決して軽いとは言い難いのに、
何だかスッキリ爽快感があるような気がするのは
きっとそれぞれの方が、ご自身の人生と
がっつり向き合って何とか折り合いをつけつつ
年を重ねてこられた賜物として
こんな後味が出てきたのかなぁ
などと勝手に想像しつつ、せっかくなので
秋の夜長に何か読み応えのある本でも、
と物色されている方のご参考になればとご紹介。

暑い夏や寒すぎる冬でなく
今だから読めたような気がしないでもないが
読んでよかったと思えた一冊でした(笑)