茅原実里が歌手活動再開と聞いて我慢できずに駆けつけたアンドリューW.K.

さすがに驚いたわ

さすがに驚いたわ(大事なことだから二回言いました)

2021年の12月26日のファイナルライブをもって音楽活動を休止していた茅原実里が、約一年半で戻ってきた。その間は「歌ってほしい!」というファンの言葉を聞き続けながら、それはやらないと誓ってきたのに。
キャラソンだけはやるということで、「みなみけ」イベントやアイマスの東京ドーム公演では、往年のスキルを存分に発揮して歌ってきた。「らしさとidol」を弾き語りして剛速球メッセージを投げ込んできたり、「メリーの不思議な夢」でもちょっと怖い謎楽曲を生演奏したりと、確かに茅原実里の要素の中から「歌」が排除されていたわけではなかった。
それでも、アーティスト「茅原実里」名義の楽曲だけは、かたくなに歌わなかった。そこには必然性、意味があるんだろうと、私は考えた。
歌手になりたくて上京し、歌手になりたくて学校を選び、偶然と努力で歌手になった茅原実里が、自分名義の歌を歌わない。そこまでの覚悟がどこかにあるのだろうと思った。
私は、そういう風に理由を想定せずに、あの決断を納得することはできなかった。

だから、それが覆ったときにも、どうしても理由を考えたくなる。

本人が書いていたように、アニメ作品のイベントで茅原実里楽曲が欠けるとレパートリーがうまくはまらない要素は大きいだろう。タイアップを付けるということは、実はこういうところまで波及していたのだ。特に「境界の彼方」「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」は、あの楽曲なしでは締まらない。今回は言及されてないけど、「境界線上のホライゾン」あたりもそうで、メインキャラとして声優をやっているのに、「主題歌だけは歌えません」というのは大変だ。
2010年代、茅原実里が活発に活動していた頃に参加していたアニメも、10周年ボックス発売、パチスロ化……など、まだまだマネタイズポイントがあるだろう。そのイベントを盛り上げるには、当時の主題歌とシンガーは必要だ。

そして、2024年に迎える、茅原実里の声優デビュー20周年の節目へ向けての「助走」のひとつでもあるのだろう。もちろん現時点でいつ何をやるかは分かっていないが、何かを彼女がやるということだけは、もう誰もが知っている。
大きなイベントをひとつだけ打ち上げるのではダメで、助走期間の間に存在を認知させ、前のファンを呼び戻す必要がある。プロレスで言う「前哨戦」だ。
富士河口湖町のイベントの提案があったタイミングで、それを「限定復帰」にせず、20周年へ向けて二年分の、もしかするとそれ以降への希望を持たせれば、ファンの情熱は長続きする。
また、茅原実里の所属していたランティスレーベルにとっては、2024年は「ランティス祭り」の年でもある。まだ発表はされていないが、おそらく開催するだろう。2019年に本人も自覚していたように、茅原実里はいまやレジェンドである。その場に立つためには、歌わないわけにはいかない。

ご報告テキストは微妙にねじれていて、「20周年記念コンサート」という言葉が出てしまっている。冷静に読むと、これは『富士河口湖町制20周年記念花火大会 茅原実里 LIVE 2023 "We are stars!"』にかかっているのだろうと思われるが、「デビュー20周年」の段落で書いてしまっている以上、「茅原実里20周年コンサート」が別途行われるように誤読できてしまう。
これは著者・茅原実里の本心だと思って考えたい。同時に、この文章を冷静にレビューする人が周りにいないとも推測する。
茅原実里は正直な人だ。うまく嘘がつけない。だからこそ個人としての魅力があふれ出る。みのりんは本気だ。

そして茅原実里が「アーティスト活動を再開」するとは言っていないことも注意。彼女は「声優アーティスト」だったのだが、再開したのは「歌手活動」である。最初に本人が言っているように、「スポットで活動する」だけで、新曲を作ったりツアーをするというわけではない。
しかし、アニサマにシークレットとして呼ばれたり、どこかのアニメイベントでカラオケで歌ってくれることはあるだろう。それだけでも、声優・茅原実里ができることは格段に広がる。

想像を裏切る人

2022年の茅原実里は、完全フリー、声優YouTuberというぶっ飛んだ立ち位置から本音を発信し続けてきた。その時の言葉を考えるに、どこかのレーベルに所属したり、声優事務所に入ったりすることは、これからもほぼ考えにくい。

だが茅原実里という人は、こんな想像をことごとく裏切り、軽々と新しい道へ進んでしまうのだ!
歌わないと思っていたら弾き語りを公開して驚かせ、鈍くさいと思っていたら運転免許を取って驚かせ、高嶺の花だと思ったら結婚式に出て驚かせ、ついにはみのりんファンのお店にやってきて、その場でTwitterに投稿して驚かせる。

私の中では、茅原実里は「想像を裏切って驚かせる人」だ。だから、私のようなひねくれた分析も軽く弾き飛ばして、面白いことをたくさん見せてくれるはず。いくら個別の案件で予想を裏切っても、最終的な結果だけは、裏切らない。

以前こんなことを書いた。

私は今の茅原実里に何も期待していない。
あの人は期待しても答えてはくれないだろう。しかし、表現したい何かを紡いで、勝手に届けてくれる。

人間現金なもので、やらないと思っていた歌手活動も再開するのだから、どんなことだって起こりうるのだろうと思うようになった。案件でアニメの主題歌を歌うようになるかもしれないし、まかり間違って某ストリングスと共演してしまうかもしれない。
おそらく茅原実里は、過去にこう言ったから、これからもこうする、というタイプではない。「今こう思ったからこうする」と決めてから、その理由を説明するタイプだ。
何が起こってもおかしくない。

とりあえず、今夜はパーティーだ!