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【毎週ショートショートnote】「サラダバス」(413字)

「助手よ、ついに完成した」

「普通のバスに見えますが?」

「これはサラダを燃料にして動くサラダバスじゃ。SDGs時代にぴったりの発明じゃ」

「ではサラダを準備してきますね」

「助手よ、究極のエコとは、廃棄されるサラダを燃料とすることだと思わんか?」

「確かに」

「では今晩」

「手筈通りに――」


「いただきまーす」

「今日はハンバーグとサラダだから残さず食べてね」

「……はい、ママ」

 博士と助手は目を合わせた。
 二人の足元にはビニール袋が広げられ、サラダを少しずつ放り込む手筈になっていた。

「ごちそうさま!」二人は空になったお皿の前で手を合わせた。


 その夜、二人は燃料タンクにサラダを詰め込んだバスに乗って町中を冒険した。

「凄いよお兄ちゃん」助手が言うと、

「そうじゃろう、弟よ」博士は満足そうに答えた。


 やがて夜が明けた。
 そこにはサラダが詰め込まれたおもちゃのバスを持った母親が鬼の形相で立っていたが、二人の発明家はまだ幸せそうに眠っていた。

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