株主熱想~Time Capsule Orchestra株主総会議事録~ vol.1

プログレッシブロックバンド、Time Capsule Orchestra。時代に逆行するコンセプトをバリバリに掲げた、実力派スタジオミュージシャンたちのバンドは、今、正念場を迎えつつある。彼らの精神的支柱であり、Time Capsule Orchestraの母体となったバックバンド・CMBを引き連れて歌い続けた声優・茅原実里は、2021年をもって音楽活動を休止。ひとつの物語が終わりを告げて、それでもなお溢れる渇望が、Time Capsule Orchestraを生んだ。晩夏の河口湖円形ホールにて、アコースティック編成で奏でられた新曲たちは、追加公演でまた違う色を見せた。Jeff Beckのカバー含め、時間的にも機材的にも制約ある中で生まれた試行錯誤の結果は、時が経てば花開くことだろう。
6月17日のライブ「ELEKI de BURN」に求められるのは、過去の楽曲を披露することだけではない。新しい景色を見せてくれなければいけない。それがプログレッシブロックの、本来の定義なのだ。そして同時に、活動を継続するだけの売り上げと、サブスクとYouTubeが支配する音楽業界を生き延びるためのデータ(音源・動画・スチール・視聴者数)も、獲得しなければいけない。
確かに彼らの置かれている状況は厳しいが、日本のアニソン界にプログレッシブロックの息吹を充満させ続けた鬼才・須藤賢一の指し示した未来は、まだ滅んではいない。
イエス亡き後の古代世界を放浪する使徒のごとく、復活を信じよ。やがて来る、最後の審判を信じよ。
音楽だけが美しい。

この記事は、茅原実里、CMB、そしてTime Capsule Orchestraを追いかけてきた4人のマニアが、それぞれのバックグラウンドから、茅原実里やCMBの思い出、Time Capsule Orchestraとその未来を語った会議を記録したものである。
会議は四時間に及び、書き起こし原稿は五万字を超える大作になった。話題も流れに流れ、迷走に迷走を繰り返しながらも、認識と結論は大筋で一致するに至った。
参加者全員が55000円のVIPチケットを購入していたことも判明したために、この会議体を「Time Capsule Orchestra株主総会」と呼ぶことになった。

それぞれの出会い

SATOH: Time Capsule Orchestraというバンドができて、もう一年になるわけですね。早い。最初は3月、音楽熱想の生放送で発表されたんでしたっけ。で、今日はTime Capsule Orchestraのみならず、前身であるCMB、切っても切れない関係である茅原実里さんなど、話題を広く雑談していこうと思います。
では、ちょっと自己紹介から。私はSATOH-METALと申します。名前の通り音楽大好きなメタラーなんですけど、好きなジャンルはネオクラシカルメタル、あとクサメタル、メロスピとかが大好きです。で、CMBにハマってからプログレにも手を出すようになりました。最近はまってるのはUnlucky Morpheus、日本のメタルバンドですね。ヴァイオリンが入ってツインギター、もう最高ですよ……って感じの趣味です。
トツ:トツと申します。まあ、メタルとかハードロックとかプログレを特に聞いてきたわけでもなく、ただどっちかというと、アニメソングとかサウンドトラックをベースに聴いてきて、ロック的なサウンドが好きで、いつの間にかCMBに傾倒してしまった人間なんですけど、はい。だから多分皆さんよりもロックとかプログレ、メタルとかの知識は全然ないんですけど、CMBだけに傾倒していたので。
SATOH:演奏とかもできるんですか?
トツ:一応ドラマーとして、岩田ガンタ康彦先生に師事しております。
Zoe.:Kawazoe……だいたいZoe.って名前で活動してて、音楽……どちらかというとプレイヤーサイド人間で、もともとは茅原さんのライブ見に行って、「鍋さんかっけー!」からこの世界に首を突っ込んだっていう。演奏の世界、アニソンの世界に首を突っ込んだのが最初で、バックで演奏するミュージシャンという活動が面白そうだなって思ったのがそのきっかけだったんで、自然とランティス界隈の仕事をしている人たちのことを追ってることが多かったかな。
くの:くのと申します。私は……純粋に須藤賢一さんの追っかけですね。もともと影山ヒロノブさんとJAM Projectの方から流れてきまして、ちょうど、JAM Projectのバンドのサポートから須藤さんが離れてしまったときに、さまよって茅原実里さんにたどり着いたって感じなんですよ。で、好きなジャンルは、もともとゲーム音楽とか映画音楽とか、そっちがメインなんですが、CMBの大幅メンバー変更のタイミングで、現実逃避のためにメタルに行きまして(笑) 最近はメロハーやプログレハードあたりが好きな感じです。キーボードが綺麗な曲が好きで、キーボード専ですね、はい。
SATOH:くのさんとは思い出があって、アニメタルUSAのZeppツアーに行ったんですよね。あのときにインペリテリにハマったと。
くの:アニメタルUSAの時、須藤さんが上手(かみて)だったんですよ。上手最前で待機してたら、ちょうど目の前がインペリテリだったんですけど、演奏ももちろんよかったんですけど、ライブの最後のラインナップ時に、須藤さんとインペリテリと横関さんがわちゃわちゃ話してて、それでインペリテリいいじゃんって(笑) 須藤さんとの絡みがきっかけ。
SATOH:つながってますねー。こういう人がCMB界隈にはちらほらいるけど、意外とこうやって集まってない気がしたんですよ。先月ちょっと飲んでて「Time Capsule Orchestraの企画やらない?」って話になって、こういう話をしたいと勢いでやらせてもらいました。もうとても楽しいです(笑) ありがとうございます。
……って感じで自己紹介をいただきました。この中でもCMBの出会いの話もしてみましょうか。くのっちさんは須藤賢一さんから来たそうですが、茅原さん現場に来たのはいつからなんですか?
くの:サマキャンの1なんですよ。須藤さんがJAMから離れてる期間、私がうまく情報収集できてなかったのもあって、どこに行ったか分からない期間があって。あと好きだって意識したのがちょうど2009年くらいのタイミングで、ParadeのDVD見たり、それで直近のライブがサマキャン1だったので、2日目からかな、私は。それが初めての茅原体験ですね。
SATOH:サマキャンのCMBってことは、ギターはまだ鍋ちゃん?
くの:鍋嶋さんですね。マニピュレーターがひろぽん(三宅博文)だった時……
Zoe.:アフロおじちゃん(笑)
くの:……ちょうど今検査入院中らしくて心配なんですけど。
Zoe.:「HEROINE」でもあの人はベースを弾いてて、あ、でもあの人NHKでやったときにベース弾いてる。
SATOH:「MUSIC JAPAN 新世紀アニソンSP」?
くの:あとステラシアターでも一回弾いてますね。サマドリになってから。
トツ:あー、確かに確かに!
Zoe.:一回来てたね。アフロ見た瞬間に誰だか分かる(笑) 夏は本当にコロコロ変わってたねえ。
SATOH:そうそう、ベースが安定しない。
くの:スケジュールの確保が……
トツ:あの時期はタイミングがきついですもんね。
Zoe.:スケジュールもそうだし、あとはいろんな……予算とか(笑)
SATOH:一回、二家本亮介さんが出てましたね。
Zoe.:あの人は技術の化け物(笑)
SATOH:夏専門が信ちゃんで……
Zoe.:後期はツアー二村さん、夏は岩切さんって組み合わせで結構やってたかな。
SATOH:それから信ちゃんで安定して今に至る、と。Kawazoeさんはいつ頃から茅原実里現場にいたんですか?
Zoe.:最初はParadeツアーだから……くのさんのちょっと前になるのか。Paradeツアー行ったのもたまたまで、そもそもライブ行くつもりもなくて、CD先行の(応募)券を大阪に住んでた友達にあげたら、「当たったから来る?」って言われて、試しに行ってみようかと思ったらドはまりして。「鍋さんかっけー!」からその道に首を突っ込んだんだけど、CMB界隈で一番最初に引っかかったのは馬場さんだな、多分。一回目に馬場さんが来たときに……
トツ:D-Formationの時にアコースティックで一回やってた、池袋のやつ。
Zoe.:その年の夏、たぶん河口湖から帰ってきた頃に、馬場ちゃんがTwitterでライブの告知とかしてて、そのあたりから遊びに行って仲良くなって。Twitterで見つけると遊びに行っていろんな人とお話ししてる。東京に住むメリットですよ、これ。そこからいろんな人を渡り歩いてお話しして……って感じかな?
SATOH:Paradeの頃って、そもそもチケットが手に入らなかったですよね? 私もチケットが全然当たらなくて、ホームページ先行でかろうじて名古屋が取れたけど、最後のパシフィコも取れなくてまさかのmixiで譲ってもらう(笑) それくらい取れなかった思い出が。
Zoe.:キャパちっちゃいし、その頃は結構注目されていたからねえ。
SATOH:あらためてトツさんの話も聞かせてください……最初の出会いは?
トツ:Contactなんですよ。追加公演のステラボール。茅原さんはその前から知ってはいて、「涼宮ハルヒの憂鬱」、「雪、無音、窓辺にて」とか、あの辺りから。アニメイト各店のモニターで「Contactが発売しますよ」って告知が流れるのがあって、それで「ちょっと見てみよう」と思って、そこからがっつり茅原さんの活動を追い始めて、ステラボール行ったりして。そこで「Change Attack Mode」聴いて「なんじゃこりゃ!」と……。そこから「今度からちゃんと行こう」って思って、Paradeから近くの公演に行ったりしたんです。そのツアーの時に福岡に行って。福岡って、一回オーディオコメンタリーかなんかで言われてますけど、すごく「静か」って言われてて……
くの:お客さんがライブ慣れしてないとか。
トツ:そう。会場入っていくと、自分はずいぶん後ろの番号なのに、前が空いてるんですよ。だから前にドーって入っていったら前から二列目に入れて、すごい爆音、スピーカーの真ん前で聴きました。それがめちゃくちゃ楽しくて、そこからメチャクチャ行き始めたんです。
SATOH:私もContactなんです。追加公演。文化放送の「アニスパ」で茅原実里のコンサートがあるというので、電話予約したんです。
Zoe.:ああ!
SATOH:もともと私はB’zファンで、B’zファンの声優・茅原実里というのは知っていて、どんなものか見てみるか、って気持ちで、チケットを取ってから、CDを聴いた。聴くといってもTSUTAYAに借りに行って、リッピングして、二、三回くらい聴いてからライブに行ったんですよ。
Zoe.:ライブの予習として、ね。
SATOH:それでどんなもんかって気持ちで見てたんだけど、「これは意外と面白いかもしれない」って風になった。ギタリスト好きだから、鍋嶋さんかっこいいんですよね。なんかロックじゃないですか。真っ当にロックさがあって、その上にヴァイオリンが増えて、これは面白い方向に行ってるなと。2011年のカウントダウンになると、加藤大祐さんと鍋嶋さんのツインギターになって、これはもう優勝した瞬間ですよ(笑)
ギターが好きなんですよ。イングヴェイ・マルムスティーンはど真ん中なんだけど、もう少し前はエディ・ヴァン・ヘイレン。もともと松ちゃん(松本孝弘)が好きだから、そのルーツをたどって、リッチー・ブラックモア、マイケル・シェンカー、そこからイングヴェイや、B’zと共演したスティーヴ・ヴァイも……という風に回って、ネオクラにハマった頃にみのりん現場に行くとプログレの沼が出てきて(笑) そっちも勉強していた頃に、マクドナルド&ジャイルズ……キング・クリムゾンのファースト制作メンバーが脱退して作ったグループとか、ジェスロ・タルとか、会社の先輩からCDをいっぱいもらってきて、CMBはこういうのがルーツなんだな、とハマってゆく。で、また最近はキング・クリムゾン、と……いろんなルートがあるんですよね。
Zoe.:この四人で(TCOの)各パートがひとりずつ埋まるんだ(笑)
トツ:推しパートが(笑)
くの:意外とかぶらなかったですね。
SATOH:ホントに?
くの:みのりんが欲しかった感じかな(笑)
SATOH:あと、ヴァイオリン、沼なんですよ。室屋光一郎の音は他に代わりがいないんですよ。……なんか追悼みたい(笑)
Zoe.:でも大先生室屋ストリングスのサンプリング音源、なかなか室屋ストリングスの音がするよ。

https://sonicwire.com/product/B2606

トツ:「TOKYO SCORING STRINGS」、めっちゃ使ってる。あれで仕事してるもん。「詩人の旅」を一度打ち込んだことあるんですけど。
Zoe.:うちの茅原実里(カバー)バンドの方も、ストリングスを同期で使う曲は全部アレで作り直そうと思ってるから。
SATOH:ヴァイオリンプレイヤー、大変じゃないですか? コピーバンドのプレイヤーの競合が本人だから(笑)
トツ:ちょっと音源聴いてみます? 冒頭だけなんですけど。

トツ:……というのがベタ打ちでできるんですよ! 何もないベタ打ちでこのクオリティがついてくるんで、ここから曲に合わせていけばメチャクチャクオリティが上がる。
Zoe.:高いだけのことはある!
SATOH:ヴァイオリンが入ることで主旋律が厚くなるんですよね。メロディを鳴らせる楽器はキーボードとギターだけなんで、ヴァイオリンが乗るとギターがバックに専念できてキーボードもコードが弾ける。だけど彼らがメインを弾くと、その分だけコードが薄れる。
Zoe.:アレンジ的によくあるのは、ギターとヴァイオリンのハモりフレーズ。
SATOH:「Tomorrow’s Chance」のイントロとかはもう大当たりでしょ、って感じですよね。
Zoe.:あとは「純白サンクチュアリィ」だよね。間奏のギターソロ、そこは後ろにヴァイオリンがいないとやっぱ寂しい。
SATOH:だからファイナルのRe:Contactは大変そうだなって思った。
くの:パートが明らかにひとつ足りないって感じでしたよね。
Zoe.:やっぱ、ないんだよな、大事なのが……
SATOH:最後のサマチャンの「Freedom Dreamer」、大先生パートを馬場ちゃんがめっちゃ無理して弾いてるんですよね。あれは大変だと思った。
Zoe.:ヴァイオリンのフレーズがないからね。
SATOH:……というところでいい感じに戻しつつ行きますけど、そんな感じで、僕らがハマったCMB、今はTime Capsule Orchestraというバンドですが、なんでこんなにハマったんでしょうね……? 茅原実里のバンドだからなんでしょうか?
くの:サマキャン1は、ちょうど「Parade」のBlu-rayやDVDが出た頃で、一番近かったライブだったから。
Zoe.:サマキャン、何の音源に入ってたっけ?
SATOH:「Sing All Love」ですね。
トツ:3タイプありましたよね!普通のCDと、DVDと、ブルーレイ。
SATOH:斎藤さん、そういうのよく考えてましたよね。
くの:斎藤Pが力を入れていた感じはしました。
Zoe.:頼むからアルバムの箱をよく分からない形にするのだけはやめて欲しかった(笑)
SATOH:「D-Formation」ね(笑)
Zoe.:「Parade」の特装もやばかったけど、その上を行くとは思わなかったね。さすがに、直方体ドンは(笑)
SATOH:そもそもショップの陳列に載らないでしょ(笑) 入荷しても段ボールに何個入るのか。
くの:搬入が大変そうだなって……(笑)

須藤賢一マニア、大いに語る

SATOH:話がとっ散らかってますが(笑) Time Capsule Orchestraというバンドが出てきましたが、ファーストインプレッションはいかがですか?
くの:私はもう「須藤さんの出るライブがあるぞ!」ってのが嬉しい。ただの追っかけなので、茅原さんのライブがなくなると情報が追えなくて困ってたので……。
須藤さん、SNSとかも最近までやってらっしゃらなかったので、ハートカンパニー主体でTime Capsule Orchestraというバンドをやりますってことで、確実にライブのスケジュールが分かるものが出てきてくれて嬉しいんです。ホントにスケジュールを追うのが大変だったので。ライブ前日、他のバンドメンバーのTwitterのリハ写真で把握することもあったし……
SATOH:くのさんは須藤さんのいるところにしか行かないので(笑)
くの:須藤さんいないと、アニソン現場はほとんど行かないですね。
SATOH:須藤さんが他に弾いている現場あるんですか? JAM Projectとか?
くの:JAMは2018年のツアーに突然参加しただけで……寺田志保さんの代理かなんかで、遠藤さんのブログのリハーサル写真の、その後ろ、(お友達から)「くのさんくのさん、この後ろに見覚えのあるチェックのシャツの人がいるよ」って(笑) 「くのさんどう?」って聞かれて、この服は間違いなく本人だ! って、何公演だったか忘れたけど地方公演全部取ったんですよ、初日の一週間くらい前に。
Zoe.:確かにあの人、服装ワンパターンだな(笑)
くの:……っていうのがあるくらいかな。あとは影山さんとか。ときどき、大きめの規模の時、堀江美都子さんのところでやってたりしますね。
SATOH:それってガンタさんもいる?
トツ:堀江さんの時はガンタさんもいたりしますけど。
くの:ピンポイントで何周年記念の大きい時は須藤さんが呼ばれたりしますね。それ以外は別の方ですね。堀江さん現場は松尾洋一さんがいることが多いかな。
Zoe.:須藤さんが来るとね、機材もついてくるから。アレを置ける規模のステージがあまりない。
くの:ハモンド(B-3)、パセラの地下で見たことありますよ。「アニぱら音楽館」最終回のイベントか何かがあったんですけど、渋谷のパセラの地下の、イベントスペースみたいなところに持ってきて、こんなちっちゃいところにハモンド持ってくるんだーって思った。
Zoe.:要塞セットまるごと、サウンドクルーもほぼ専属チームがいるらしいので。チームまるごとオペレートするくらいの予算感じゃないと呼べない。
トツ:(B-3よりは小型のハモンドオルガン)XK-3の方のセット、「アニぱら音楽館」で使ってたセットとかにしないといけないからね。
SATOH:機材の話が文章に起こしにくいんですが(笑) 須藤さんのセットってどういう構造なんですか?
トツ:まずB-3ですよね。たぶんMk2。で、Leslieの122。
SATOH:スピーカーですね。回るやつ。
トツ:で、そこから左側に行くと、VIRUS TIっていう白いシンセサイザー。Paradeツアーの頃でしたっけ? あの頃に買ったみたいな話しが。
で、その次がKurzweil K2600かな? って話をしたら須藤さんに「あれは型番が違う」って言われたことがあって(笑)
SATOH:(爆笑)
トツ:ガンタさん経由で「よく見てるね、でもあそこは違うよ?」って言われて(笑) まあKurzweilっていう電子ピアノ。「蒼い孤島」のピアノとかで使ってるのですね。で、そこから回ると、次がクラビネット D-6ですかね。間にD-6があって、隙間があって、その先にミキサーがあって、その次が、MOTIF-7か8でしたよね、多分。で、たまにJAMの時とかにその上にもう一台ありますよね……
くの:なんかあったなあ……なんかあったけど私が機材に詳しくない。
Zoe.:しばらく前に誰かが上から撮った写真を上げてた気がする。斎藤さんだったかなあ。

くの:一番機材が多かったのはSing All Loveあたりじゃないかと思います。10台とか言ってたような。
トツ:最後がMoog Voyager。
SATOH:moogをよく使う曲って何ですか?
トツ:多くの曲のソロで使ってますね。
くの:「Freedom Dreamer」とか?
トツ:特にそうですね。「シンセリード!」って感じの時は、ほぼそれと思っていいと思います。シンセベルみたいなキラキラした音色の時はVIRUSを使うんですけど、そうじゃないときはこっち。ピッチベンドで思いっきり遊んでるときとか。
SATOH:わかりやすい!
トツ:……前に、須藤さんが機材を買った業者を見つけたことがあってですね(笑)
SATOH:なんで見つかるの(笑)
トツ:ホームページで古い記事を探したら、須藤賢一氏にこれこれを納品させていただきました……って記事があって。
くの:Hammond B-3を納品しました、っていうのは見たことあります。
SATOH:ちょっとこの人たちは流石だな……
トツ:アーバンミュージックってところで見つけました。
SATOH:あとでリンク送ってください(笑)
くの:あと、須藤さんはときどきウーリッツァー(Wurlitzer)を……
トツ:あ、ウーリッツァー!MOTIFのところに……下かな?
くの:Kurzweilの反対側かなんかに、moogの右隣にあるのがウーリッツァー。
トツ:須藤さんご本人のツイートがあった! 下がWurlitzer 200Aってやつで、いわゆる「往年のエレピ」って言われてるやつですね。もうエレクトリックピアノを勉強する人は全員通らなきゃいけないってやつ。
Zoe.:打ち込み系の音源だったらだいたいプリセットで入ってるやつ。
SATOH:須藤さん、セットが8角形ですね。
くの:昔はペンタゴンって言われてたんだけど……
Zoe.:オクタゴンじゃん(笑) どんどん増えてる。
くの:私がハマり始めた頃に斎藤Pが「ペンタゴン」って言ってて……
トツ:誰だったっけ、河野さんのブログだったかな? 若い頃の須藤さんの写真が写ってるやつあるじゃないですか(笑)
くの:須藤さんの情報が一番よく分かるのは河野陽吾さんのホームページ(笑)そうだそうだ、「ペンタゴン」はJAM側の呼び方で、茅原界隈だと「要塞」とか呼ばれるんですよね。
河野陽吾さんのホームページ、ケニーサイド的にはすごく貴重なんですよ。須藤さんがお気に入りの洋服のお店とか、そういうのが河野陽吾さんのホームページにあるんですよ。なぜか詳しい(笑)
トツ:「音楽学校出てる」とか「オーケストラの譜面も書けちゃう」とか書いてあって、「へえー」って感動した覚えがあります。

http://www.yohgo.net/gear/index.cgi?field=Connections

トツ:(河野陽吾さんのホームページを見ながら)そうそう、ここを見ながらいろいろ調べた。そうだ! このとき(アニサマ2006)はまだCLAVIAだったんですね。Nord lead、赤いやつ。
くの:たぶん2006年くらいまでの情報だと思うので、その後またちょっと変わってるとは思います。
トツ:このあと、茅原さんの頃含めて、Nordをほとんど使ったことなくて、変えちゃったんですよね。なぜかは分からないですけど。
SATOH:この話、盛り上がるんだけどなかなか……
Zoe.:読者が置いてきぼりになる(笑)

次回予告

第二回では、CMBマニア・茅原実里マニアにはたまらない「あの曲が聴きたい!」をテーマにトークしてゆく。6月17日のライブでも、カバー曲の演奏が事前予告されていて、一部の曲はすでに公開済となっているが、それ以外のレパートリーはまだまだ未知数。それぞれの視点から、推し曲とそれにまつわる物語を楽しんでいただきたい。

おわりに

トークの主題となったプログレッシブロックバンド、Time Capsule Orchestraの初エレキ編成ライブ、その名も「ELEKI de BURN」が6月17日に開催される。同日昼にはトークイベント「TALK de BURN」も行われる。
VIPチケット・グッズ付きチケットとも販売終了しているが、一般チケットは5月13日から先着順で購入できる。
2023年は「太陽と戦慄」「恐怖の頭脳改革」など、数々のプログレ名盤が50周年を迎える年だが、そんな中で、こんな時代に、新たなプログレバンドが生まれてしまったのだ。マニアには、ちょっと覗きに来てほしい。