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最初の希望【練馬区#1】

ちょうど担当マネージャーが変わったタイミングだった。「今から君を売っていく為に、一つ代表作となるものを作りたい」と引継ぎの席で新しいマネージャーに口説かれて、仮面ライダーのオーディションに参加することになった。21歳。デビューして三年が経っていたけど、それまでヒーローモノのオーディションには一度も参加したことがなかった。前マネージャー達の方針でもあっただろうし、僕自身も幼少期にそれらの番組を熱心に観ていたわけでもなかったから、自分とは関係のない世界だとどこかで思っていた。それに当時の感覚的に言えば、ヒーローモノのオーディションはデビューしたばかりの無垢な俳優達が選ばれてるという印象があった。
確かそんなことを言ってやんわり断ろうとしたが、新任の彼の目は「今から仕事を選んでいるようじゃ君の未来はないよ」といった厳しいものだった。その場で「受けます」と答えたと思う。後日、オーディション原稿を受け取ると、ようやく自信が湧いた。この役ならできるかもしれない。いや、この役は自分がやるんだとハッキリそう思った。そして、この『仮面ライダーウィザード』が僕の初主演作品となった。

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