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結局、謎解きって何?

・本記事の内容は、世間的な反応を加味しておりますが、全て私個人の解釈によるものであり、謎解き界一般の解釈とは必ずしも一致しないことをご了承ください。
・本文の一部に、筆者の強い自我が表れています。ご了承ください。
・著者は2004年度生です。
注意!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

こんにちは。はじめまして。趣味や仕事で謎制作を行なっています、すふぁいあと申します。
謎制作歴は約4年(中3〜)、初めて作ったコンテンツは自宅の中での宝探し(推定8〜10歳時)。謎解きとは人生の8割方を共にしてきました。

この記事はそんな私が「謎解きって最近なんか聞くようになってきたけど、なんかよくわかんないんだよな〜。クイズとか脱出ゲームとかは別物なの?」という方に向けて書いたものです。
ちゃんと知りたい方は、この記事だけでは不十分な可能性がありますので、いろんな人が書いたものを見るといいと思います。

謎解きの猛者が読んでもタメになるものではありませんが、私の思想を知りたい方は是非読んでいただけると嬉しいです。

はじめに、前提として。「最近よく見るようになったもの」は、ここでは「ある言葉が導ける不思議な見た目の画像(一枚謎)」とします。「今夜はナゾトレ」内の「東大ナゾトレ」及び書籍「東大ナゾトレ」シリーズ(AnotherVision/RIDDLER)といえば分かるでしょうか。これを踏まえて記事を読んでいただくと、非常にわかりやすくなりますので、リンク先を一度見ておくことをおすすめします。

※詳しい人へ 本記事は文献等をあまり参考にしていません。基本的に私の経験で書いているので、「この世代の人間はこういう風に感じているんだ!」と知るくらいのノリでお願いします。また体験型エンタメの方面にはあまり触れていません。あくまで知的エンタメの謎解きとして書いた文章として捉えていただければ幸いです。


どうしてよく分からないのか

まず初めに。なぜ謎解きが初心者の方からみてよく分からないものになっているのか、そして界隈の中では主にクイズやパズルとの比較において、どこまでが謎解きかの論争が起こるのか。結論から述べると、それは「謎解き」という言葉の指す範囲が広すぎるからだ。

なんなんだ謎解きって。私が物心ついたとき、謎解きなんてのはコナンくんや船越英一郎がやってるものだったし、ここでいう「謎解き」を知らない人たちはそう思っているのではなかろうか。


ミステリーには必要不可欠なものがある。

それは犯人が行った技巧的なトリックや、警察に叩きつけた挑戦状や、現場に残された不可解な文章。

すなわち、「謎」だ。


こうした「謎」には、定番のものがいくつかある。

時刻表、双子、密室、……そして、暗号。暗号は、奇怪さと不思議さを併せ持つ強くてお手頃なカードだ。壮大なストーリーも必要なく、それだけを解くことが可能な唯一の謎。

そうして人々はいろんな暗号を作ったのではないだろうか。想像にはすぎないが、1995年には青い鳥文庫から、私が小学校時代お世話になった「パスワード」シリーズの第一巻が刊行されているし、「ひらめきクイズ(=謎解き)」的な暗号も発達していたと考える(ちなみに、記憶している限り同書には「阿」と書いて「いのうえ」と読む人物が登場している)。


そして、もう一つ特筆すべき「ミステリー」がある。それが、宝探しだ。
デカい球に洞窟の中で追われたり海賊がドンパチやったり、地域のイベントで行われたり、それはもう昔からあるジャンルであり、そのワクワク度は非常に高い。
こうした宝探しでは、トラップを解除したり、ノムリッシュ語を読み解いたりしなくてはならず、道中でさまざまな「謎」を体験することになる。

これも暗号と同様に作るのがお手軽である。なぜならストーリーは「宝を探せ!」の5文字で済むからだ。スタンプラリーとも相性が良く、発達した「謎」の一つであると考える(現在は宝探しの側が一枚謎を取り入れたりしているが)。


そうして、「謎」は暗号解読宝探しを通して脱出ゲームになると同時にIQサプリが放映を開始し、暗号の幅が広がり今日の「謎解き」にまで姿を変えたのだ。
正直ちょっと脱出ゲームが生まれた詳しい経緯とかはよく分からない(マジで筆者が当時0歳レベルなので、申し訳ない)のだが、2004年に「CRIMSON ROOM」という伝説が生まれているのは確かである。ここでは、このCRIMSON ROOMに端を発するweb上の脱出ゲームを「脱出ゲーム」と呼称する。
ちなみに今現実世界のイベントとしてよく行われる「リアル脱出ゲーム」は、SCRAP社がこれを現実に落とし込んだものである。
今「脱出ゲーム」と言ったらこちらの「リアル脱出ゲーム」や、その他現実世界での脱出ゲームイベントを指すことが多い(と思う)。

ともかく。

暗号脱出ゲーム脱出ゲーム中のパズルやクイズ宝探し一枚謎
これらを全て「謎解き」と称したことによって何が何だか分からなくなっているのである。


じゃあ、どこからどこまでが謎解きなの?

これが今の謎解き界において最も盛んに起こる話題である[要検証]。
それだけ定義が人それぞれ分かれるもののため、自分でいろんなものを吸収して自分なりの定義をするのが一番早く理解できると思うし、それをおすすめしたい。
ここでは私なりの定義を一つ、参考までにご紹介したいと思う。

個人的には、前述の通り「謎解き」という言葉が全て悪い。全てを区別することは不可能であるというちゃぶ台をひっくり返すような立場を取っているが、そうも言っていられない。腹を括って考えねば。

とはいえ、一応既に結論は出している。これまでの考察に従うと、「謎解き」の原義はミステリー作品からきている。そのため私の見解では、謎解きとは「一見して不可解な状況やそれに付随する問題」である。
一言でまとめようとするとどうしても難しい言葉になってしまう。先ほど挙げた謎解きの要素について一つずつ確認しよう。

①暗号

暗号は一見して何が書いてあるか分からないし、無理やり読もうとしても意味が通らないか、そもそも文字でない可能性もある。こんなの、誰がどう見ても謎めいているものだ。おおよそ暗号は全て謎解きであると考えて問題ないだろう。
(細かい話をすると、私は暗号と「一枚謎」は別物だと考えたい こう……一枚謎は一枚謎の文化があるし、暗号は暗号の文化があるし それを完全に同一視はできない)

②宝探し

おおよそ謎解きだろう。宝探しには多くの場合、「その村に昔から伝わる歌」なノリの不思議な文章が出てきたり、それこそ一枚謎が出てきたりする。
これがあれば謎解きだとはっきり言えるのだが、ただ指定された場所を巡っていくだけのようなものの場合、それは果たして謎を解いているのかというとそうではないから、それはどちらかといえばARG(代替現実ゲームAlternate Reality Game)のようなものになるのだろう。

③脱出ゲーム(リアル謎解きゲーム)

リアル謎解きゲームに関しては自分自身を謎解きであるとインフォメーションしちゃっているので、謎解きである。
脱出ゲームに関してだが、謎解きと考えて良いだろう。閉じ込められている状況はあまりにも謎に満ちているし、脱出に必要な情報も大抵謎に満ちている。天井で光る赤いランプ、謎の記号が並んだテンキー、水量の違う4つのコップ。なにがどうなったら不思議じゃないんだ。

④パズル・クイズ

最も議論を呼ぶジャンルである。ここが最も曖昧で、完全に区別できるのか不思議ではあるが、「強いて言えば」を書いていく。

私は、パズルやクイズは、脱出ゲームなどのコンテンツの中に組み込まれているものの場合、謎解きになりうると考えている。普通にパズルとして、クイズとして出されるのであればそれは謎解きではないことが多い。

パズルには明確にルールがあって、それを論理立てて考えるもので、クイズは主に知識を問うもので、何ら不可解ではない。不思議でもないし、ひねってもいない。

なおここでは「クイズ」という言葉の定義を行っていないが、これが非常にややこしいのである。クイズも範囲が広すぎる。どうやら今では問題と答えがあればクイズになりうるらしい。なぞなぞもクイズらしい。
脱出ゲーム等の謎解きとならきちんと棲み分けできるのだが、ここで大変なのが、一枚謎にも問題と答えがあること。
それゆえ、この区別は人によって変わってしまうのである。

……だから、最初に言った通り、完全に区別することはできない。
だが、新たに「謎解き」という文化が生まれている以上は謎解きにも居場所を与えてあげねばならず、「包含じゃボケ」と投げ捨ててしまうのは道理に合わない。そんなことをしたら文化は廃れるに決まってる。

確かに昔は「ひらめきクイズ」とかいった名称が使われていたかもしれないが、今は「謎解き」という新しい区分が誕生しているのだから、従来「クイズ」であったものを新しくカテゴライズしてあげることが必要だ。
この観点から、「謎解きとクイズは別物である」という主張は認められるべきものである。かぶってる部分は当然あるけど、少なくとも一緒なわけないだろ。

これもはじめに言ったことだが、ここまで曖昧な境界線になってくると、自分の肌で感じてもらうしかないんじゃないかと思う。是非冒頭に貼ったナゾトレのリンクを踏んで欲しい。
というか、さすがに一枚謎を見ればなんとなく「う〜ん、自分の知ってる『クイズ』とは何かが違うな」と分かるはずだ。

結論として、「パズル・クイズは、区別は難しいけど、謎解きでない可能性は非常に高い」としておく。


最後に

筆者の見解としては、「ミステリーっぽくて、不思議なことや不思議な図形があって(ファンタジーでない)、プレイヤーがそれを紐解かなければならない!」ものは謎解きである。よく分からなかったら、正直「脱出ゲーム=謎解き」みたいな感覚でも初めはいいんじゃないかとすら思っている。

もちろんこの定義が完璧なものであるとは到底思っていない。もし初心者の方がこの文章を読んでいたら、この文章は「ふーん、そんな考え方もあるのね」くらいに思って、実際に体験して、「ふーん、こういうことを言ってたのね」とか「違うじゃねえか!」とか言っていただきたい。

最近テレビでよく放映している謎解き番組(『佐藤健&千鳥ノブ』『謎解き日本一決定戦χ』)を観て、「こういうのやりたい!」となった方は、「謎解き 常設店」とかで調べるといい感じに出てくる(関東圏なら、こちらのサイトがまとまっていておすすめできます)ので、是非調べてみてほしい。そして、やはりまず体験してみてほしい。


……余談だが、レイトンとかゼルダとかの中のパズルはずっと「謎解き」と呼ばれているが、これは納得できる。なんでだろうな。

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