妊娠中の不安の消し去り方

約三ヶ月先に妊娠していた可愛い義妹のお腹から、天使みたいな赤ちゃんが生まれてきた。

弟は初の我が子を溺愛し過ぎて、たぶんそのうち発狂する。

私にとっては初の姪っ子。見れば見るほど可愛い。もう日に日に可愛くなっていく。

寝顔をじっと見つめていると、寝ているはずなのに泣き出した。なぜだ。何らかの妖気を発してしまったのだろうか。

いやはやしかし、こんな可愛い赤ちゃんという生き物が、二ヶ月後に私のお腹からも出てくるなんて本当だろうか。

妊娠してから6週の壁、22週の壁と、とにかく常に不安だったけれど、31週の今も不安だ。

難産で酸素が足りなくなって障害を持ってしまった知り合いの親戚の赤ちゃんの話とか、40週で死産になってしまった体験談とか、聞けば聞くほど不安になる。

この不安が赤ちゃんに伝わって実際そうなってしまったらどうしようとますます不安になる。

きっと無事に生まれても、夜中に突然死んでないかとか、次から次へと新たな不安に襲われるのだろう。

妊娠するということは、一生キリがない不安を抱えるということだったのか。

不安だ不安だと思っていたとき、夫が故郷に帰り、ご家族とお墓参りへ。

安産祈願をしてくれたと聞いて、もしかして今回安産祈願のためにお墓参りに行ってくれたの?と聞くと、そうだよと言ったのでうるうるした。

そうだ、赤ちゃんは私だけの子ではない。

根拠はないけど生命力の強そうな夫と、ご家族とご先祖様の血も脈々と受け継いでいる子なのだ。

私は、夫と私、それぞれ先祖代々続いてきた命を、今代表して宿させていただいているだけなのだ。

そんな赤ちゃんの生命力を信じようと思った。


不妊治療のクリニックで、薬を飲んでも注射を打ってもなかなか授からなかった赤ちゃん。これもやったしあれもやったから今月はきっと…と思っても授からなかったのに、

不思議なことに、不妊治療の休憩中に、遠方のため10年以上行けていなかった母方の祖母のお墓参りに夫のご家族が連れて行ってくれて、その数日後に授かった。

妊娠というのは、私なんかの力の及ばないところにある奇跡なのだと思った。

そうだ、そもそも奇跡なのだ。

出産が無事にできるかとか、私の身体を離れた赤ちゃんが無事に育っていくかとか。

ミルクをあげたりとか学校に入れたりとか、小手先のことはできるけれど、もっと大きなところまで私の力が及ぶと考えるのは、きっとおこがましいのだ。

今お腹にいる赤ちゃんは、私にとってすでに世界一大切な子どもなのだけど、でも決して私のものではないのだ。

何か目に見えない偉大なものに、幸運にも預からせていただいているだけなのだ。

天から来た大切なものをお預かりしているだけ。

そう思うと不思議と不安が消えて楽になった。

そしてますます赤ちゃんが尊く愛しいなと思った。





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